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価格10分の1の商品も。ジェネリック家電入門

プレジデントオンライン / 2014年4月21日 8時45分

エコ意識が高まる昨今、一躍脚光を浴びた家電といえば扇風機だ。電力不足が心配された2011年の夏は、消費電力の少ない扇風機が飛ぶように売れた。今年もまだまだ注目を浴びるだろう。

実はその扇風機の多くが、「ジェネリック家電」だ。ジェネリック(generic)とは、「一般的な」「総称的な」と訳され、ブランドにこだわらないことを意味する。医薬品で「ジェネリック」といえば、特許切れの新薬と同じ有効成分で作られた価格の安い後発品だが、ジェネリック家電とは、薬のそれとは若干異なり、近年に発売されている製品の技術も含めて利用しつつ、安価に提供している商品のこと。ブランド力のある大手電機メーカーの製品と同等の性能を備えているのに、低価格で手に入れられる商品だ。

大手電機メーカー各社は、毎年のように新しい機能を備えたテレビ、冷蔵庫、エアコンなどを発売している。そこで開発された技術や部品は十分に使えるものでも、少し古くなると市場価値が下がってしまう。ジェネリック家電は、特許を侵害しない形でそうした技術や部品を利用して作られている。国内の中小メーカーなどが手掛けており、研究開発費がかからず、大手家電メーカーのように莫大な広告費もかけないため、リーズナブルな価格で販売できるのだ。

低価格のもうひとつの理由は、搭載する機能をシンプルにしていること。たとえば、料理を温めるだけではなく、蒸したり、焼いたりとさまざまな機能が備わっている大手家電メーカーA社のオーブンレンジは約10万円。一方、ジェネリック家電の中には温める機能に絞ったことで、1万円程度のものもある。また、大量生産されている定番部品を多用することで価格を抑えていることなども特徴だ。

気になるのは品質だが、独自の安全基準を設定し、耐久性テストも行っている。消費電力にも気を配られており、素材も環境基準を満たしている。コールセンターがあるのも国内メーカーならではで、「安かろう、悪かろう」のB級品とは一線を画している。

認知度はジワジワと浸透し、13年12月には某雑誌の企画で「ジェネリック家電大賞」が選ばれた。「生活家電部門」の大賞は、山善の扇風機。強中弱の切り替えやタイマー、高さ調整機能などの基本性能があり、1500円弱の価格で買えるヒット商品だ。このほか、アイリスオーヤマのマルチクッカー(3000円弱)、5年で80万台以上を売り上げたコイズミのヘアドライヤー(2500円前後)、7000円以下で十分な機能のついた山善のカジュアルこたつなどが選ばれた。

このラインアップを見てもわかる通り、ジェネリック家電に多いのは小型から中型の家電だ。電子レンジ、掃除機、ホットカーペット、ラジカセなど、すでに公開されている基礎的な技術があれば製造できるものが得意とする分野だ。

反対に、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど大型家電は、技術進歩が速く、次々と消費電力の少ない新しい商品が開発されている。リサイクル法などとの兼ね合いもあり、経営規模の小さな中小メーカーは手を出しにくいといった面もあるのだろう。

このように、ジェネリック家電には、得意、不得意がある。日本が「ものづくり大国」として成長してこられたのは、家電をはじめとするメーカーの努力のたまもの。日本の技術を育てるという別の視点から見れば、大手メーカーの商品を買って応援するという選択もある。

だが、求めるニーズがはっきりしていて、シンプルな機能を求める人にとって、小型から中型家電は、価格の安いジェネリックはお勧めだ。

(家電&インテリアコーディネーター 戸井田 園子 構成=早川幸子)

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