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覆面座談会「会社で言えない部長の苦悩」【1】

プレジデントオンライン / 2014年12月12日 8時45分

女性活用、女性登用が叫ばれる中で、現場をあずかるマネジャーたちはこんなに困っている。人には言えない彼らの胸中を聞いてみると……

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A部長(情報・通信業)「営業は時間通り完結しない仕事。なのに5時に帰られると困るよ」
B部長(電機メーカー)「管理職を外された男性社員にはマグマのように不満が溜まってる」
C部長(ゼネコン)「女性同士の妬みで起きるバトル。これこそ陰湿で激しいよ」
D部長(食品業)「周りへの配慮と仕事に対する責任感が足りない女性はいらない」
E支店長(金融業)「組織で泳ぐのが下手な女性は、一番苦手。昇進させられないね」

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■産休・育休の穴埋めをどうするのか

【A部長】安倍総理が「3年育休」や「だっこし放題」を謳う一方で、女性の活躍や登用を推進しなさいと言っているけど、矛盾しているよね。3年も育休をとったら逆にスキルは鈍るし、活躍できっこないよ。ビジネスの変化が激しい時代に、3年後に戻ってこられても仕事についていけないし、何より現場が困る。

【B部長】そう。実際に3年後に職場に復帰した女性がいたが、かつての同僚の男性が主任から係長になっていた。それなりに一生懸命に仕事をしても、ブランクがあるから同僚に追いついていけない。そのうち「なんであの人が私より偉くなっているの、これって逆差別じゃないの」と言い出したのには困ったよ。彼女は時間が止まったままだから、同僚が3年の間に成長したことを実感として受け止められないんだ。

【A部長】うちでは3年ごとに子供を1人ずつ、計4人産んで12年間休職して復帰した女性がいるよ。それだけの空白期間があると現場に置いておく場所もない。しかたがないから総務に置いて事務の仕事をさせていたんだが、それでも仕事が全然できない。彼女から「なんでこんな仕事しかさせてくれないんですか」と文句を言われたけど、与える仕事がないのだからしょうがない。結局、彼女は自分から辞めていったけどね。

【E支店長】確かに産休・育休で会社に復帰してもなじめなくて辞めてしまう人もいる。たとえば、バリバリ働いていた人が1年間休んで復帰したんだが、以前のようなパフォーマンスを出せなかった。本人自身も以前はできたのになぜできないのか、悩み苦しんでいた。こっちとしては1年間のブランクがあるし、子供の世話もしなければならないし、しかたがないとは思うが、本人にとってはできない自分が歯がゆくて、結局つぶれてしまう。そういう人が結構いる。だから個人的には長期の育休には反対だ。できるだけ育休を短くして、時短勤務で働くようにすべきだと思うね。

【C部長】うちは子供が3歳まで2回の育児休職をとれる制度がある。子供の事情で抜けられると、穴埋めしないといけないが、派遣会社から人を寄越してもらっても、当然、前の彼女と同じような仕事はできないし、質が落ちる。それに、業績のよい事業所は派遣の代替で補うことができるが、業績の悪いところは、穴埋めしないで現有人員でやらされる。そうなると、仕事のしわ寄せで1人当たりの負荷が増えるし、残業も増える。残業代が増えると上から文句を言われる。こっちの手も足も縛っておいて、上から働けと言われるのは正直きつい。部下からもなんとかしてくれと突き上げられるし、たまんないよ。

【D部長】同じ時短勤務の女性でも、時間内に仕事を一生懸命にこなし、仕事を整理して「あとはお願いします」と気を使って帰る人もいれば「何だよあいつ」と言われる短時間勤務の女性もいる。仕事をほったらかしにして時間だから帰りますというのでは周りの気持ちも違ってくる。本当に仕事が忙しいときは、時短勤務とはいえ、延長保育をお願いして残業する人もいるが、そういう人は子供が熱が出て、早く帰る場合には周りも助けてくれる。普段からの周りへの配慮と仕事に対する責任感があるかないかで、周囲の気持ちも大きく違う。

【A部長】仕事を放置して周りに気を使わない女性ほど、責任感がないというか、与えられた仕事もちゃんとこなさないタイプが多い。周りに気を使うように注意すると、必ず「私の勤務は4時までと決まっています」と言い返してくる。

【E支店長】既得権を主張するタイプの中にも高い業績を挙げる人はいるよ。多くの既得権タイプは他責志向が強いが、そういう人はだめ。また、理詰めでものを言う女性がよくいるよね、とくに技術系の女性には。論理が矛盾するのが大嫌いなタイプで、筋道を立てて説得しないと通じない。決して他責志向ではないが、組織で泳いでいくのが下手な女性。私が一番苦手なタイプだが、いくら成績優秀でも課長にしようとは思わないな。

■最大の問題は女性の意識が変わらないこと

【D部長】うちは一流企業ではないから優秀な男性が採用できない。だから女性を積極的に採ってきたが、結果的に今では女性が半分近くを占めている。管理職層も女性が20%はいるし、執行役員、役員にも女性はいる。でも上の層は今ほど子育ての制度が充実していない頃に入った人たちで、結構骨太の女性が多い。育休で3年も休むタイプじゃないし、3年も休んだら役員になっていなかっただろうね。

【B部長】うちの部長・役員クラスの女性は仕事量も半端じゃない。いつも遅くまで仕事をしている人が多い。ただ、偉い人は部のスケジュールを自分で決められるというメリットがある。たとえばこの日は子供の父兄参観だからミーティングを入れないとか。でもその分、部下にとっては不満だろうけど。

【A部長】経営陣は女性を活用しろ、とうるさいが、正直言って、女性は管理職に向かないというのが私の持論だ。男性と女性は性差というか、役割の分担も古来決まっていて、組織を統率するのに向いていない。それでもたまに役員として活躍している女性がいるけど、そういう人は外見は女性でも、脳の構造が男なんだと思う。世の中50%女性なのに管理職になる女性は下駄を履かせても10%未満というのがそれを物語っているよ。

【C部長】最大のカベは女性の意識だと思う。女性がカベをつくっている。男は自分が稼いで家族を養わないといけないから、そのためにはプライドも捨てるし、やりたい仕事も40歳ぐらいになれば諦めることができるが女性はそれができないね。やりたい仕事を突き詰めるタイプか、あるいはそれが今の会社でできないとなれば辞めて起業する人もいる。違う仕事をやらせると「嫌だ、これではモチベーションが湧きません、つまらない」とはっきり言う女性もいるよ。

【A部長】だから組織の中で上っていく人は少ない。好きなことをやるのはいいけど、組織である以上、やらなければいけないこともある。自分が得意なことだけを評価するわけではない。組織で働く以上、しかたがないと諦めることも必要だ。それができずに「うちの会社は女性を大切にしない」というすり替えで文句を言う女性が多い。

【E支店長】昇進させようにも、昇進したくないという女性が多いというのが最大の問題だ。女性の主任、係長クラスのエース級だけを集めたキャリアを啓発する研修会に参加したことがあるが、無理して管理職になりたくないという女性が圧倒的に多いのには驚いたね。彼女らの本音は、そこそこ仕事をしたいだけなんだ。女性じゃないからわからないが、彼女らにとっては、よいお母さんになりたい、よい妻になりたいとか、いろんな価値観がありすぎて、仕事をバリバリやって昇進したいという気になれないんじゃないだろうか。

【D部長】もちろん仕事ができる優秀な女性はいるが、だからといって出世を望んでいるわけではない。あるプロジェクトを自分でやりたいと希望し、一生懸命に取り組んですばらしい成果を挙げた女性がいた。上司としてもうれしいし、昇進させてもいいかなと思って打診したら「辞めます」と言うんだ。「プロジェクトを成功させただけで満足です。正直言って燃え尽きてしまいました」と。がっかりしたよ。男と価値観が違うとしか思えない。

【B部長】確かに優秀な女性でも上を目指したくないという人は男性より多いね。一つは数字のプレッシャーや仕事がハードすぎるということもあるし、結果的に辞めていく。早い人は3~4年たつと「こんなハードな仕事はしんどいので、もう少し労働時間が短い会社に行きます」と言って辞めてしまう。毎日、残業で10時、11時だと確かに体力的にはきついと思うが「お肌が荒れますから」と愚痴を言う。どうも女性のほうがこらえ性がない。

【E支店長】その点、男性のほうがにぶいね。女性は真面目な人が多いから、手加減しないでやりすぎてしまうこともある。

【D部長】それでも辞めるのはもったいないなと思う女性には、別の仕事を紹介して慰留するケースもある。逆に、既得権ばかり主張して周りから煙たがられる女性はもちろん慰留はしないけどね。

(人事ジャーナリスト 溝上 憲文 的野弘路=撮影)

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