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一見普通でも教師が距離置く子の共通点4

プレジデントオンライン / 2016年1月6日 8時45分

この子に何を言っても無駄だ――。教師が対応に苦慮する子どもとは? それは低学力の子ではなく、立ち歩きをする子でもなかった。

■無意識に「むごい教育」をする親

厚生労働省は、11月を「児童虐待防止推進月間」と定めています。これは、2004年(平成16年)11月に、児童虐待防止法が施行されたのがきっかけです。

児童虐待というと、強烈な語感があります。

「虐待」という言葉を辞書で引いてみます。「むごく取り扱うこと」「残酷な処遇」とあります。さらに「むごい」を調べてみると「見るにたえないほど悲惨であるさま」「思いやりがないさま」「無慈悲」とあります。

児童に対し、「虐待」を加えるということ。

どんな事情があっても、絶対に許されるべきことではありません。子どもは国の宝です。大切に育てられるべき存在です。

この記事を読んでいる方々は、教育に関心が高く、子どもを良く育てたいと願っているはずです。

しかし実は、そんな善良な家庭にも「虐待」とはいかなくても子どもをダメにする「むごい教育」が存在しているかもしれません。

ところで、逆に子どもを「大切」に育てるとは、どういうことでしょう。

先と同じく、複数の辞書で引いてみます。「大いに愛する」「きわめて重要」「丁寧に扱う」と言った意味です。「大事」とほぼ同義です。

大切だから、今を楽しく生きてもらいたい。大切だから、哀しませたくない。大切に思う我が子に対し、そう願うのは、至極当然です。

しかし、本当に子どもを大切に育てるという観点で見た時、どういったことが、本当に子どものためになるのでしょうか。

■親が「大切に育てた子」を、なぜ教師は敬遠するか?

子どもにとっての社会の場である学校において、先生たちがつい指導を敬遠したくなるのは、どんな子どもかご存知ですか?

・乱暴者の子ども?
・学力の低い子ども?
・授業中に立ち歩いてしまうような落ち着かない子ども?

いえいえ、実はそうではありません。上記のような状態が見える子どもであっても、次のことに当てはまらなければ大丈夫です。

それが「注意を素直に聞けない子ども」です。具体的には、人に迷惑をかけるような明らかな悪いことに対して注意した時に、次のような態度をとる子どもです。

(1)言い訳をする
(2)ふてくされる
(3)泣く
(4)逆切れする

どれも、不適切な行為です。

注意した方も嫌な気分になりますが、問題はその後です。これらの態度を繰り返すうちに、やがて「注意されない子ども」になり、それがやがて「避けられる人」になります。

どうして、こんな子どもになってしまうのでしょう。それが、冒頭に挙げた「大切」に育てた結果なのです。

叱られすぎて可哀相な子どもは実際にいます。誰が見ても、虐待とわかるような叱られ方を親からされている子どもです。悪いことをしてしまった子どもに「お前なんて生まれてこなければよかった」というような言葉を浴びせたり、意識不明になるまで殴ったりといった、明らかな虐待行為については、「論外」ということで今回は考えません。

■教師に敬遠される子どもの「育てられ方」

今回考えたいのは、密かに可哀相な結果になっている子どもたちです。

それが、「大切」に育てられた子どもたちです。具体的には、きちんと叱られないで育てられている子どもたちです。

悪いことをしたのに、叱られない子どもは、不幸です。子どもの善悪の判断基準は、親の教育によって決められます。一般的には、1歳半ぐらいから善悪の判断ができるようになるそうです。それ以前は、そもそも認識ができないため、叱っても無駄です。親が危険を取り除き、周りの方の迷惑にならないよう配慮するしかありません。

では、幼児期以降はどうか。叱るのは無駄ではありません。むしろ必要です。ところが、適切に注意を受けたり叱られたりしていないで育つ子どもは少なくありません。

それは、「むごい教育」の始まり。

覚悟を持って、子どもたちが本当に「大切」に育てていかれることを願っています。(次回は、叱られない子どもはどう育つかについて論じます。)

(国立大学附属学校 小学校教諭 松尾 英明)

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