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アベノミクスよりすごい日本再生論【後編】

プレジデントオンライン / 2015年8月9日 10時45分

英語力は世界でも劣等生!

少子高齢化で減り続ける生産年齢人口、リーダー不在に起因する国際競争力の低下――。このままでは、日本の国力は衰退の一途をたどるのみである。活気あふれる社会を実現し、日本を再生するためには何を行うべきか。東進ハイスクール、四谷大塚、イトマンスイミングスクールなど、幅広く教育事業を展開するナガセの創業者・永瀬昭幸社長に話を聞いた。
――世界で活躍できる人材を育成するために、教育の現場ではどのようなことが必要でしょうか?

【永瀬】まずは子供たちの英語力を伸ばすことでしょう。20年後を見据え、グローバル化に対応した英語教育改革が順次実施されていますが、従来の方法では、本当に英語を使いこなせる人材は育ちません。英語を学ぶ目的は、読み書きのレベルを高めることだけではないはずです。国際社会に出たとき、相手の言葉に耳を傾け、自らの意見を述べ、相手を説得できるくらいに「発信力」を高めることが狙いです。英語能力を測るテストであるTOEFL iBTの国別平均スコアを見ると、スピーキング部門でいえば日本は169カ国中最下位(14年)。読み書きの勉強だけしていると、こういうことになってしまいます。

――では子供たちは、どのような勉強をすればよいのでしょう?

【永瀬】「受信型」の勉強をもっと頑張ることももちろん必要ですが、それに加えて「発信型」の勉強を重ねていかなければならない。たとえば授業中、先生はテーマだけを与えて、生徒同士に英語で議論させる。自分は何者か、なぜ勉強するのか、将来はどのようになりたいのか。そんな思いを英語で発信し続けることが、国際社会で通用するコミュニケーション力を養うのではないでしょうか。

――子供たちには、早くから自らの将来像を描いてほしいと。
ナガセ社長 永瀬昭幸氏「本物を与える」ことが学びのモチベーションになる

【永瀬】具体的な職種まで決め込まなくても、海外で働きたい、人の役に立ちたい、ものづくりをしたい、といった夢の方向はあったほうがいい。それが学びのモチベーションになる。そのためには、早いうちに「本物を与える」ことです。たとえば、その道のプロフェッショナルの話を聞くことですね。東進では、日本を代表する大学教授陣が一堂に会す「大学学部研究会」や、若手研究者に贈る「永瀬賞」受賞者による「サイエンスセミナー」、また「トップリーダーと学ぶワークショップ」では、これまでに竹中平蔵先生、黒川清先生、片岡一則先生にご登壇いただくなど、高校生諸君に大きな刺激を与えるイベントを次々と開催しています。また四谷大塚では、「全国統一小学生テスト」で発掘した優秀な子供を、米国に招待しています。ハーバード大などで研究を行っている先生方と直接話ができた子供たちは、自分の将来を強くイメージし、目を輝かせて帰ってきますよ。

――公教育の現場も含め、そうした引き合わせがもっと増えれば素晴らしいですね。

【永瀬】とくに、研究職などに就いている優秀な理系人材が、専門分野の魅力を伝えてあげるといい。高分子化学や生命工学といった分野では、日本の技術力は世界でもトップクラスです。そうした分野にクリエーティブな力を持った若者を呼び寄せられれば、さらに世界を牽引していけるようになるでしょう。そのために、我々のような民間企業もできる限りの支援をするので、ぜひ国にも主体的に次世代リーダーの育成を行ってもらいたい。私の提言が、国民全体で人口問題や教育について考えるきっかけとなり、この国の未来のための思い切った政策につながれば幸いです。

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ナガセ社長 永瀬昭幸
鹿児島県出身。東京大学経済学部在学中から自宅アパートで塾を開く。1974年卒業後、野村証券入社。76年ナガセ設立。東進ハイスクールや東進衛星予備校などを全国に展開し、塾、予備校業界を牽引する。

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(ナガセ社長 永瀬 昭幸 尾関友詩=構成 的野弘路=撮影)

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