「知る×支援する」年末年始の寄附講座
プレジデントオンライン / 2014年12月2日 8時45分
■ワンコインで社会的課題を支援できる
お歳暮、クリスマス、お正月と、年末年始は大切な人に心を寄せる機会がたくさんあります。その時期、どこかで困難を抱えている人に、寄附というまごころを贈るのはいかがでしょうか。
阪神大震災、東日本大震災など、大きな自然災害があると、たくさんの募金が集まりますし、赤十字、赤い羽根募金、歳末助け合いなど、職場や町内会などを通じて、求めに応じて募金をしている、という人も多いと思います。
さらにもう一歩踏み込んで、自らで支援したい活動を選び、積極的に寄附をする、というのが、ここでの提案です。
寄附とは、金銭や財産、物品などを、公益団体、福祉施設などに無償で提供することです。多くの団体が、一般寄附(臨時で行う寄附)、継続的な寄附、募金箱などを通じた募金を受け付けています。
たとえば、民間・非営利の国際団体「国境なき医師団」は、紛争や自然災害の被害者や貧困などの理由で保健医療を受けられない人々などを対象に、世界各地で支援活動をしています。一例では、3000円の寄附で120人の基礎医療セット、5000円では12人に抗マラリア治療、1万円で300食の栄養治療食を提供することができるほか、エボラ出血熱、シリア緊急支援など、特定のプログラムの中から支援対象を選ぶこともできます。
最近は日本でも子どもの貧困が懸念されていますが、新興国においては児童労働や人身売買という深刻な問題を抱えています。「認定NPO法人かものはしプロジェクト」は、カンボジアなどでの子どもの売買を阻止する活動を行なう団体です。子どもを買う人を逮捕するための警察支援、子を売らずに済むための仕事の提供(工房の経営)、孤児院の支援などを行っており、就業や技術取得の機会を提供することで人身売買をしなくて済む仕組みづくりをしています。クレジットカードなら500円から、銀行振込なら100円からの支援が可能です。
ワンコインから寄附できるのが一般的であり、お小遣いの一部で社会的なプロジェクトに参加できます。
■毎月の継続支援も可能
「本格的に支援したい」という場合には、継続的に寄附するシステムを利用する方法もあり、多くの団体で継続支援の仕組みを設けています。
「特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム」では、月1000円からのマンスリーサポーターという寄附の方法があります。紛争や災害時の緊急・人道支援を行うNGO組織で、シリア、イラク、アフガニスタン・パキスタン、ミャンマー、パレスチナ・ガザ、南スーダンなどで人道支援を行うほか、東日本大震災や広島土砂災害の被災者支援などの活動を行なっています。
■子どもと一緒に寄附を考える
自然環境の悪化を食い止め、人類が自然と調和して生きる未来を築くことを使命として活動する「公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)」では、毎月500円からの継続的な寄附ができ、会報や活動報告書などが届きます。
15歳以下を対象としたジュニア会員(年1500円)、19歳以下のユース会員(年3000円)という寄附の仕組みもあり、お子さんにも、「お年玉の一部で野生動物や森や海を守る」といった取り組みができます。
「ユニセフ」の「ユニセフ支援ギフト」も、お子さんと一緒に寄附を考える際にも親しみやすいかもしれません。ユニセフの支援物資を途上国の子供たちにプレゼントするというもので、はしかワクチン100回分が3400円、寄生虫を駆除する虫下し1000錠が3300円など、選んだギフトが、必要とする地域に送られ、支援者にはお礼カードが届きます。
医療を受けられない、紛争に巻き込まれている、強制労働させられている、教育を受けられない…。そんな子どもたちがいることを教え、親子で考えるというのも、大事な教育のように思えます。子どもの視野を広げる、社会参加の意識を促す、という意味でも意義深いのではないでしょうか。
■寄附金控除で税金が軽減される仕組みも
特定の団体に寄附をした場合には、所得税が軽減される「寄附金控除」が受けられます。
寄附金の合計額から2000円を引いた額を所得から控除できる「寄附金控除(所得控除)」(所得が減る分、税額が低くなる)と、寄附金の合計額から2000円を引き、その金額の4割が税額から控除できる「寄附金特別控除(税額控除)」があります(別表参照)。
対象になるのは国が指定した団体、活動への寄附に限られ、どちらの控除が利用できるかは寄附先によって異なります。団体のウェブサイトに説明があります。
寄附金控除を受けるためには確定申告が必要です。
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◆寄附金控除(所得控除)
その年に支出した特定寄附金の合計額-2000円=寄附金控除額※[1]
◆寄附金特別控除(税額控除)
(その年に支出した認定NPO法人等への特定寄附金の合計額※[1]-2000円)×40%=認定NPO法人等寄附特別金控除額(※[2])
(その年に支出した公益社団法人等への寄附金の合計額※[1]-2000円)×40%=公益社団法人等寄附金特別控除額(※[2])
※[1]は所得金額の40%相当額が限度
※[2]の合計額は所得税額の25%相当額が限度
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■寄附をきっかけに社会的課題を知る
「情けは人の為ならず」というのは、情けは人の為ではなく、いずれは自分に返ってくるから誰にでも親切にしておいた方がいい」という意味だといいますが(個人的には好きになれない言葉です)、むしろ、寄附には、社会的な課題を知る、それを知ることで自分の境遇を認識できる、ささやかでも支援をすることで心が安らぐ、といった恩恵があるように思います。
オンライン寄附サイトの「Give One」では、さまざまな団体の情報が掲載されていますし、「日本財団」、「特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム」などのウェブサイトをのぞくだけでも、こんなにも取り組むべき課題があることに気付かされます。
東日本大震災 支援、で検索すれば、「公益財団法人 東日本大震災復興支援財団」がヒットするなど、気になる問題があれば検索サイトで寄附を受け付けている団体を知ることもできます。難病、進学、犯罪被害、盲導犬など、気になる言葉に「寄附」というワードを加えて、検索してみてください。
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1989年よりライターとして活動。資産形成、投資信託、住宅ローン、保険、経済学などが主な執筆テーマ。
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(フリーライター 高橋 晴美)
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