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「未婚率1位」京都、恋愛力養成「百人一首合コン」密着

プレジデントオンライン / 2014年7月24日 8時45分

120畳の大広間に男女が集結!(「小倉百人一首殿堂 時雨殿」HPより)

■「伝統文化」×「婚活」の熱いコラボが恋を叶える?

 京都市の未婚率の高さは深刻です。国勢調査(平成22年/総務省統計局)によると、たとえば30~34歳ではその値、男性51.6%、女性43.2%(全国平均:男性41.6%、女性34.5%)。政令指定都市20市のうち、京都は男性1位、女性2位という結果です。ちなみに女性1位は福岡市です(博多美人と京美人がともに売れ残るって、どういうことでしょうか)。

そんな非常事態を憂えたわけではないでしょうが、意外な団体が立ち上がりました。

それは、京都の名勝・嵯峨嵐山の一角に荘厳な雰囲気を漂せる、文化観光施設『小倉百人一首殿堂 時雨殿(しぐれでん)』。

その施設内の120畳ある大広間で「お笑い百人一首コン」が7月上旬開催されました。

聞けば、今年で2回目の婚活イベント。未婚の男女が和歌づくりやランチバイキング、地元の伝統工芸づくりなどを楽しみ、最後に男性が平安歌人よろしく自作の和歌で女性に愛を告白します。

さらには、男性が“告うた”をつくる間、女性には誕生日占いで恋愛アドバイスを、成立したカップルには渡月橋上流の大堰川(おおいがわ)でボート体験を、という嬉しいおまけつき♪ 一日密着取材してみました。

男女の初対面はなんと電車のなか! みんなで京都観光に欠かせない嵐電(らんでん)のかわいい一輌電車に乗り、嵐山までの20分間を一緒に仲良く揺られて行こうというのです。

この日集まったのは35歳までの男女が各30名ほど。見たところ、チャラい系、ケバい系はひとりもいません。かといって生真面目というふうでもない。服装もナチュラル&カジュアルで、どこにでもよくいる、ごくフツーのおにーさんおねーさんたちです。

■なんとカップル成立率50%という快挙!

最初こそ緊張気味の彼らでしたが、放送作家の軽妙な司会のもと、打ち解けていきます。「めっちゃ優しい人を見つけて帰ります」と男性が言えば、「すてきな一日になりそうです」と女性が返す。「マッサージが得意です」と女性が言えば、「料理ができます」と男性が返す。そしてみんながわあっと笑う。「大人の遠足」とはこのこと。のっけから和気あいあい、楽しいムード満開です!

正直、このメンツを見る限りは未婚率の高い理由がわかりません。

というのは、みんな恋愛ポテンシャルが十分に高いからです。男女半々の8人ずつが8テーブルに分かれておこなう『うたづくり』。まとめ役に筆記役、積極的に歌をつくる人、それを真剣に聞く人と、誰ひとり外れることなくそれぞれに個性を発揮しながら、ここでも和気あいあいと作業に取り組んでいます。

小中学校のグループ授業をふと思い出すような、ほのぼのとした雰囲気です。なぜ彼らに恋人がいないのか。お披露目された歌に、そのヒントがありました。

「雨模様 いい人見つけに 時雨殿 あなたに会えて 心は晴れ晴れ」

ふだん出会いがないからここへ来たという意味です。確かに、市の調査でも、未婚女性のほぼ9割(87.8 %)が結婚を望みながら、その4割以上(42.0%)が「異性にめぐり合えない」ことを“結婚していない”理由に挙げています。恋をする前に出会うチャンスがない!

大堰川にこぎ出す新カップルたち

恋愛で大切なのは打率ではなく打数なのではないか。まずは打席に立つことだ。出会いさえあればきっと恋は始まる――。そのことを筆者が強く認識したのは告白タイムです。

それは波乱の幕開けでした。

トップバッターの男性が意中の女性の前に立った瞬間、例によって「ちょっと待った!」の声がかかり、計4人が並んだのです。ところが、歌を詠みあげ「お願いします」と短冊を差し出す彼ら全員に、女性の答えは「ごめんなさい」。どこからともなく嘆息が漏れます。(もったいない。今日会ったばかりの男女が簡単に結ばれるわけないか……。こりゃダメかなあ。)

しかし! それからが驚きの急展開! 

予想は簡単に裏切られます。その後差し出される短冊は次々と受け取られ、最終的に15組ものカップルが誕生したのです!(昨年も14組成立)

■作業×時間=新密度? ワークショップ型婚活の高成功率

竹籠づくりでは手が触れそうでドキドキ♪

男女のグループが一緒に旅をしたり同じ家に住んだりして恋人になるテレビ番組(『テラスハウス』)があります。

それと同じように、一日がかりのグループワークにも参加者間に運命共同体的な意識を生む効果があるのでしょう。それにしても、2年連続で参加者の半分がカップルとは! 成立率約50%の快挙は、いったいなぜ?

「みんなで同じ作業をしながら喜び、一人ひとりがたくさん笑ったからでしょう。“笑い”の空間はその人の『自分』を最もよく表現します。そこに真のコミュニケーションがある。笑いの分だけ、お互いに打ち解けることができ、そこから人は幸せに向かっていく。当然、恋愛も実るのだろうと思います」(司会者のWマコトさん)

「君がため 惜しからざりし 命さえ 長くもがなと 思ひけるかな」(小倉百人一首より 藤原義孝 意味:あなたに会えるなら、この命さえ惜しくはなかったのです。しかし、いざこうしてあなたに会えた今は、いつまでも長く生きてあなたと一緒にいたいと思うようになりました)

どんな恋愛も私たちを強くするものですね。

「カップルになれて、ただ純粋に嬉しいです!」(30代女性・成立)

「他のイベントに比べてコスパの高さが魅力的。健全だし、こんなに濃い内容でこの値段(男性6000円、女性4000円)はすごいと思う。食事中の席交換では本当にたくさん女性と話すことができた。満足しています」(30代男性・不成立)

「ふだんは男性との交流がない。それが今日ここで、色々な年齢の男性から恋愛や友情についての考えを聞けたことは本当に勉強になりました。恋愛、結婚を抜きにしても、とても楽しい時間でした」(20代女性・不成立)

ステキな一日でした、おしまい♪ ……と言いたいところですが、まだ続きがあります!

帰りの電車内の隅っこで、惜しくも不成立だった男女5人ほどが仲良く談笑しているのを私は目撃したのです! 笑顔はそのまま、みんな幸せそうでした。結婚も「急がば回れ」で、異性と話すのが苦手な人も、まずは多くの人と交流し、友情を育むところから少しずつそこへと近づいていくのもいいかもしれません。

百人一首コンを主催した公益財団法人小倉百人一首財団・事務局長、福西毅さんは言います。

「私たちは小倉百人一首や京都文化の普及と啓もう、そして嵯峨嵐山地域の活性化に役立てるよう努めていきたい。小倉百人一首を通じて、ひとりでも多くの人が潤い、幸せになることを願う私たちの活動の一環として今回のイベントを企画しました」

そんなマジメな狙いを参加者は知らないだろうが、京都ゆかりの小倉百人一首のオブラートに包まれた、男女の欲望渦巻く「テラスハウス」的な出会いこそ、彼らが切望していたものだったのかもしれない。

(ライター うずらの 月子)

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