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子どもを「伸ばす親」「つぶす親」の共通点5

プレジデントオンライン / 2015年4月11日 12時15分

「偏差値30からの中学受験シリーズ」「ノープロブレム 答えのない子育て」などの著書があり、ブログで受験生の親からの相談を多数受けている、教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこ氏。これまでの子育て法が通用しなくなりつつあるなかで、「いい親悪い親」を分けるポイントは何なのかを挙げてもらった。

■食べていける子どもに育てるには?

ご存知のとおり、昨秋にオックスフォード大学のオズボーン准教授らが発表した「雇用の未来 コンピューター化によって仕事は失われるのか」という論文は世界に衝撃を与えるものだった。

なぜなら、現在人間がやっている仕事の約半数が近い将来、機械によって奪われるというものだったからだ。

権威ある大学の先生が「あと10年で消滅する仕事」を一覧表にして「認定」してくださったものだから、驚きを隠せなかったお父さんたちも多かったろう。

折しも我が国では教育は黒船時代に突入。明治以来の大転換という「お沙汰」が既にお上によって下されている(大学センター試験廃止、小学校の英語教育本格導入など)。

これは何を意味するのか? と言えば、今、未成年の子どもを持っている親にとって、我が身が経験してきたことは役に立たず、親のする我が子へのアドバイスは時代遅れということになりかねないということを指すのである。

昭和時代の「親はなくとも子は育つ」という、どこか他力本願的な感覚(このレールに乗せてしまえば一生安泰だろう)では到底、太刀打ちできない世の中になってきているのだ。

今、子育て中の親は「長期的ビジョンを持った上での戦略的な子育て」をしなければならないのだ。という現状を踏まえると、全く予測不能の未来を生きなければならない子どもたちに対して、親ができること。それは少なくとも、我が子をつぶさない、できれば伸ばすということに他ならない。

とにかく、どんな時代が来ようとも、そこで踏ん張って食べていける子どもを育てなければならないのである。

私はこの10年超の間で数多くのご家庭の子育てを垣間見て来た。

そこで感じることには「子育てが上手い親」と「下手な親」がいるということだ。

ここでは、子育てが上手い親、すなわち「子どもを伸ばす親」と、逆に子育てが下手な親、すなわち「子どもをつぶす親」という観点で事例を挙げてみたい。

「子どもを伸ばす親」はこうである。

■子どもを伸ばす親の共通点5

1. 夫婦で腹を割って「我が家の教育方針」を決める親

小学校受験、あるいは中学受験の願書に「我が家の教育方針」を書かせる学校があるが、その場合、「明るく、元気に」といった記述では表現が十分ではない。「正答」は1つではないが、例えば、「両親ともに、暗記による知識のつめこみ作業より、子どもの知的好奇心を刺激するような言動を常に心掛けている。今後とも、我が子が自身の頭で考え、判断できる力を大切にしながら育てていきたい」といった具体的かつ熱意の込められたメッセージでなければならない。

どういう大人になって、こういう人生を歩んでほしい、よって親はこういうサポートを惜しまないという、夫婦の一致した共同目標があるご家庭は子どもの将来が違ってくる。

夫婦が腹を割って、お互い本音で「こういう子育てをしよう」と話し合うことが肝要である。

2. 小さな長所を発見し褒める親

私たち親は子どものためと思い「短所を矯正」することに力を入れがちであるが、生きるに当たってそれはさほど重要なことではない。なぜなら、短所は長所の裏返しだからだ。

子どもの長所、あるいは得意なことを瞬時に褒めて、的確にアドバイスする。そのことで子ども自身の「自信」に繋がるように「洗脳」していくのは親の務めである。

「自己肯定感」を持って成長できた子どもは間違いなく幸せである。

3. 「先送り」をしない親

子どもが世の中で「初めて出会うもの」との瞬間を見逃さないことが重要だ。

例えば、生まれて初めて我が子が箸を持つ瞬間にきちんと正しい持ち方を教えてあげる。めんどうだから後でいいやと先送りをしたとするならば、我が子が長じたときに矯正しようとしても膨大な手間と時間がかかるだけである。

初めて出会う鉛筆、初めて出会う提出物の期限、初めて出会うPC……。ありとあらゆる我が子が出会う「初めまして」に心を配る。これが我が子の干支1巡目までにきちんとできているご家庭には問題が少ない。

4. 「人の役に立つ」素晴らしさを教えられる親

人間は誰かのために何かをやれるということに幸せを感じる生き物である。それゆえ、我が子が幼いころより「この仕事は世の中にこう役立っている」という視点で解説してあげる家庭に育つと職業観が自然とついてくる。もちろん親自身が社会に貢献し、努力している一社会人(専業主婦ならば家庭に貢献している)であるという背中を見せ続けることはとても大事なことである。

5. 打たれ強い子に育てられる親

ある会社で上司に「バカヤロー! 辞めちまえ!」と言われただけで本当に辞めた新人がいる。あるテレビ制作会社のディレクターは「今欲しいもの? 辞めないAD!」と言い切った。

先行き不透明な世の中で必要なのは「打たれ強さ」である。

親は子どもが幼いときから、失敗させることを恐れない。失敗したことを「経験値が増えた」と言って逆に喜べる。どうしようもない失敗をしたときこそ「(おまえは)大丈夫」と言って、動じない最後の砦となれるならば、その子は「ここ一番!」のときには粘り強さを発揮できる人間になっている。

反対に「子どもをつぶす親」はこうである。

■子どもをつぶす親の共通点5

1. 夫婦仲が悪い親

特に、感情に任せて相手(伴侶)の悪口を我が子にぶつける親は最悪だ。安定しない家庭に安定している子は望めない。仲の悪さの原因はさまざまだが、夫や親族の愚痴を吐き続ける母の元に育つと、その子は遅かれ早かれ壊れる。

2. 上限を決める親 

我が子が「これになりたい」というような将来についての希望を口走ったときに「(いつも口だけで地道に努力しない)おまえにできるわけがない」「向いていない」「無理」「普通になれ!」という親は、その瞬間に子どもをつぶしている。二度と子どもは「将来」を口にはしないだろう。

3. ペナルティを科す親

「成績が悪くなったからお小遣いをなしにした」という中高生の親からの相談(相談は別の内容)をよく受けるが、その子の成績は永遠に上がらない。罰則からは生産的なものは何も生まれない。とはいえ、逆に、成績が良くなったからご褒美をあげるというやり方が正しいわけではない。私の知る限り、成績の良い子に、親にエサで釣られた子は存在しない。

4. 環境を見ない親

「この内申だから自動的にこの学校」というように「環境」を見ない親は失敗しがちだ。

「環境」だけは親の努力が利く範囲なのだ。この場合の「環境」は学校、習い事、塾、友人関係など、我が子が接するあらゆる空間を指す。

存在を認めてもらえ、なおかつ長所を伸ばしてもらえる「環境」に我が子を置いてあげることが思春期の子育てには何より必要なことである。

5. 時代を見ない親

一流大学→一流企業というモデルが崩れた今、親たる者、時代をよく見て子育てをすることが求められる。

一例を挙げるならば、我が子が思春期に突入しても「悪魔の機械」だからと電子機器を一切与えない親がいるが、ツールが使えなければ現代社会では生きられない。悪いのは「機械」ではなく、「使い方」である。

「先送りをしない親」でも述べたが、初めて電子機器を子どもに与えた瞬間が大事である。親こそがその機器のメリット、デメリットを把握し、年齢に適した使い方のルールを親子で話し合うことが重要だ。「恐怖感」にかられて闇雲に「反対」しても、子どもの反発を招くだけである。

まず親が機器を学ぶことが先決だ。ゆめゆめ、便利だからと「子守り」にダラダラ使ってしまうことだけは避けたい。親子のルール作りが不可能になるだけでなく、後で払う代償が大きくなっていくからだ。

以上、子どもを伸ばす親、つぶす親のポイントを挙げた。

子育てはめんどくさいものだ。「お手軽・便利」には子どもは育たない。

我が子に「手をかけて」「目をかける」ということを日々の暮らしでし続けて行くことは容易ではないが、子どもを伸ばす親とつぶす親の差異は「ちょっとした子どもへの働きかけ」があるかないかである。

「めんどくさい」という気持ちを少し棚上げにして、我が子に寄り添ってみるということが「できる第一歩」だと言えよう。

(エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー 鳥居 りんこ)

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