【ホンダ】東芝、積水ハウスと始めたスマートハウスの「家産家消」

プレジデントオンライン / 2014年7月2日 12時15分

ホンダ、東芝、積水ハウスがさいたま市に建設したスマートハウスの実証実験棟。

■車が自動運転で車庫に入って充電

「将来こんな家に住めたらいい」――。見学した誰もがそう思ったホンダのスマートホームは、さいたま市桜区に建ち、目の前には埼玉大学がある。

そのスマートホームは敷地面積60坪、延べ床面積74坪の3階建て二世帯住宅で、ITやパーソナルモビリティなどの技術と、家庭、地域のエネルギー需給を総合的にコントロールするエネルギーマネジメントを取り入れたものだ。

例えば、昼間外出している子世帯での太陽光発電の余剰電力を親世帯で使うなど、親世帯、子世帯で生んだ電力を各世帯の需要に応じて相互に供給し合うことができる。また、敷地内に止めた車「フィットEV」は、非接触充電機器を設置した車庫に自動運転で精度よく駐車して充電する。しかも、進化したV2H(Vehicle to Home)システムを導入しているので、車に蓄積されている電力が家庭用の非常時電源としてだけでなく、系統連系によって周辺コミュニティーに電力の供給も行える。

もちろん屋内についても、さまざまな工夫が施される。床はベランダまで完全にフラット化され、ホンダの1人乗り電動車「UNI-CUBβ(ユニカブベータ)」が自由に動けるようになっている。これによって、足腰の弱ったお年寄りでも、座ったままどこにでも移動できる。

そのうえ、ドアや窓、ブラインドが自動開閉式で、強い日射しを感知すると、ブラインドが下がり、また外が涼しくなると、窓が開き、涼しい風を室内に取り入れるのだ。また、外が暗くなると、自動的に室内の照明が点灯する。

■エネルギーの“家産家消”を目指す

「2020年の暮らしはどういうものか。モビリティを含めた暮らしの二酸化炭素排出量ゼロを目標に、実際に人が住める戸建て二世帯住宅で、それを具現化してみた」と本田技術研究所汎用R&Dセンターの瀧澤敏明主任研究員は話す。

車は自動運転で車庫に駐車して、充電する。

このスマートホームにはそのほか、スマートメーター、太陽電池連系リチウム電池、スマート家電HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)、ホンダスマートホームシステムなどの機器が設置されている。

ホンダは2011年のさいたま市との「E-KIZUNAプロジェクト協定」締結を機に、東芝、積水ハウスと共同でスマートホームの実証実験を開始した。今回の二世帯住宅はその3棟目で、フルスペックのものだ。総工費については、明らかにしなかったが、数億円と見られる。

すでに実証実験を行っている2棟のうち1棟では、ホンダの従業員が実際に居住し、さまざまな検証を行ってきた。「ホンダスマートホームシステムがない場合と比べると、二酸化炭素排出量が49.7%削減できた。光熱費(ガソリン代含む)についても年間平均で月58%、約2万4000円分削減できた」と瀧澤主任研究員は話し、こう付け加える。

「当初、ホンダがコミットメントしていた2015年度の二酸化炭素排出量半減が見えてきたので、2025年度ゼロに向けた技術・手法の確立という目標を5年前倒しすることにした」

ホンダはトヨタ自動車のように住宅事業に参入する計画はないが、この実証実験のデータを基にシステムを構成する機器類の改良を重ねて、エネルギーの“家産家消”を目指していくという。そして、それを個人の家だけにとどまらず、街や社会へ広げていこうと考えている。

(ジャーナリスト 山田 清志)

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