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今、「妻の保険」を解約しても「公的保障」がつく理由

プレジデントオンライン / 2014年4月25日 13時15分

遺族基礎年金の金額(筆者作成)

■新しい「遺族基礎年金」を味方につけ、家計の見直しを!

4月1日から消費税が増税になり、年収800万円の人で年間約10万円の負担増が見込まれています。これは1カ月あたり約8000円にもなる負担ですから、食費や水道光熱費に加え、夫の小遣いカットなどで乗り切ろうとすると、ストレスが溜まって長続きしないことでしょう。

でも! 消費税と共に変わった「遺族基礎年金」を味方につけると、家計の見直しがぐっと楽になるのです。

実は、あまりきちんと知られていませんが、消費税が増税になった平成26年4月1日から、「子」がいる親にもしものことが起こったときには、遺族基礎年金が受け取れるようになりました(「子」とは、18歳の年度末を迎えるまでの未婚の子、または、20歳までの障害等級1級・2級の未婚の子を指します)。

今までの遺族基礎年金制度は、夫が亡くなり「妻と子」や「子」だけが残されたときに限定されており、妻が亡くなり「夫と子」が残された父子家庭では、遺族基礎年金がもらえませんでした。これはどうみても男女不平等です。

そこで、この春からは、夫でも妻でも、会社員でも自営業者でも専業主婦(専業主夫)でも、とにかく親が亡くなって「子」が残された場合には、遺族基礎年金がもらえるようになりました。それ自体が朗報ですが、さらに子育て家庭は妻の死亡保険の保険料を丸々減らす選択肢を持つことができるのも大きなメリットです。

では、今回の改正によってどれぐらい家計が変わるのでしょうか。

夫婦共働きで子供2人の家庭の場合。フルタイムで勤務する妻が「子どもがいるから」と、自分自身に万が一のことがあったときに毎月10万円を夫が受け取れる「収入保障保険」に加入し、毎月約4000円の保険料を支払っていたとします。ところが、今回の遺族基礎年金の改正により、この女性が亡くなると、残された夫と子に月10万円以上の遺族基礎年金がおりるので、思い切って保険を解約し、月4000円を増税分の支出にあてることもできます。

すると残りの月々の増税負担分は4000円なので、1日あたり約130円の見直しですむのです。これなら夫の小遣いを減額せずにすむかもしれません。また、浮いた4000円を残り20年間貯めたとすると、それだけで96万円の貯蓄ができます。

別のケースも見てみましょう。ある専業主婦の女性が「子どもが産まれたばかりだから、もしものときにベビーシッターを雇うお金が出るように」と共済に加入し、月約2000円を払っていたとします。このケースも遺族基礎年金の改正により、0歳の子どもと夫が残された父子家庭には、子が18歳になるまで総額1,800万円を受け取れる計算となりますから、ベビーシッター代に困ることはなさそうです。

このように、消費税8%時代にストレス少なく行う家計改善には、子のある妻の保険の見直しが極めて効果的なのです。保険に加入することで安心を得ている人は多いですが、家族のライフプランや家計のバランスを考え、余計な出費や保障の重複する保険を省くことが必要なのです。

もちろん遺族基礎年金を受け取るためには、亡くなった人が自営業者なら国民年金保険料を納めておくことが必要ですし、その他にも、残されたパートナーが年収850万円未満であるなどの一定の要件を満たす必要があります。また、そもそも、請求しなければ遺族基礎年金はもらえません。

だからこそ、制度の変化を知っておく必要があるのです。

何かと負担増ばかりにスポットがあたる消費税の増税ですが、このように子育て世帯にとってはプラスの面もあることを知っていてくださいね。 

(ファイナンシャルプランナー 前野 彩)

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