職場の“子持ち礼賛”が面白くないと思ったら -結婚プレッシャー・女の言い分
プレジデントオンライン / 2013年12月25日 8時45分
■編集部より指令
婚活をしばらく続けた男女の中には「婚活疲れ」の人も。
「結婚はまだ?」「いい人いないの?」という周囲の言葉がさらに追い打ちをかけます。こうした余計な結婚プレッシャーを吹き飛ばすには、どんな風に言い返したらいいでしょうか。教えてください。
■大宮冬洋さんの回答
「結婚はまだ?」に倍返ししたい -結婚プレッシャー・男の言い分
http://president.jp/articles/-/11633
■佐藤留美さんの回答
■ 職場でも、肩身が狭い未婚者
これは、最近いたるところで聞くお悩みですね。
各種婚活サービスの普及・定着により、結婚していないと、「婚活やってないわけ?」という目で見られる。
婚活をやっている人は、「で、成果はどうなの?」と詰められる。
さらに追い打ちをかけるのが、最近のワーク・ライフ・バランスブームです。
勤め先では、数年前までは女性の妊娠・出産=退職が当たり前だったのが、最近は育休取得後の女性が毎年100人単位で帰ってくる(いいことです)。そして、ワーキングマザーたちが「(両立は)大変だ~、大変だ~」と言いながらも実に充足感に満ちた表情を浮かべる。
また、イクメンも物凄い数で増量中で(すばらしいことです)、未婚者に「(子育ては)大変だ、大変だ」というグチを装った「子育て自慢」をおっぱじめる……。
中には、「子育てしてねーやつは、人として駄目だよ」なんて正面切って未婚者や子どもがいない人をバカにする人まで現れる始末……。
その上、最近は“ファミリー・フレンドリー”な会社が増えてきて、ハロウィンやクリスマスに社員の子どもたちを会社に呼んだり、お父さん、お母さんが働いているところを子どもに見せる会が開催されたり。イクメン・ワーキングマザー友の会みたいな社内行事やサークルが催されたり……。
そして、そして……、独身者は別に急いで家に帰らなくてもいい人が多いというのに、夜7時キッカリに消灯、即ロックアウト……なんて会社も増えています。
未婚者の外堀は完全に埋まったという状況です。
■うらやましいなら、「敗北宣言」せよ
では、未婚者はこうしたファミリー至上主義者の“圧”から、どう身を守ったらいいのか?
方法は2つあると思います。
まずは、自分の心の内なる声を聞く。そして、「ケッ、家庭持ちのファミリー自慢にはヘキエキだよ」という嫉妬心や、「でもま、奥さん(旦那さん)や子供がいて幸せそうだな」という羨望が少しでも感じられたら……。
それは、実は彼ら彼女らのようになりたいという証拠。
これはもう、恥だの見栄だの悔しいだのの感情は一切無視して、「そうなんだよ、私も結婚したいんだよ」といっそ“敗北宣言”してしまい、私の相方、大宮冬洋さんのような「おせっかいオジサン」に片っ端から声をかけ、めぼしい相手を紹介して貰うのです。
それでも、自分にしっくりくる相手が見つからなければ、それはそのとき。一応の努力はしたのですから、「縁がなかったな」とふんぎりもつくし、仕事や趣味や社会奉仕など、結婚生活以外に喜びを見出す生活を始める準備をすればいい。
また、そんな諦観モードの時に限って、またとない最良の相手がポッと現れたりするものなんですよね(無欲の大欲?)。
■「冬休みはグアテマラに行くんだ~」と言ってみる
そして、2つ目の方法です。
やり方の出だしは一緒です。自分の内なる声を聞く。そして、心の底から、「家庭持ちは窮屈そうだな」とか「夫婦の愛情が長続きするわけがないんだ」とか「自分は仕事に集中したい」「仲間がいるから人間関係はそれで充分」なんていう風に思ったら、それはもう独身者で何が悪いと開き直るのがベスト。
実際、独身者は何も悪くないんですから。
そして、「老後は独身仲間と毎晩ワイン飲みながら、共同生活でもしようかな~」とか言ってワイン・アパートメント(実際こういうのがある)のパンフレットをチラチラ見せつけたり、「いや~、来週は雷魚を釣りに行くんだよ~」とか「冬休みはグアテマラに行くんだ」とか、ちょっと家族持ちはできない風変わりなことを言ってみる。
自分は子どもがいないから、少ないけどユニセフに募金してるんだ、なんて言葉も効きます(ただし嘘を言ってはいけません)。
こうすれば、決して惨めではない、自分の主義や単に縁がなかったことによる独身者が(ジョージ・クルーニーのような)演出できるはずです。
もっとも、いろんな立場の人が相互補完するのが会社であり社会です。だから、独身者VS家庭持ちで対立するのはいささかみっともないし、消耗するだけです。
ですから独身者の方は、ここは一つ大人になって、育休復帰直後の短時間勤務の女性社員がその日にどうしても終わらせなかった仕事を進んで手伝う、喜んで、ファミリー族の社内イベント会場の飾りつけを手伝うなどしておくと、「イイヤツだな」と人間として一目おかれるはずです。
そして、この領域に達すれば、もはや、既婚だの未婚だののレッテルで人から見られることはなくなるでしょう。
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1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。
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(ジャーナリスト 佐藤 留美)
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