あの企業、この事業はどう変わったのか[2000年代後半]

プレジデントオンライン / 2014年2月14日 10時45分

北京オリンピック(PANA=写真)

グローバル化で、盛んになる企業の合併・再編。日本企業がこれまでどのような合併劇を経てきたのか。過去30年の大きな流れをまとめた。

08年秋のリーマンショック後は守り志向の再編が強くなった。11年のパナソニックと三洋電機の統合もリストラ狙いの後ろ向きのもの。NECとカシオ、日立製作所の携帯電話事業など事業統合も増えたが、これも守り志向だ。

大きな話題では10年のキリンとサントリーの経営統合の破談がある。守りの統合ではなかったが、公開会社と非公開会社が一緒になるのは難しい。企業文化が大きく異なるからだ。

今後、強まると予想されるのは、日本市場の小さな枠ではなくグローバルを意識した合併や統合だ。鉄鋼業界では、新日鉄と韓国のポスコ、中国の宝鋼集団、インドのタタ製鉄の4つがくっつくケース。これくらいやらないとミタルに対抗できない可能性がある。

こうした日本企業が主役を担うグローバル合併の数は少ない。例外が東芝がウエスチングハウスを買収した06年の事例。西田厚聰社長(当時)が選択と集中を徹底し、原発と半導体の2分野に大きく舵を切った。背景に新興国で原発需要が大きく伸びるという読みがあり、実際正しかったが福島第一原発事故で微妙な状況になっている。

同じパターンで、「ありえない」と一笑に付されていたが、今やありえなくもないケースに、サムスンによるソニーの吸収合併がある。10年、レナウンが中国の山東如意科技集団の傘下に入ったように、新興国の成長企業に日本企業が買収される例も増えるだろう。その場合に狙われるのは、事業力はあるが経営力がないため時価総額が低い日本企業で、その数は少なくない。これは日本企業の現場のレベルが高く経営のレベルが低い証左でもあり、経営者が反省を迫られる可能性もある。

また、日本企業は国内プレーヤーが多すぎて規模が小さいために海外進出できないという議論があるが、発想が間違っている。小さいから出ていけないのではなく、出ていかないから大きくなれないのだ。85年のプラザ合意直後、企業の海外進出は国内機能を空洞化させ、雇用が減るという議論があったが、現実は正反対。積極的に海外進出した企業ほどビジネスを拡大させ、国内でも空洞化に見舞われるどころか、研究開発やマザー・ファクトリー機能の重要性が高まり、雇用が増えた。

今、グローバル化の必要性が叫ばれているが、東アジア地域の人口がピークを迎える30年までは「グローバリゼーション=アジアナイゼーション」だ。その後のインドなどの南アジアの時代では、インドが英語圏であるため、米国企業が有利になるだろう。次のアフリカの時代では、旧植民地の関係で今度は欧州企業が有利になると考えられる。そう考えると、今から30年までが日本にとっての最後のチャンス。チャンスをうまく生かせるかどうかは、攻めの企業再編をうまく仕掛けられるか、にかかっている。

●2006
【代表的な再編・合併事例】

・オリジン東秀をめぐり、ドン・キホーテとイオンがTOB合戦
・東芝が米ウエスティングハウスを買収
・日本板硝子が英ガラス大手ピルキントンを買収
・ソフトバンクがボーダフォンを1兆9172億円で買収
・王子製紙の北越製紙に対する敵対的TOBが失敗
・阪急HDが阪神電鉄を完全子会社化し、阪急阪神HDが誕生
・スティール・パートナーズの明星食品へのTOBが失敗、日清食品HD傘下へ
【世界・社会の出来事】ライブドア上場廃止/会社法施行/村上ファンド代表逮捕/北朝鮮ミサイル発射/日銀がゼロ金利を解除、景気が「いざなぎ」超え

●2007
【代表的な再編・合併事例】

・JTが英ガラハーを日本企業として史上最高の2兆2530億円で買収
・コニカミノルタ、カメラ事業を終了
・三菱ウェルファーマと田辺製薬が合併、田辺三菱製薬誕生
【世界・社会の出来事】北朝鮮六カ国協議/食品偽装問題相次ぐ/郵政民営化

●2008
【代表的な再編・合併事例】

・日立、汎用半導体から撤退
・富士フイルムHDが富山化学工業を買収
・野村証券がリーマン・ブラザーズ日本国内法人を買収
・三越と伊勢丹が合併、三越伊勢丹HD誕生
・米シティが日興コーディアルグループを吸収合併、日興シティHD誕生
・武田薬品工業が米ミレニアムを買収
・日本ビクターとケンウッドが経営統合
【世界・社会の出来事】北京オリンピック
※日経平均大納会終値 8859.56、年末 円/ドル 98.31

●2009
【代表的な再編・合併事例】

・三井住友、大和証券、合弁解消
・三菱ケミカルが三菱レイヨンを買収へ
・ファミリーマートがam/pmを買収、完全子会社化
【世界・社会の出来事】「事業仕分け」始まる/政府がデフレ宣言/オバマ政権スタート

チリ落盤事故(PANA=写真)

●2010
【代表的な再編・合併事例】

・富士電機システムズとTDKラムダ、電源事業を統合
・三菱UFJとモルガン・スタンレー、証券統合
・UDトラックスと三菱ふそう、バス事業の統合を断念
・NEC、カシオ、日立、携帯電話事業を統合
・キリン、サントリー、経営統合交渉破談
・新日石と新日鉱が経営統合、JXHD誕生
・NECエレクトロニクス、ルネサステクノロジ合併、ルネサスエレクトロニクスが誕生
・損保ジャパンと日本興亜が経営統合、NKSJHD誕生
・富士通と東芝が携帯電話機事業の統合を発表
・日立製作所、三菱重工業、三菱電機が水力発電システム事業の統合を発表
・レナウン、中国・山東如意科技集団の傘下入りが決定
・アサヒビール、豪州清涼飲料3位ピー・アンド・エヌ・ビバレッジズ・オーストラリアの買収を発表
・ローソン、HMVジャパンを買収
・シャープがパソコン事業からの撤退を表明
【世界・社会の出来事】上海万博/チリ落盤事故/宮崎で「口蹄疫」発生/尖閣諸島で中国漁船が巡視船に衝突/村木厚労省元局長に無罪判決

東日本大震災(PANA=写真)

●2011
【代表的な再編・合併事例】

・パナソニック、三洋電機とパナソニック電工の完全子会社化を発表
・住友信託銀と中央三井トラスト、統合
・新日鉄と住友金属が合併を発表
・住友商事がCSKの子会社化を発表
・サッポロHDがポッカを買収を発表
・イオンがパルコの買収を発表
・イオンリテールとマイカル(サティ)が合併
・武田薬品、スイスのナイコメッドを約1兆円で買収
【世界・社会の出来事】東日本大震災

(一橋大学大学院商学研究科教授 橘川 武郎 構成=荻野進介 写真=PANA)

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