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3カ月で結果出す「ペンディングノート」

プレジデントオンライン / 2016年5月12日 11時15分

ライバルに差をつけ、結果を出す“ペンディングノート”。月600億円の売り上げ記録をもつ野村証券の元営業マンが、作成法を明かす。

■3カ月後に結果を出す方法

48歳のときに「日本最大のビジネスマッチングと顧客紹介の会社をつくろう」と決めて、ファーストヴィレッジを創業しました。以来、8期連続で増収増益を続けています。そんな私のビジネス人生は、何種類ものノートと密接に関わってきました。

新卒で入社したのは、厳しい営業で知られる野村証券です。最初に配属された仙台支店時代に編み出したのが、「ペンディングノート」という新規開拓用の営業記録ノートでした(写真を参照)。

私はこのペンディングノートのお蔭で、縁もゆかりもない仙台の地で、同期158人のなかでトップの営業成績を収めることができました。

つくり方は簡単です。使うのは市販のB5判ノート。飛び込み営業をしたときの感触や、各種のリサーチによって有望だと思われる会社をリストアップして、見開き1社で、その会社だけの項目を立てるのです。

まず左ページの上部に会社名を大書します。その下に来るのが、所在地や連絡先、代表者、創業年、売上高などの企業情報です。上場企業なら「会社四季報」の、未上場なら帝国データバンクなど民間調査機関のデータをコピーして貼り付けます。

営業時に持ち歩くノートですから、会社情報の下には事業所付近の地図を付けました。不慣れな仙台では、この地図が大いに役立ちました。当時は手描きでしたが、いまならグーグルマップをコピーしてもいいでしょう。

右ページは日付・電話・外交(訪問)・手紙・内容に分けて、営業をかけるごとに1行ずつ記入していきました。相手が不在だった場合も住所と名前を記し、会社に戻ってから手紙を書き、DMを同封して投函しました。

相手に会えた場合は、すぐにお礼の手紙を巻紙に書いて送り、電話で次回のアポイントを取りました。社長に会えなかったらペンディングノートの社名の横にピンクの印を、会えたら赤い印を付け、契約に至れば赤で旗印を書き入れます。新人時代は同じ会社を10回訪問するのは当たり前でした。

当時の野村証券は、新人に1日で200件の飛び込み営業と40枚の名刺集めを課していました。これを「時代が違う」の一言で片づけるのは間違いです。名刺を集め、可能性のある相手にはこまめに連絡し、先々のアポイントが入っていれば、3カ月先には一定の確率で結果が出ます。

繰り返しの訪問は地道で面倒なので、たいていの営業マンは途中で諦めてしまいます。事実、当社を創業して以来、3回以上訪問してきた他社の営業マンは1人もいません。

ペンディングノートは新規開拓に特化したものですが、通常の営業活動には、B5サイズの手帳「ビジネスダイアリー」と、市販の大学ノートを使った「面談ノート」「備忘録」の3種のノートを使います。

「ビジネスダイアリー」は、その日の行動結果を30分刻みで書き込むもので、左の予定表部分には接客や会議、先方との面談など実際にその時間に行ったことを記します。右側はメモ欄で、社内で決まったこと、外交先で面談した人、約束した内容を書きます。自分が感じたことも加えるので、日記の役割も果たします。

面談の詳細を書き込むのは「面談ノート」です。内容は要約するのではなく、できるだけ忠実に記録することにしています。時には相手のセリフをそのまま書き写します。時間のない外出先ではメモ用紙に走り書きし、後でそれを面談ノートに清書します。

■トーナメントを勝ち抜くために

ポイントは、案件ごとのテーマ別ではなく時系列にすることです。テーマ別だと後で探すのが大変ですが、時系列ならビジネスダイアリーと連動して、「あの会社とはこの時期にこんな話をしたな」と記憶も蘇るのです。当社ではこれらの行動記録をデータ化しており、企業別に検索できます。

面談の結果、次に何をすべきかがわかります。そのことを箇条書きにするのが「備忘録」です。ここには、お客様との約束、部下への指示などの項目が並びます。私にとっての「TO DOリスト」といっていいでしょう。

ほかにも営業ツールとして使っているノートがあります。手のひらサイズの小さなもので、ここには心に響いた言葉を転記したり、気になった新聞記事や雑誌記事を切り抜いてスクラップします。ミニサイズなので、記事の切り抜きをそのまま貼るとはみ出してしまいますが、そういうときは縮小コピーしたりせずに、記事の現物を折りたたんで貼り付けます。

なぜ私はノートにここまで手間をかけるのでしょうか。それは「自分の給料はお客様からいただいている」という思いがあるからです。だから相手との出会いを大切にするし、会った人との面談内容を詳しく記録します。

仙台支店で好成績を挙げたあと、精鋭が集まる新宿野村ビル支店に異動しました。もちろん、ここでも各種のノートを駆使して、商談を重ねました。

人生はトーナメント戦だと思います。仙台で1回戦を勝ち上がった私は、新宿でも好成績を挙げ、30歳で月に600億円の売り上げを記録しました。

私がいま、若い社員に話すのは「微差が大差を生む」ということです。毎日会ったお客様の情報をこまめに記録し整理しておく。そのことが、トーナメントを勝ち抜く大きな力になるのです。新人時代からの私のペンディングノートは、33冊目になりました。

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市村洋文
ファーストヴィレッジ代表取締役社長。1959年生まれ。都立富士高、立教大学卒業。野村証券のトップ営業マンとして活躍後、KOBE証券専務・社長。2006年株式公開。07年から現職。近著に『1億稼ぐ営業の強化書』がある。

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(ファーストヴィレッジ社長 市村 洋文 高井尚之=構成 永井 浩=撮影)

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