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男が年を取ると敬遠される理由

プレジデントオンライン / 2015年4月7日 10時15分

本人に悪気はないのに、周りがどきっとする物言いをしたり、傲慢な印象を与える年配男性っていますよね。こういう男性のことを紐解く前に、発達心理学における老年期の心理を知る必要があります。

傲慢と感じるのは、あくまで自分たちの世代の価値観と比較した場合のこと。いま、老年期にある男性たちは戦争で平和を奪われ、戦後は高度成長期をがむしゃらに働き続けてきた世代です。そういう時代を生き抜いてきた人たちですから、いまと価値観が異なって当たり前なのではないでしょうか。

たとえば石原慎太郎さんを「なんであんなに傲慢で尊大なの?」と思う人は多いかもしれませんが、石原さんが生きてきた時代であれば、それが普通だったかもしれません。いまの価値観でばっさり判断して切り捨ててしまっては、少しかわいそうな気がします。

ただ、老年期になれば自己中心的でわがままになる傾向があるという研究結果も出ています。老化とともに受け身になり、頑固、独善的といった特徴が顕著になります。人は青年期から成人期にかけて、発達していきますが、老年期にさしかかると収束に向かいます。体力も低下し、内向的になったり、反射的に反応する速度も落ちます。

年配男性本人は、何となく「若い人にはこういう態度のほうがいいのかも」とわかっていても、反射的に動きにくくなります。とはいえ、作業を繰り返して知識や能力を習熟させる「結晶性知能」はありますから、努力を重ねれば、AKB48のメンバーの区別だってつくようになります(笑)。

■感謝の気持ちを伝え自己肯定感を高揚

しかし、いざ自分が老年期になると、「そこまで相手に合わせてへりくだる必要があるのか。むしろ自分より下の立場の人が、自分に合わせて気を使うべきでは?」などと考えるようになります。そのため、余計に孤立したり、周囲から敬遠されてしまうという悪循環に陥ります。

老年期になって孤独になるのは圧倒的に男性です。会社人間として生きてきた彼らの定年後、自分の居場所や社会との繋がりはほとんどありません。

そこで、自分の存在が無視されたと感じてしまい、威信を回復させようといろんなことを言ったり行動に移すため、異世代の人たちとの関係性がさらにこじれてしまいます。もし身近にこういう人がいたら、敬遠するのではなく、生きた時代が異なり、価値観の違う世代なんだということをふまえたうえで、一旦は受け入れてみてください。

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老年期における危機と心理的な対立

彼らは自己肯定感が低くなっていることが多いので、それを実感してもらうためにあえて活躍の場をつくり、「お陰で助かりました!」と感謝の気持ちを伝えれば、少しは頑固な面が和らいだり、こちらに歩み寄ろうと、彼らなりに不器用に頑張るはずです。

健康な人なら、加齢によって能力や記憶力が一気に低下するようなことはないといわれています。また、いろんなことを経験し、身につけようという習熟能力に長けていますから、多少時間がかかってもできるようになります。そこに手を差し伸べて、持ち上げることで彼らはがらりと変わるはずです。

一方、若い世代の人たちにも、他者に対する尊敬の念や、自分が知らない時代にどんな苦労を重ねてきたか、といった想像力が貧困という欠点があります。激動の時代を生き抜いてきた年長者の経験談は刺激になりますし、人生の先輩として彼らがメンター的な役割を担ってくれることもあるでしょう。

ただし、いくら頑張っても相手の頑固さが変わらないこともあります。やるだけやってみて「これはだめだ」と思ったら、見切りをつけても構いません。自分が傷ついてまで必死に頑張る必要はないでしょう。

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心理カウンセラー 塚越友子(つかこし・ともこ)
東京女子大学大学院社会学修士号取得。報道・広報の仕事に携わった後、銀座でホステスに転身。豊富な人生経験と高度な臨床技法をベースにカウンセリングを行っている。

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(心理カウンセラー 塚越 友子 構成=吉川明子)

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