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子育て妻が「時短・週3日」で200万円超を稼ぐワザ

プレジデントオンライン / 2014年10月17日 9時15分

田中たえ子さん 37歳

円安は、早くもガソリンなど物価を押し上げ始めた。「給料が上がるまで待てない!」というあなたに贈る、副収入で家計を守る方法。

■条件や能力に応じ企業に「逆提案」する

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田中たえ子さん 37歳
勤務形態:週3日 9:30~17:30
長男6歳 長女4歳
1975年生まれ。大学卒業後、語学学校などを経て外資系パソコンメーカーで電話による内勤営業を務める。2006年に長男を出産。産休・育休を経て復職 するが、08年長女の出産のため退職し、専業主婦として育児に専念する。12年6月「ビー・スタイル」の「EXEパート」に登録。12年9月より「イノ ベーション」の契約社員として働く。

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天職――。かつて外資系パソコンメーカーに勤務していた田中たえ子さんは、内勤営業に対し、そんな実感を抱きながら働いていた。

内勤営業とは電話による営業活動だ。田中さんら内勤営業が企業に次々と電話をかけて商品を売り込み、外勤の営業担当者を送り込むアポイントを取る。企業規模に応じて担当が分かれていて、田中さんは超大型のクライアントを任されていた。収入の4割ほどがインセンティブ。勤務した7年間で年収は500万円を下回ることはなく、1000万円に迫る年もあった。

「ヘッドセットをすると人が変わるといわれるほどでした」と田中さんは笑う。31歳で長男を出産。育休を経て、当然のように職場に復帰した。仕事と育児を両立させるつもりだったが、実際には以前のように働くことは難しかった。勤務を軽減してもらうため、1年ほどサポート役に回ったが、物足りなさを感じた。子どもの発熱などで早退することもあり、同僚に迷惑をかけるのも辛かった。第2子の出産を決めたとき、天職とまで感じた仕事を諦めた。

退職から3年が過ぎた。長女も長男と同じ「子ども園」に入園し、時間的に余裕ができた。子どもたちの将来の学費に備えて復職を考えはじめる。

そんなとき、ママ友に勧められたのが主婦向けの人材派遣サービス「ビー・スタイル」だった。検索すると「年収500万以上だった方へ」というバナーが目に入った。2012年6月から「EXE(エグゼ)パート」という新サービスをはじめたところだった。同社の金子絵里香さんはこう解説する。

「10年ほど前までは、扶養控除が受けられる年収130万円、または103万円以下となるように、週2~3日で10時から16時くらいというパートタイム型の仕事を希望する方々が大勢いました。でも最近は、サポート的な業務では能力を生かしきれないような女性が増えてきました。『EXEパート』では500万円以上の年収があったかどうかを目安としています」

現在「EXEパート」に登録しているのは、約70人。なかには、取締役を経験した女性やMBAの保有者もいる。

「問題は」と金子さんは続ける。「家庭の事情と企業の要望とのマッチングが難しいこと。曜日や時間帯、最寄り駅など様々な条件が合わないと主婦は働くことができません。その一方、企業は画一的な条件で人材を募集する傾向が強いんです。そのため、こちらから企業側に『逆提案』をします。『勤務日は週4日までですが、高度な専門スキルがあります』などと、一人ひとりの能力に合わせて条件をすり合わせていくわけです」

田中さんは「EXEパート」を通して、12年9月からIT製品の比較サイト「ITトレンド」などを運営するイノベーションの契約社員となった。現在は電話でのカスタマーサポートを担当する。

当初、イノベーションが求めていたのはフルタイムで働ける人材。しかしITの専門知識だけではなく、コミュニケーションスキルを持つ人材はいなかった。「EXEパート」の提案で田中さんの採用に踏み切った。

現在、田中さんは平日の週3回、9時半から17時半まで出社している。残りの2日は、2時間の在宅勤務で担当企業の対応にあたる。イノベーションに在宅勤務の仕組みはなかったが、田中さんの要望で新設したという。年収は、200万円ほどだ。

「お金をどうしようという不安が少なくなって余裕ができました。夫や同僚の協力もあり、仕事をしながら子どもと一緒に過ごす時間も大切にできる。ただ、いまはお客さまからの問い合わせに回答するケースがほとんど。将来、週5日働けるようになったら、前の会社でやっていた内勤営業ができないか提案したいと考えているんです」

■大学の再就職講座で違うキャリアを知る

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森本香惠子さん 39歳
勤務形態:週5日 9:30~16:30
長女7歳 次女4歳
1974年生まれ。96年大学卒業後、関西ペイントに入社。2000年結婚により退職。関東へ移り、2社で派遣社員に。03年に再度、夫の転勤で関西へ。 派遣や契約社員を経て、05年12月長女の出産のため退職。08年に次女を出産。09年関西学院大学の講座を受ける。10年インテグラル・テクノロジーに パートタイマーとして勤務。12年4月より正社員となる。

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森本香惠子さん 39歳

「専業主婦時代は、夫の収入に頼っていました。再就職と同時期に尼崎市に一軒家を購入したのですが、いま、家族や家計に貢献していると実感しながら仕事をしています」

そう語るのは、大阪市でソフトウエアの開発を手がける「インテグラル・テクノロジー」で社長秘書を務める森本香惠子さんだ。彼女はいまの職を得るまで、こんな話が気になっていた。

仕事を離れた女性が、再就職できる期限は3年――。

新卒で入社した関西ペイントで4年間、秘書や総務を担当した森本さんは、同僚との結婚を境に退職。夫の勤務先である神奈川県に移り住む。

「当時、扶養控除内で働くかどうか夫と話し合いました。けれども、控除内で働くとなると仕事が限られてしまいます。仕事をする時間の調整も難しかった」

そこで森本さんは、02年4月からフルタイムの派遣社員として、半導体部品メーカーとハードディスク製造会社に約1年ずつ勤務した。その後、夫の転勤で帰阪。外資系IT企業に職を得る。06年、長女を出産するが、派遣社員から契約社員へと契約を変えた直後だったことから、勤続年数が足りず育休は認められなかった。

「不完全燃焼だったんです」と森本さんは語る。

「地に足をつけて働こうと思った矢先に慌ただしく環境が変わるので、仕事をやりきったと感じる瞬間はありませんでした。もし次に仕事をするなら正社員で、と考えるようになりました」

仕事から離れて3年が過ぎた08年に次女を出産。森本さんは34歳になっていた。

再就職の期限は3年。そしてリーマンショックの影響で派遣切りが話題になった時期だった。

「次の仕事を見つけるのはとても難しいのではないか」と不安を抱く森本さんは、新聞に掲載された幼子を抱く若い女性の写真を目にする。

関西学院大学が主催する「再就職・起業を目指す女性のためのハッピーキャリア支援プログラム」の新聞広告である。約半年間、英語や会計などを学びながらキャリアを見つめ直し、協力企業でインターンシップを行う。受講料は約9万円から。だが今回は国からの助成により無料で受講できると書かれていた。

子育てをしながら勉強ができる。仕事復帰に対して不安を感じる森本さんの目には、とても魅力的に映った。しかし、プログラムが始まると、すぐに3年半のブランクを痛感する。

「パワーポイントを使った経験はありませんでしたし、ワードやエクセルのバージョンが変わっていて提出課題を作成するだけでも手間取りました。子育てや家事を続けながら多くの課題に取り組まなければならなかった。挫けそうな瞬間もありましたが、夫や両親が協力してくれました。座学だけではなく、グループワークが大きかったです。たとえば、数人のチームで新商品のプランについて議論を重ね、企画発表をする。チームの仲間は大企業の管理職や起業家志望の方など、同性でもこれまで接点のない人たち。様々なキャリアのあり方を知ることができ、大きな刺激になりました」

経営業務管理責任者の資格を取得した森本さんは、インテグラル・テクノロジーで働きはじめる。そして1年前には、パートスタッフから念願の正社員になった。

生き方、働き方は、多様にある――。森本さんはいま「外に目を向け、一歩踏み出したことで、そこに気づくことができた」と実感しながら仕事と子育てを両立させている。

(ノンフィクションライター 山川 徹 遠藤素子(田中さん)、森本真哉(森本さん)=撮影)

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