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留学で磨く「国際感覚」と「人脈力」 -資産10億級 極上リッチの鉄則【4. 教育方針】

プレジデントオンライン / 2014年2月6日 14時15分

子供の授業料、4割が年間300万円超

巨大な富を築き、それを永きにわたって継続していける真のお金持ちたち。成功するための仕事との向き合い方、意思決定や思考のパターン、代々続けていくための子供の教育とは、どのようなものなのだろうか。富裕層の専門家3人が、彼らの素顔を明かす。

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【富裕層の定義】ここでは、船井総研の小林昇太郎氏が独自の方法で算出した5億~10億以上の金融資産を持つと推定できる3万4879人を「超富裕層」、1億~5億未満の金融資産を持つ166万1844人を「プチ富裕層」と定義する。同志社大学教授の橘木俊詔氏は「全国高額納税者番付」をもとに2000年度、01年度と2年連続で1億円以上稼いだ約6000人を対象に調査を実施。

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超富裕層のなかでも伝統的な資産家は、地域の名門高校から国内のブランド大学へ進んだ人が多く、一方、一代で財を成した人は必ずしも高い学歴とは関係がない。だが、「次世代への教育に関しては共通した志向を持っている」と船井総研の小林氏は言う。

「子供を慶應幼稚舎などの私立小学校に入れるとか、定評のある塾に預けて東大入学を目指させるというケースが目立ちます。最近はそれに加えて、早い時点で海外へ留学させる、という選択をする方も増えています」(小林氏)

留学先でとくに人気があるのは、ロゼなどスイスの名門寄宿学校や、イートン、ハロウといった英国のパブリック・スクールだ。日本からの留学生が増えたため、最近ではスイス国内の寄宿学校11校が東京都内で合同説明会を開くようになっている。

11年時点で、たとえばロゼ校は61カ国から生徒を集め、うち日本人は23人が在籍していた。各校の年間の学費は400万~1000万円ほど。日本でいう小学校から高校までの課程があり、日本からの留学生は中学校からの入学者が多いという。

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子供の習い事代、約5割が月10万円超

世界に通用する教養や語学を身につけさせ、親子ともども世界的な富裕層・指導者層のネットワークに入り込んでいく。これが子供を留学させる狙いである。

しかし、超富裕層の最大の関心事は一族や家業の継続だ。早いうちから子供を外国へ出してしまうと、日本人としての習慣が身につかず、家庭教育も十分には施せないというおそれがある。悩ましいところだが、小林氏によれば、確固たる解決法は見つかっていないという。

「事業の中身は時代にあわせて変えなければいけないとしても、何代にもわたって守り続けてきた伝統的な価値観は継承しなければならない。人としてどう振る舞うか、ビジネスでは何に気をつけるのか、といったことです。これについては、家庭で教えるしかないというのが実情です」

伝統的な資産家は大家族主義であり、祖父母と同居し親戚縁者も近くに住んでいる。一般には「お祖父さんやお祖母さんが孫のしつけに当たる」(小林氏)という。

「ただ、それがどこの家でも機能しているわけではない。大王製紙前会長のスキャンダルで注目されたように、有名企業の御曹司が多額のお金をギャンブルに使っているような例はありますからね」

一方、ルート・アンド・パートナーズ代表取締役の増渕達也氏の見方はシビアである。

「日本経済は敗戦でいったんご破算になり、そこから再出発したという経緯があるので、超富裕層といっても二代か三代しか継続していないことが多いんです。だから、教育を通じて一族の繁栄を図るという仕組みが確立していないというところはありますね。私はこれから100年くらいかけて、賢く変わっていくと思っています」

たとえば、欧米の超富裕層の場合、ファミリー・ビジネスを守るために「子供が何人かいたら、それぞれを別の国の学校に留学させて多方面への人脈を築くとともに、リスクヘッジをする。さらに直接に事業を継ぐ者、弁護士や会計士などの専門職としてサポートする者などに分けて、専門教育を受けさせている」(増渕氏)という。日本の超富裕層も、そうしたやり方を意識的に真似ていくべきだというのである。

祖父母からのしつけのほか、超富裕層が気をつけているのは「歴史から学ばせる」ということだ。

「超富裕層は、日本だけではなく中国や欧州の歴史物の本や偉人伝を愛読する人が非常に多い。私自身、5人の方から塩野七生さんの『ローマ人の物語』を勧められました。成功するために必要な教養をそこから学べということなのです」(増渕氏)

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船井総合研究所 経営コンサルタント 
小林昇太郎

立教大学大学院修了(経営学修士)。2009年、船井総研内に富裕層ビジネス研究会を設立。国内だけでなく東南アジア、香港、中東などからの入会も多く、そこからいくつもの新事業を立ち上げている。著書に『ビリオネアビジネスの極意』。
同志社大学 経済学部教授 
橘木俊詔

1943年生まれ。73年米国ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。仏米英独で研究職、教育職を、日銀、郵政省などの各研究所で研究職を歴任。京都大学教授を経て現職。共著に『日本のお金持ち研究』『新・日本のお金持ち研究』がある。
ルート・アンド・パートナーズ 代表取締役 
増渕達也

1992年、東京大学卒業後、電通に入社。2000年退社。02年セブンシーズ・アンド・カンパニーを設立。06年ルート・アンド・パートナーズを設立。富裕層のマーケティングを手がけ、7000人以上の富裕層に会ってきた。

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(プレジデント編集部 面澤 淳市 永井 浩、浮田輝雄=撮影)

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