「ワーママ」は毎日が綱渡りでも幸福度が高い理由
プレジデントオンライン / 2014年9月2日 11時15分
■編集部より指令
炎天下、子ども2人と大荷物を乗せて15分間自転車を漕ぎ、汗だくで保育園に送り届けたあと、満員電車に揺られる日々。
会社に到着した時点で全エネルギーの半分くらいは使い果たしている。仕事が終わって帰宅後も家事とお風呂と寝かしつけ……。
子育てしながらの共働きで毎日ヘトヘトですが、トクすることってあるんでしょうか。
■大宮冬洋さんの回答
「男の家事」半分やってるつもりでも実際は2割にすぎない
http://president.jp/articles/-/13336
■佐藤留美さんの回答
■釣り三昧夫の奥様は……
共働きで得をするのは主に夫――とは至言ですね。
まさに、その通りだと思います。
私の周囲で、週末はヨットとか、釣り三昧とか、夏フェス参加が欠かせないとか言っている旦那は、ほぼ例外なく妻が働き者で、共働きです。
ある女友達(超働き者)など、「夫は私が日頃、会社や家で“奴隷”をやっているからヨット三昧なんて“貴族”がやっていられる」とコボしています。
でも、彼女はそう言いながらも、半分以上「ノロケ」ているんですね。一生言ってろ、とでもいいたくなるくらいに。
なぜか?
それは他でもない、彼女の夫に「可愛げ」があるから。
たとえば……。
彼女は仕事がデキる人の特徴ですが、超が付くほど社交的。
よって、子どものPTAのリーダー役を買って出る、マンションの自治会委員を務めるなどは朝飯前。時には、失恋した友達の慰め役までする始末です。
だから、彼女の家にはいつも来客が絶えないんですね。土日だろうが、夜だろうが、お客さんがしょっちゅう来ます。
そんな落ち着かない状況は、普通の旦那なら思わず「カンベンしてくれよ~」と音をあげたくもなるはず。ところが、彼女の旦那は不快感をおくびにも出さないどころか、むしろその状況を楽しんでしまうのです。
よって、来客はいつも夫婦にもてなされてニンマリ顔。彼女もそんな状況をどこか誇らしげです。
しかも、彼は彼女の仕事やプライベートでの愚痴をよく聞く聞く。
彼女によると「ほとんど聞き流している」そうですが、話をさえぎらない、余計な問題解決志向をちらつかせないだけでもリッパなものです。
この、彼の余裕こそが「可愛げ」。それじゃあ、週末に家事を放り出して、ヨットに乗ったくらい許す気になりますよね。
■丸ごと楽しんでしまえ!
さて、共働き夫婦のための男の心構えはこのくらいにして、女はどうやってこの難局を乗り切るか?
それは、ちょっときれいごとのようですが、手におえない子育ても、ストレスフルな仕事も、やってもやっても終わらない家事も丸ごと、楽しんでしまうことだと思うんです。
先日私は、あるアメリカの調査記事を読み感銘を受けました(出典を忘れてしまいましたが、確かこんなことが書いてありました)。人間にとって幸せとは何か?という記事です。
すると、人間にとって幸福を感じる瞬間の1つとして「特定の集団に属していることと、そこで行われる様々な催し事に参加しているとき」とあったのです。
何か感じるものが、ありませんか?
人間は一つの集団に属しているというだけで安心と幸福を感じ、そこで行われるイベントに最上の喜びを見出す生き物だということがアンケート結果により証明されていたのです。
そう考えると、「家庭」という集団を持ち、そこから生まれる様々な催し事――子どもの運動会や七五三などのイベント――を経験でき、さらには、会社という集団に属し、そこから派生する様々なイベント――日々の仕事やプロジェクト、飲み会や社内イベント――などに参加できる、つまりは最低2つの集団に属しているワーキングマザーはなんと幸福な種族なのでしょうか。
だから、その状況を余すところなく味わい尽くすことが、忙しすぎる毎日を乗り切る1つの心構えだと思うんです。
楽しむ――のが目的なのですから、すべてが100点である必要はありません。
だいたい、その人が楽しんでやることは仕事でも育児でも家事でも、不思議なことに良い得点がつくはずです。
嫌々作った料理がだいたい不味く、適当でも楽しんで作った料理が美味しいように。
女性の皆さん、仕事も家庭もどっちも楽しみながら、適当にやろうじゃありませんか。
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1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。
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(ジャーナリスト 佐藤 留美)
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