離婚や相続、財産分与で「共有名義」がトラブルのもとに
プレジデントオンライン / 2014年10月3日 13時15分
■一方に名義変更でトラブルを回避
持ち家を購入する際、共有名義には大きなメリットがあります。住宅ローンを組むときに、夫婦の収入を合算することで、より多くのお金を借りられるからです。また、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性もあるので、買い方としてはお得です。
しかし、「一緒に頑張って返済していこう!」と誓い合った仲良し夫婦でも、十数年後に離婚の危機を迎えることは往々にしてあります。そんなとき、共有名義がさまざまな問題を引き起こします。
まず、ローンが完済できているかどうかが運命の分かれ目。完済していれば、問題は財産分与の方法ということになるので、さほど経済的にダメージを受けることにはなりません。ただし、長く住み慣れた家にどちらが住み続けるかで揉めるケースはありますが。持ち家を処分して現金を分け合う方法もあります。
問題はローンが残っている場合です。債務額にもよりますが、売却益が出る物件なら、ローン完済後、残金を夫婦で折半すればいいだけの話。また、売却で完済できなかったとしても、債務分割して双方が払える程度の金額ならまだマシです。
深刻なのは、持ち家を売却しても、多額な債務が残る場合です。こういう場合、共有名義のままで妻と子供がそのまま住み続け、別れた夫がローンや養育費を払い続けるケースが多いですね。ただ、夫の収入減、再婚で新しい家族ができたなどで返済不能に陥ることもあります。すると連帯債務者である妻にも催促がきて、払えなければ競売のために立ち退きを迫られることになりかねません。
ローン残額や、夫婦の支払い能力、物件の資産価値などで異なりますが、共有名義は後日のトラブルを避けるため、極力離婚時に、一方に名義変更しておきたいところですが、これがなかなか難しいのが現実です。
■子供がいなくて死別相手の親にも相続権
というのは名義変更は実質的にはローンの借り換えを意味します。夫婦の収入合算で年収800万円だから借りられたローンが、夫1人で年収500万円になった場合など銀行が承諾してくれないことが多いのです。また、名義変更時に譲渡所得税が発生することも。それでも、きちんと名義変更しておかないと、元妻が死亡した後、共有持ち分が元妻の再婚相手や元妻の親族などという赤の他人の手に渡ることになり、トラブルの種になりかねません。
つまり、よほど資産価値のある物件でない限り、ローンが残ったまま離婚してもいいことはありません。金銭的な損失が嫌であれば、完済まで離婚を思いとどまるか、頑張って繰り上げ返済して、一刻も早く完済することです。そうでない場合は、ローン残高や持ち家の資産価値などを吟味し、“一番傷口が浅い”選択肢を選ぶしかありません。
そもそも、持ち家が高く売れる物件であれば、ローンが残っていても何とかなります。持ち家購入時に、離婚までは視野に入れないとしても、資産価値のある物件を買うということは、人生の選択肢を増やすことでもあるのです。
ところで、夫婦で共有名義の持ち家を持ち、片方が死亡した場合にも注意が必要です。子供がいない夫婦の妻が亡くなると、妻の共有持ち分のうちの3分の2を夫が相続しますが、その残りは妻の両親にいってしまいます。その親が亡くなっていれば、割合は異なってきますが兄弟に、と配偶者の血縁に相続権が移っていきます。日頃から関係が良好であれば、共有名義分を相続放棄してもらえるでしょうが、不仲だと、「私にも権利があるので分けて」などと言われるトラブルに発展する危険性もあります。親戚付き合いは大切だということです。
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住まい・街選びや買い方、暮らし方の提案を行う東京情報堂代表取締役。著書には『住まいのプロが教える家を買いたい人の本』など多数ある。
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(住まいと街の解説者 中川 寛子 構成=吉川明子)
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