働く30代女子が大放談「女が女を嫌いになる原因」【1】
プレジデントオンライン / 2014年11月14日 8時45分
突然起きる女の同性に対する熾烈なバッシング。男には理由がよくわからない。そこで30代の働く女性に嫌いな女を語ってもらい、彼女たちの心をざわつかせている原因を女性心理学者の植木さんに読み解いてもらった。
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独身。女性の多い職場なので、初めて女子校気分を味わっている。
35歳 B美さん●派遣会社勤務
独身。本当に嫌いなのは自分の価値観を押し付けてくる女。
32歳 C子さん●PR会社勤務
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【B】愚痴を言ってたら、悪口になって止まらなくなることってあるよね。愚痴がエスカレートして、「私、あの人、嫌い」みたいな。例えば仕事をしない人、これは事実、100人いたら100人があいつは仕事をしないと思っている。で、「なに、あの人。全然仕事をしないね」っていう事実を言うのは愚痴?
【A】愚痴ですね。
【B】そこからエスカレートするんだね。あの人って仕事しないのに、上司に気に入られてグチャグチャみたいな。五段活用みたいに展開していく。
【C】そうだね。最初から悪口を言おうとしたら……。
【B】聞く相手もエーッみたいな。
【A】うかつな悪口は自分の格を下げますから。
【B】そうそう。まず「仕事をしないんだよ、ヤツは」っていう事実を共有して、そこから悪口が始まる。友達でもあるのかな? ドタキャンが多いとか、約束を守らないとか。
【C】むしろ友達だったら、相談から始まるんじゃない? 私はこう思ったのだけれど、どう思う? みたいな。で、相手が乗ってきたらエスカレートする。「わかる、それ、私も思った!」みたいな。
【B】でも、逆恨みとかひがみから嫌いになるときってあるな。例えば私より、いいものを持っているとか。
【A】私よりいい男と付き合っているとか。
【B】いいものを食べているとか。
【C】仕事しないのに上司に好かれているとか。
【B】それは大きいよ。
■女集団はズルをなにより嫌うセーフティシフトである
心理学者 植木理恵さんが分析「知らなきゃ損!女が女を嫌うココロの構造」
同性が集まると、男と女ではまったく異なる集団性が表れます。まず、ここがポイント。心理学にリスキーシフトという言葉があります。これは男の集団で起きるもので、例えば「俺はもっと、高い崖から飛べるぞ」「もっとヤバいことも平気だぜ」「俺のほうがもっとワルだぜ」と、危ない方向へいくことを競いがちです。
「テストだけど、全然勉強していないぜ」「もっとバカなことできるぜ」といったように、男が集まるとリスキーな方向にと向かってしまいます。
面白さとか、極論を個々が競うのが男集団の心理学的特徴です。「俺よりおまえ」「おまえよりあいつ」と、男は集団にいながらも個人対個人なのです。そして、発言通りにうまくできたかどうかで、嫌われたり、好かれたり、リスペクトされたり、バカにされたりが決まります。
女にリスキーシフトはありません。だから男のそういった行為がバカに見えるのです。
女の集団は反対にセーフティシフトです。「いま、公平な状態?」「誰か突出して得しているヤツはいない?」というところに注目が集まるのが、女の集団性です。
男集団ではリスキーシフトがとれない人はつまらないヤツと思われますが、女集団ではひとりだけおいしい目にあう人は、バッシングの対象になりがちです。
【C】怖いのは雇用均等法第一ジェネレーション? 和田アキ子みたいな存在のおばちゃんたち。結婚しているんです。結婚して子どもを産んで、さらに働き続けている。「私はすごいでしょ」オーラがすごい人に苦労している。
【A】最強だぜと。
【C】バブル世代だと、「25歳で結婚。稼ぎのいい旦那がいて、仕事は辞めたけれど、子育てが一段落したので、今度フラワーコーディネートのサロン始めました」とか華やかなのが女性誌には多いけれど。そうじゃなく、企業の中でずっと地道に働き続けた女の自我はすごく強い。
【A】男社会でいかに頑張ってきたかみたいな。
【C】その人たちのおかげで今、私たちが働けているというのはある。でも大変、自我が強い人と一緒に働くのは疲れるよ。きっと強くないとやっていけなかったんだろうけど。
【B】「甘えるんじゃない。だから男にバカにされるのよ」って?
【A】ある意味、人生完璧だからモンスター。40代独身女のひがみなんかよりずっと怖いよ。
【B】女は同性に厳しいからね。
【C】感情に任せてものを言う。
【A】女のほうが、ひょっとしたら怒鳴っているかもよ、職場で。
【B】あ――。実は私、1回キレたことあるし(笑)。
【A】怒鳴られたことはないけれど、仕事のやり方を女上司に提案したら、冷たく一言「ナニサマノ オツモリデスカ?」って。
【B】「それは私の仕事ですよ」ってことね。
【C】仕事の領分を侵されると女は怖いよね~。
【A】感情むき出す!
【B】会社だものね。コントロールできない人は嫌われるよ。
【C】昔いた会社の営業のおばさん、コピー機を修理しにきた人に向かって超怒鳴っていた。「早くしてくださいよ!」って。
【A】あと、バイトの電話の対応が悪いので「あいつ死ねばいい」みたいなことを呻くようにつぶやくとか。
【C】なにそれ、呪っているの?
【A】女はエキセントリックだと、わかってはいるけれど、実際それを見ると嫌だよね。
【B】ドン引きますね。なんか、自分を客観的に見られていないのが、すごく感じられて。でも、それが更年期のおばちゃんだったら、いずれ私もなるのかなとか、憎み切れないというか。
【A】確かに、そう、明日はわが身というのがいろいろ……。
【B】明日はわが身的なね。「嫌ね、最低」とか言えないのが、ホルモンマジックなんですよ。
【A】確かにホルモンはね。
【B】そう、若いときは「ああはなりたくない」って思ってた。でも30超えて、体が変わってくると、あのおばちゃんとかが怒鳴っていた、あれはホルモンの仕業なのねって思うようになった。明日はわが身。50になったときに、大塚商会の人にブチキレないという保証はなにもないんですよ。
【C】心配になってきた。今、超心配になってきた。
■成功失敗よりも、努力したかどうかに女は敏感である
心理学者 植木理恵さんが分析「知らなきゃ損!女が女を嫌うココロの構造」
女は、努力に見合った評価を得ているか。努力していないくせに得してないか。心理学用語で随伴性というのですが、ここがおかしい人が嫌われます。「努力してねーくせに、かわいいだけで、なんだ、てめえ」みたいに。これがポイントの2。
逆に、努力してもうまくいかないというのも随伴性が伴っていません。だから「頑張っているのに、彼女」と応援したくなる。女は苦労していることに対しポジティブです。下のように「苦労した、してない」と、その結果が「成功、失敗」というマトリックスを作ると、男性は苦労してようがしていまいが、成功者は好かれ、ストレートにリスペクトされます。一方、女は成功失敗ではなく、まず「あいつは苦労したか」を重視しますから、男女の評価が大きく異なることがあるのがわかります。
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植木理恵(うえき・りえ)
1975年、大分県生まれ。慶應義塾大学非常勤講師、臨床心理士として都内総合病院心療内科に勤務。『ウツになりたいという病』ほか著作も多数。
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(心理学者、臨床心理士 植木 理恵 遠藤成=構成 高野長英(座談会)、奥谷仁(植木)=撮影)
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