復興需要、五輪景気で復活を期す機械各社
プレジデントオンライン / 2014年12月24日 10時15分
グローバル化、業界再編、リストラ……、企業を取り巻く環境は激変している。ライバル会社はどうなっているか、徹底レポートする。
■外需が堅調中国市場も回復へ
1月9日、東京のホテルニューオータニで、日本工作機械工業会の賀詞交換会が開かれた。工作機械は、日本の産業を下支えする重要な産業だ。同会はその主力メーカーなど92社が加盟しており、賀詞交換会には会員企業の経営陣など約450人が参加し、「近年まれに見る盛況ぶり」(関係者)で賑わった。花木義麿会長(オークマ社長)は「最新鋭かつ高付加価値の工作機械を供給し、日本と世界の製造業の発展に貢献していきたい」と、業界の好業績に自信をのぞかせた。
同会調査企画部の行田愼一課長は語る。
「2012年の年央以降、工作機械受注は低調が続いたが、13年に入ると次第に好転し、ここへきて回復の機運が一段と高まった感がある」
外需7割、内需3割と呼ばれる工作機械業界。外需では、米国が過去最高レベルの受注状況で推移し、冷え込んでいた中国市場も徐々に回復の兆しが表れつつあるという。
加えて、国内でも自動車部品産業を筆頭に、全般的に景況が改善傾向にある。原材料費や光熱費の高騰、さらには今年4月からの消費増税で、景気の腰折れ懸念も一部にはあるが、それよりも設備投資減税への期待感が強いと、前出・行田氏は語る。
「1月下旬の導入が内定した設備投資減税は、企業規模にかかわらず、即時償却や最大5%の税額控除を認めるなど画期的な内容で、国内の設備投資需要を喚起する可能性があり、各社とも営業に力を入れています」
工作機械業界をけん引するのは、オークマとDMG森精機だ。オークマは「オンリーワンテクノロジー」を掲げ、高技術の進化を目指している。一方、DMG森精機は、05年から欧州の最大手、DMGと業務提携し、13年には欧州側と社名統一を果たした。数年後には経営統合も見据えているという。
建設機械最大手のコマツは昨秋、新興国の景気減速で14年3月期の営業利益見通しを大きく下方修正したが、今後は震災復興需要とともに東京五輪需要をにらみ、強気の経営戦略に打って出そう。
人材面で見れば、機械業界全般で言えることが、外国語の取得は必須で、異文化の理解が深い人材は重用されることだ。また、技術職でいえば、「ITに強く、旧来の技術にも明るい人材が求められている」(業界関係者)という。モノづくりニッポンを背負う業界だけに、時々刻々と変わる時代のニーズを捉えながら、伝統を引き継いでいく作業が求められているのだ。
(ジャーナリスト 山田 厚俊 ライヴ・アート=図版作成)
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