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ライバル企業「働きがい」対決【1】

プレジデントオンライン / 2014年7月23日 9時45分

国籍・国境を越えた人材の流動。それが不可避の流れとなってきた今、意欲ある働き手に必要なのは、建前やイメージを排したより広く深い就職・転職先のナマ情報だ。今回、国内外の大手企業間に40万人近いネットワークを持つ就職・転職リサーチ会社に、国内・外資トップ企業社員による自社の採点データをいただいた。

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※各データ(5点満点)および社員クチコミはすべてVorkers社提供(13年8月19日時点)。クチコミの最後の数値は、コメント主が付けた総合点。

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■約40万人従業員の自社評価データ

「国内企業の社員の多くは自分なりのスペシャリティを身に付けられず、辞めるに辞められない」――就職・転職サイト、ヴォーカーズ(Vorkers、東京都渋谷区)の増井慎二郎社長が語る。

「しかし、外資系の方は、初めから自分のスペシャリティを築くことを念頭に職を選んでいる。早期退職を勧められる事態になっても、ある程度見通しを立てている方が多い」(増井氏)

ヴォーカーズ社は国内外の企業39万7854人(13年8月19日現在)の従業員から、自社を8つの指標で採点したデータを集積。クチコミ情報と併せて自社サイトで公開している(一部有料)。今回、競合関係にある国内・外資大手2社を、ヴォーカーズ社の評点で比較してみた。

同じ市場で戦うライバル同士、どちらが働きがいがあるかは興味の的である。が、その尺度は単純ではない。

「定年までじっくり働きたい年配の方を多く抱えて高い評点を得ている国内企業もある半面、外資系ではリストラが多い環境でも、成長機会や待遇面により評点が高い場合も。部門によって評点が上下したり、上司の影響が大きいのはどの企業も同じ」(増井氏)

各種データと併せて社員、元社員のナマの声から、おのおのの職場のリアルな様相を想像してほしい。

■野村証券 vs ゴールドマン・サックス証券

●ゴールドマンは社員が“リストラ”をプラス評価
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野村証券 vs ゴールドマン・サックス証券

ともに「自分がどの程度稼いだか」がシビアに管理される企業だが、野村では、数字を出さなければ「上司に精神的に追い詰められる」ことはあっても、簡単にリストラが行われるとはあまり聞かない。一方、ゴールドマンでは、市場の変化次第では部門をまるまる閉鎖するなど容赦ないリストラが行われる。ただ、社員がリストラを組織としての新陳代謝というプラス面でも評価していることが社員クチコミからも窺え、それが「待遇面の満足度」や「社員の士気」の高い水準に影響しているのだろう。(増井)

●社員のクチコミ
・野村証券[総合評価:3.5]

「人間的に幅と深みのある人多数。いい意味で大雑把で勢いがある。が、リーマン買収後は不満を抱える人も多く、社内に士気の高ぶりがあまり感じられず」(管理部門、5~10年、新卒、男性、3.3)

「信賞必罰。出世の分かれ道に到達するのが早い。ワークライフバランス? なんじゃそりゃ? という感じ」(営業部、5~10年、中途→退社、男性、2.8)

「紹介予定派遣から正社員になれると聞いたが実際は契約社員。正社員より成果挙げても待遇に反映されず転職を決意」(管理部門、5~10年、中途→退社、女性、2.9)

「企業アナリストが過重労働になっているケースは多い」(調査部門、5~10年、中途、男性、3.8)

・ゴールドマン・サックス証券[総合評価:4.0]

「新卒入社組が優遇されるため、中途採用組は若干覚悟すべし。外資系の中でも特に高い英語力が必要。「顧客のためなら何でもする」雰囲気が強く、過剰接待も日常茶飯事」(株式部門、3年未満、中途→退社、男性、3.9)

「女性が働き続けることに関しては、理解度は高い。自分で仕事の調整がつけやすく、思った時期に休みを取ることはできる。3年で昇進できず転職」(信用リスク管理、3~5年、新卒→退社、女性、3.8)

「Risk at valueの仕事をやるほど給料がもらえるため、どんどん提案していく。ただし目立ちすぎないように注意すべき」(アナリスト、3年未満、中途、男性、4.0)

■ソニー vs 日本サムスン

●人材流出は「待遇面の満足度」の差のせい!?
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ソニー vs 日本サムスン

人材の引き抜きでもしばしば話題となる2社だが、「待遇面の満足度」の比較を見ると、ソニーの人材がサムスンへ流れる理由が確認できる。一方、「人材の長期育成」という点で見ると、即戦力をより重く見るサムスンへ入社する場合には、リストラも含めたある程度の覚悟が必要であることが見て取れる。

「風通しの良さ」「社員の相互尊重」などでサムスンを上回るソニーだが、「社員の士気」にほぼ差がないところに、現状の厳しさが示されているように感じる。(増井)

●社員のクチコミ
・ソニー[総合評価:3.4]

「30代後半以降は、早く管理職になって会社が業績好調なら高給。簡単なテーマで確実に成果を挙げるのをよしとする人が増えた。40代は人員削減の対象になる可能性が高く不安あり」(商品開発部、5~10年、中途、男性、3.4)

「若手に大きな仕事を与えている。自分で考え自分で悩み自分ごととして仕事をするカルチャーが浸透。あまりにボトムアップが強いため、内部の方向性の相反が頻繁に起こる」(企画部門、5~10年、新卒、男性、4.9)

「関わった製品に顧客から評価をいただくときに最もやりがいを感じる。産休や育休は男性も取りやすい。女性の管理職は少ない。有休の調整は当人次第」(設計部門、3年未満、中途→退社、女性、3.4)

・日本サムスン[総合評価:3.1]

「全体的な雰囲気は悪くない。本社社員はプライドが高い人が多く、コミュニケーションを取るだけで精一杯。新卒だけで固まったり、派閥意識も凄い。若い女子の発言力がとんでもなく強い」(支援、3年未満、中途→退社、男性、3.8)

「プライベートで韓国人上司の家庭の手伝いや土日の呼び出し、土日出勤が普通にあった。本社からの出張者の接待も多い。製品力は強いので売りやすいが、ノルマ必達のプレッシャーは非常に強い」(半導体事業部、5~10年、新卒→退社、男性、3.1)

「すべての仕事に極端なスピードが必要。継続性に欠け、現地社員は入退社を繰り返し、駐在員も一定期間で帰国」(管理部門、3年未満、中途、女性、3.0)

■ユニクロ vs GAP JAPAN

●「重労働」でもユニクロの評価はバランス良好
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ユニクロ vs GAP JAPAN

過去に重労働が話題となったユニクロだが、小売業界の中では、総合的にバランスの取れた社員評価となっている。社内制度の確立やトップダウンによる指示・通達の徹底などが社員のクチコミに垣間見え、「法令順守意識」の高さにも納得。半面、ボトムアップの度合いも問われる「風通しの良さ」の評価は業界平均並みだ。一方、ギャップジャパンに関しては、「社員の相互尊重」と「風通しの良さ」の評価点の高さは、他の外資系小売りにあまり見られない強みといえそうだ。(増井)

●社員のクチコミ
・ユニクロ[総合評価:3.3]

「スピード重視、完全実力主義だが、実情は上司に気に入られるかどうか。スーパーバイザーよりもリーダーといわれる役職に人事権があるため、配属店でほぼ評価が決まる。正直、運が必要。女性管理職が多く優遇されるが、上級管理職になってもすぐに降格か現状維持に」(店長、10~15年、新卒、男性、2.0)

「仕事するだけで非日常のような感覚。一度退職した女性スタッフが「やはりユニクロがいい」とよく戻ってくる」(営業、3年未満、中途、男性、4.0)

「サービス残業が半強制、暗黙の了解で多すぎ。仕事中は売り場の服で全身コーディネート。社販で3割引きだが、週5勤務ならかなりの出費になる」(店長候補、3年未満、新卒→退社、女性、3.4)

・GAP JAPAN[総合評価:3.3]

「米国からの訪問者や本社から上司が来店するとなると、お客様優先でなくなることがしょっちゅう。年俸制、インセンティブあり。年に一度自己評価を上司にプレゼン」(アソシエイトマネージャー、5~10年、中途→退職、女性、2.5)

「人材育成のための投資を惜しまない。仕事上のスキルはほとんどここで教わった。本社の意向がすべてで、日本独自の施策が打ちにくい。上層部がよく入れ替わる。長期休暇が取りやすく年2回は海外旅行に」(ストアマネジャー、10~15年、中途→退社、男性、4.0)

「夏季はサマーアワー、業務が半日で終わったり、有休消化の推奨などワークライフバランスには注力」(シニアマネージャー、5~10年、中途、男性、3.3)

(プレジデント編集部 西川 修一 宇佐見利明=撮影)

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