4~9%の高利回り!太陽光発電は儲かるか
プレジデントオンライン / 2014年3月21日 12時15分
東日本大震災から、3年。地震、津波の被害もさることながら、その後に続いた福島第一原子力発電所の事故は多くの人の暮らしを一変させた。当時、東京電力管内では計画停電が実施され、不便な生活を強いられた人も多い。そうした経験からか、震災後は住宅の新築の際などに、太陽光発電を導入する人が増えている。
とはいえ、太陽光発電の取り付けにはまとまった初期費用がかかる。決して安い買い物ではないため、誰もが簡単に導入できるものではない。だが、長い目で見れば、太陽光発電はお得で、十分に初期投資を回収できる高利回り商品といえるのだ。
そのカギを握るのが、2012年7月に始まった「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」だ。太陽光や風力、地熱など再生可能エネルギーで発電された電気を、その地域の電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束したもの。契約した人は、発電量に応じて10~20年間、最初に適用された価格(固定価格)で電力の販売が約束される。電力需要が少ない日でも、電力会社には火力発電所などを先に止めて、再生可能エネルギーを優先的に使うように義務付けられているので、太陽光発電の契約者は確実に収益を見込むことができるのだ。
買い取り価格は、毎年度見直されることになっており、13年度に契約した場合は、太陽光パネルの発電量に応じて次のような価格(税込み) となる。
●10kW以上/発電した電力のすべて、もしくは一部を販売でき、1kWあたり37.8円。固定買い取り期間は20年間。
●10kW未満/販売できるのは、自家消費した分を除いて余った電力。1kWあたり38円で、固定買い取り期間は10年間。
たとえば、4kWの太陽光パネルを設置した場合で試算してみよう。太陽光パネル1kWあたりの費用は40万円程度なので、4kWなら160万円の初期投資がかかる。
パネルは30年程度の耐久力はあるが、システム管理をするパワーコントローラーは10年に1回、約5万円のメンテナンス費用がかかる。
一方、年間発電量は1KWあたり1000kWh程度なので、4kWのパネルをのせれば約4000kWhを発電できる。このうち4割を自家消費し、余剰の6割分を売電した場合に得られる利益は年間約9万円。11年目以降の買い取り価格は不明だが、現在の38円が続いたと仮定すると、17~18年で初期費用は回収できる計算になる。このほかに、深夜電力を利用したり、売電量を増やせれば、回収期間は早めることもでき、その後は発電した分だけ確実に利益につながっていく。
そのため、固定価格買い取り制度での電気代を金融商品に換算すると、4~9%の利回りになるという試算もある。
年々、増え続ける電力需要を賄うために、国は一般家庭の太陽光発電設置の誘導策を当面は続けるはずだが、普及が進めば、買い取り価格は現状よりも引き下げられる可能性も大いにある。現在の価格が適用されるのは3月31日までなので、設置を検討しているなら早く始めたほうがお得だ。
補助金制度もあり、現在、1kWあたり41万円以下の太陽光パネルは2万円、41万超~50万円までのパネルは1万5000円の補助金がつく。
もっとも、住まいの方角や日照条件によっては思い通りの回収ができない可能性もある。効率よく発電するためには、緯度と経度を計測して最も効率のよい設置位置を決めるなど、事前のシミュレーションをしっかりすることが大切だ。
さらに、家人の年齢や住宅の耐久性などにも考慮が必要だが、条件のいいうちに一考する価値はあるだろう。
(家電&インテリアコーディネーター 戸井田 園子 構成=早川幸子)
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