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富裕層の趣味はアート、トライアスロン……経営との共通点

プレジデントオンライン / 2015年3月13日 9時15分

お金以外には興味なし。強いていえば健康・旅行

金融危機以降、大きくは増えていない日本のお金持ち。だがその中身は変わった。富裕層研究の第一人者たちが彼らの素顔を明らかにする。

■仕事・趣味・娯楽がすべてつながる

超富裕層を対象にしたNRIのアンケートでは、「特別な旅行」や「オーダーメードのイベント」「別荘、海外不動産の売買」に興味を持つ人が多かった。日本の富裕層は趣味や娯楽には重きを置かないといわれるが、海外への旅行や滞在には関心が高いということだ。

NRIの宮本弘之・上席コンサルタントは次のように解釈する。

「富裕層にとって日本は住みにくい面もあります。所得税や相続税が高いということもありますが、加えて目立つことに対する息苦しさを感じている人が多い。海外生活に関心が高いのは、そういう事情があるからでしょう」

となると、海外旅行についても趣味や娯楽というより、人目を気にせずのびのび生活したいという動機が大きいようだ。

美術品や宝飾品の収集や鑑賞を好む人も少なくはないが、高額な美術品、宝飾品には資産の側面もあり、純粋な趣味とはいい切れない。むしろ彼らにとって、趣味は仕事なのだと考えると納得がいく。

超富裕層に限らず、オーナー経営者の本音を探ると、ほとんど例外なく仕事を第一に考えている。といっても、生活や娯楽と対立する意味での「仕事」ではない。

好きなことや関心のあることを続けていると、それがときに仕事になり、ときに趣味や娯楽になる。多くの場合、会社と雇用契約を結んでいるわけではないので、明確にはオンとオフとを切り分けられないという事情もある。

経営者、とくに伸び盛りの起業家たちは、会社のなかで日常のオペレーションをこなすだけではなく、国内外を移動して常に新しいビジネスを追いかけている。休日はカジュアルな格好で出かけたと思ったら、遊びではなく被災地でボランティアに精を出していたりとパワフルだ。

彼らはだいたい元気がよく、惜しみなく体を使う。知力とともに体力もまたリーダーにとっては欠かせない資質であり、資産なのだ。

その意味で興味深いのが、超富裕層を含む若手経営者の間でひそかなブームを呼んでいるトライアスロンだ。水泳、自転車、長距離走という3種のスポーツをいっぺんにこなす過酷なレースで、オリンピック・ディスタンスと呼ばれる短いコースでさえ合計51.5キロを走破しなければならない。

国内外いくつもの大会に30代から50代のオーナー経営者が何人も参加し、タイムを競う。創業経営者のほか大企業の2代目、3代目も含まれ、女性の姿もある。

なかには、トライアスロン以上に過酷なレースを求める人もいる。たとえば自ら創業した会社を上場したばかりのある30代経営者は、オリンピック・ディスタンスからはじまり、226キロの長距離レースを完走。その後、モロッコの砂漠を1週間かけて走りきる、世界一過酷とされるサハラマラソンに挑戦した。

マラソンやジョギングではなく、トライアスロンや砂漠のマラソンを選ぶ時点で、「健康のため」「走るのが好き」という一般的な理解をすでに超えている。ある経営者は、トライアスロンの意義について「到達不可能なくらいの目標にチャレンジすること」と表現した。それを繰り返すことで、仕事での成功のイメージを体に刻み込むことができるのかもしれない。

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【アドバイザー】
野村総合研究所 上席コンサルタント 宮本弘之(みやもと・ひろゆき)
東京工業大学大学院理工学研究科修了。金融コンサルティング部長。著書に『プライベートバンキング戦略』(米村氏との共著)などがある。

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(プレジデント編集部 面澤 淳市 武内正樹、永井 浩=撮影)

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