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頭のよい子が育つ町、子育てしやすい町

プレジデントオンライン / 2014年2月28日 13時15分

東京都北区・江戸川区

小中一貫教育、少人数学級、独自科目……。自治体によって、教育の施策にはかなりの温度差がある。どんな町に住めば、子どもの教育にプラスになるのだろうか――。

孟母三遷という言葉もある通り、環境は子供の学ぶ意識を後押しするのに重要な意味を持つ。では、どんな町に住めば、子どもの教育にプラスになるか。独自施策のある自治体を紹介するとともに、チェックすべき点を見ていこう。

図は子育て、教育に関して独自性のある施策を実践する自治体を首都圏、関西圏でピックアップしたもの。いずれの施策においても先駆者として取り組んできた自治体を挙げたが、おもしろいのは、これらの施策は現在、他の自治体でも実施あるいは実施検討が行われているものばかりだという点。

たとえば、2006年に品川区で始まった小中一貫教育。同年に京都市、奈良市、呉市、品川区が発起人となって設立された「小中一貫教育全国連絡協議会」が10年度に全国の自治体を対象に行った調査によると、小中一貫教育または小中連携教育を実施、または実施検討中の自治体は、調査に回答した1121自治体の約半数、590自治体に及んでいる。日本の基礎自治体(市町村と東京23区)1742(13年1月現在)のうち、数年でその3分の1が小中一貫教育に対して何らかのアクションを起こしたことになる。さらに最近では台東区、足立区、中野区、北区のように、小中のみでなく幼稚園との連携を模索する動きもある。

少人数学級、教科担任制などの施策も同様に波及しており、教育に力を入れる自治体なら、ここに挙げた施策はすでに実施、もしくは検討されている可能性が高い。選ぶ側から考えると、その状況を見ることで自治体の力の入れ具合が判断できるというわけだ。

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東京都品川区・世田谷区

そのほかに、どのような施策が目安となるか。少人数学級は小学校低学年を対象とすることが多いが、杉並区のように高学年を対象にする例も出ており、今後、さらに取り組む自治体が増えるものと思われる。1クラスの人員を減らすだけでなく、子ども1人当たりの先生の数を増やす自治体もある。余分な人員にかかる費用は自治体負担となるため、財政事情のいい自治体ほど教育に力を入れられるという言い方もできよう。

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東京都三鷹市・茨城県つくば市

最近、目につきはじめたのは放課後などを利用して、基礎学力向上のための補習を行う自治体。志木市のほか、大田区やさいたま市、堺市などでも行われており、今後、さらに増えるものと思われる。

ICT(情報通信技術)利用では荒川区が13年以降に全小中学校の児童・生徒にタブレットPCを配布する計画が話題になった。追随する例はまだないようだが、今後、新たに取り組む自治体も出てきそうだ。

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千葉県浦安市・埼玉県志木市

各種施策の中で自治体にとってもっともハードルが高く、それだけに熱心さを読み取りやすいのは独自科目の創設。図の世田谷区、品川区以外では港区(国際科)、荒川区・杉並区・埼玉県新座市・同戸田市・狭山市(英語科)、千葉県松戸市(言語活用科)、埼玉県さいたま市(潤いの時間)、静岡県沼津市(言語科)、兵庫県伊丹市・広島県全体(ことば科)、兵庫県尼崎市(計算科)などなど。また、葛飾区では13年から小学校に体力向上科を導入する予定だ。

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大阪府堺市・兵庫県西宮市

こうした自治体の施策、取り組みを知る方法として手っ取り早いのは、教育委員会のホームページをチェックすること。自治体ホームページ上に教育委員会へのリンクがない、リンクはされていても名簿と議事録程度となれば、残念ながら施策が素晴らしい可能性は低い。熱心な自治体であれば、教育方針、施策の詳細などについて詳しい記載があるはずなので、複数の自治体を比べて眺めてみるといい。

■子育て家庭が引っ越しで重要視するポイント

引っ越し先の環境は誰しも気になる。子供がいればなおさらだ。引っ越し候補の町を母親の視点から下見するサービスを行っている非営利型株式会社ポラリスによると、「自治体の子育て支援制度などはホームページなどで調べる人が増えたが、もう一歩踏み込んで制度の使い勝手まで調べるといい」とのこと。同じ額の医療費助成があっても、全く払わずに済む自治体と、立て替え払い、後日返金の自治体では親の手間が全く異なるからだ。

また、小中学校、病院などの評判をネットの書き込みなど一つの情報源に頼るのは危険。現地を見る、地元の声を聞くなど複数の情報を参考にしたい。

子供が小学生なら自宅から1人で遊びにいけるなど、自立できる環境なのかも意識したい。乳幼児期に気にならなかった環境が成長に従ってマイナスになることもある。いろいろな年代の人の意見を参考にして、悔いのない引っ越しをしたい。

※レーダーチャートの指標
自然環境:総務省「住民基本台帳人口・世帯数」平成23年3月31日現在の人口から算出した、1人あたりの都市公園面積で比較。
教育環境:文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」平成23年度より、小学校の教育用コンピュータ1台あたりの児童数で比較。
医療環境:厚生労働省「医療施設調査」平成22年度より、15歳までの子ども5000人あたりの小児科医数で比較。
財政事情:総務省「地方財政状況調査関係資料」平成22年度の財政力指数より比較。
将来性:2005~10年の総務省統計局「国勢調査(全国・都道府県・市区町村別人口)」より人口増減率で比較。

(中川寛子、田中和彦(大阪)=構成 茨城つくば地域振興課=写真)

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