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塾選びの面談で確認したい9つのポイント

プレジデントオンライン / 2016年1月11日 10時15分

■成績が伸びないときこそ塾の真価が問われる

「週テスト」対策をしたり「大量の宿題」をこなしたりしていても、なかなか結果に表れないことがあるのが中学受験勉強。自分だけじゃなく、まわりの子供たちもみんながんばっているのだから、自分が100がんばっていたとしてもまわりが105がんばっていたら、おいていかれてしまうのだ。

そんなことが続いたら、大人だって心が折れてしまう。だから、テストの点数という「結果」だけでなく「プロセス」に焦点を当てて評価するしくみも、中学受験塾には必要であり、実際に多くの塾がなんらかの形でそのようなしくみを用意している。

ささいなことに思えるかもしれないが、そこを見ることで、「できる子をさらに伸ばす」だけでなく「うまくいかなくてつらい思いをしている子を励まし続ける」ことをどれだけ大事にしている塾かが計り知れる。

また、そのような状況では保護者も不安になる。わが子が努力しているのにそれが報われていないのだとしたら、親としてはいてもたってもいられない。

そんなときには塾と親とのコミュニケーションが重要となる。どうして努力が成果に表れないのか、早急にお互いに情報を共有し、課題を発見し、手当の方法を考える必要がある。それですぐに成績が上向くとは限らないにしても、手を尽くしてくれていると具体的に感じられることが大事だ。

親の立場からしてみれば、授業のあとに電話をもらって、「今日の授業ではものすごく集中していました。理解度も高かったと思います。このところ結果が出ないことが続いていますが、今後のテストでは期待が持てると思います」と言ってもらえるだけでも安心できるものだ。

このように、スモールステップの成果が思わしくない場合に、生徒および保護者になんらかの「手ごたえ」をフィードバックするシステムが塾には必要。拙著ではそういう観点も盛り込んで、各塾の取り組みを紹介している。

■子供のやる気は「目の良さ」による

スモールステップのしくみに関連して、独自の意欲喚起教育を導入している塾も多い。

コーチが短期目標を設定し、クリアさせ、それをくり返すことで、ゴールの近くまで導き、最後は子供自らがゴールを見出し、ラストスパートする。それが中学受験だと前述した。

しかし子供の「視力」には差がある。「視力」がいい子は早めにゴールを「視野」にとらえることができるので早い時点からラストスパートにかかることができる。「視力」の悪い子だと、なかなかゴールに気づくことができないかもしれない。この場合の「視力」とは、「目的意識」のことである。

意欲喚起教育とは、「視力」の悪い子には、少し遠くの風景を眺めさせ、少しでも「視力」を良くするようなもの。そうして自分のゴールがどこにあるのか、少しでも早く気づいてもらうのだ。

テストの点数をとらせるだけではなく、「目的意識」を盛り上げ、やる気を引き出すのも、コーチの重要な役割というわけだ。

塾の先生は他人だからこそ、親がわが子には言えないような臭いセリフを言うことができるし、親が見逃しがちな子供の成長に気づいてもあげられる。

多くの塾で導入している「自ら学ぶ子」を育てるための意欲喚起系の取り組みは、家庭ではなかなかできない。親子の間ではどうしてもお互いに照れや遠慮が入ってしまうからだ。

塾はただ子供に勉強をさせるだけの場所ではない。親にはできない、学校にもできない教育を、与えてくれるところなのだ。

拙著『親が後悔しない、子供に失敗させない 中学受験塾の選び方』では、印象で語られてしまうことが多い大手塾に対し、あえてスモールステップに焦点を当てて違いを描写している。

特に5年生の算数の学習サイクルに注目している。塾としては、6年生の志望校別講座や週末特訓による追い上げのしくみや、4年生のときの丁寧な指導をアピールすることが多いが、実は5年生こそ、中学入試で実用性の高い知識・技能をできるだけ効率良くたくさん集める時期であり、5年生で積み上げた力が、入試突破力の核になるといっても過言ではないからだ。

特に算数。4年生のときのような楽しさや6年生のときのような切羽詰まったムードはないが、その分、地道に確実に力を付けていかなければいけない。取り扱う問題の難易度がぐんぐん上がっていく中、毎日のルーティンに耐えられるかが最大の課題。だからこそ、スモールステップを意識して、目の前の目標をクリアしていくことが大切なのだ。

■塾に面談に行ったら確認したいポイント9

各塾のスモールステップの違いはここでは説明しきれないので、その代わりとして、各塾のスモールステップを確認するための9つの質問を紹介する。

(1)「5年生の算数の1週間の学習サイクルについて少し詳しくうかがいたいのですが」
→スモールステップを話題にしたいことを前振りする。
(2)「週何回の授業ですか?」
→通塾の負担だけでなく、1週間の中で1教科を何回かの授業に分けるのか、1回の授業でまとめてやるのかなど、学習サイクルに関わる情報を聞き出す。
(3) 「どんな教材を使ってどんな授業をしますか?」
→使っている教材によって、カリキュラム概要がわかる。
(4)「宿題にはどんな教材を使用してどの程度出しますか? 宿題のチェックはどのように行いますか?」
→家庭学習に対するスタンスや親の関与度がわかる。
(5)「1週間の学習の成果はどのように確かめますか?」
→「週テスト」や「確認テスト」など、子供や親が短期的な手ごたえを感じられるしくみがあるかを確認する。
(6)「『週テスト』や『確認テスト』で十分な成果が出ていないときはどのような対応がありますか?」
→必ずしも成績が上がっていないときのサポート姿勢がわかる。
(7)「過去の単元を振り返るしくみはありますか?」
→月単位や学期単位の学習サイクル、テスト体系がわかる。
(8)「テストの点数という『結果』以外に、学習の『プロセス』を評価するしくみはありますか?」
→子供の学ぶ意欲を喚起することにどれだけ配慮しているかがわかる。
(9)「親としての相談がある場合にはどのように連絡すればいいですか?」
→親と塾との関係をどのように考えているかがわかる。

以上を確かめれば、その塾の「スモールステップ」に対する考え方がある程度わかるはず。実はこれ、私が拙著に掲載した塾の「スモールステップ」について取材したときに共通して聞いた質問項目である。塾に面談に行くときにぜひ試してみてほしい。これらの質問に、論理的に、かつ、その意図までをも含めて答えてくれる塾であれば安心だ。

塾に「ベスト」ということはない。確固たる指導方針や教育理念があり、それを実現するロジックがあり、さらにそれを実践する方法論があれば、まずは合格。その方法が、わが子の性格にあっていて、かつ、保護者の教育観にもマッチしているならビンゴであろう。

(教育ジャーナリスト おおた としまさ)

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