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不謹慎狩りすべし! 熊本被災民にしれっと送る「詐欺メール」

プレジデントオンライン / 2016年5月7日 12時15分

写真はイメージです。

■「被災地支援メール」実は詐欺サイトへの勧誘

熊本地震の被災地などではいま、詐欺事件や悪質商法の事件が多数発生している。

例えば、「熊本の地震で困っている人に老人ホームの入居権を譲ってくれないか」などと電話で持ちかけられた。あるいは、公的な機関や身内を装う人物が義援金や寄付などと称して現金の要求をしたり、がれきの清掃や住宅の修理の押し売りをしたり。不謹慎極まりないのである。

国民生活センターによれば、他にも以下のような詐欺まがいの事例が過去の災害時には発生している。

● 「無料で応急処置する」と勧誘したのに、有料工事を勧める屋根修理
● 見積もりを依頼しただけで、契約とされてしまった屋根修理
● アンケートに答えたら補償金が受け取れると言われた電話勧誘
● 「被災地支援のため」というメールが競馬情報提供サイトへの勧誘だった

2011年の東日本大震災でも地震直後、携帯電話に「地震速報」というタイトルのメールが届き、「詳細情報はこちら」という、サイトアドレス(URL)をクリックすると、出会い系サイトにつながり、利用料金1万円を払うようにという表示が出た事例もあった。

今後も、地震の被害が長引くにつれて、こうした緊急地震速報などを騙り、偽サイトに誘導するメールが届く可能性は高いので、注意が必要である。

悪質サイトに誘導する手口には、メール以外にもネット検索などを通じて誘導されることも多い。熊本地震とは関係がないが、以前に、フジテレビの番組で、HKT48の指原莉乃さんが、「芸能人のゴシップネタが好きで、いろんなサイトを見ているうちに、なぜかアダルトサイトへいってしまい、『登録完了10万円払え!』という請求画面が出たことがある」と話していたが、こうした事例も多い。

詐欺被害に遭うのは、ネットを利用する若い人たちが多いと思われがちだが、高齢男性が「湿疹の薬のサイトを探していたら、いつの間にかアダルトサイトに誘導させられて、業者に電話をしてしまった」というケースもあるように、携帯電話やスマートフォンを持つ中高年も増えてきているなかで、あらゆる世代が被害に遭っている。

■なぜかアダルトサイトに誘導され10万円請求

本来なら、悪質サイトにアクセスしても、料金表示など無視すればよいのだが、最近の業者はそうさせないよう様々な手を打つ。

たとえば、パソコンやスマホに表示した料金画面を、電源を落としても再び表示させるようにして永遠に消えないようにする。そして、お金を払えば画面の料金表示を消すといって、業者の電話番号にかけさせようとする。

またアダルトサイトにアクセスしてしまい、「登録完了、10万円払え」という画面に慌てる人に、親切にも「誤操作で入会した方へ」というボタンを表示する。それを消費者がクリックすると、「186」発信という電話番号を通知させる形で、自動的に電話をかけさせるようになっていることもある。詐欺業者は、本人が意図しない形で、サイトに誘導させ、慌てさせて、お金を払わせようとする方法にたけているのだ。

私たちは予期せぬトラブルに見舞われると、大きなストレスがかかる。

そのため、一刻も早く解決したいと思う。今回の熊本地震のような天災に見舞われた上に、詐欺や便乗商法に遭ったらなおのことである。

写真はイメージです。

詐欺犯らは、そうした人の“弱った”心理につけ込むものだ。架空請求の電話では、相手に、入会金10万円、登録費用20万円、解約の事務手数料には40 万円もかかると、どんどん料金を加算させて、100万円を超える金額を提示する。ただでさえ、ストレスがかかっているところに、さらに料金が加算されて、パニック状態になり、どうしてよいかわからない状況になる。そこへ、業者は次のような言葉を差し出す。

「ですが、急にそんな金額は払えないでしょうから、今日中にお支払頂ける約束をしてくれるならなら、金額を減額して、10万円だけにしてあげますよ」

こちら側の不安やストレスを取り払ってくれるかのような言い回しに、多くの人はお金を払ってしまう。すなわち、相手を情報過多な状況において、自分の手には負えないような問題だと思わせて、すぐに実行できるアドバイスの形で金をとるのだ。

■頭がパニック状態になると人は救いを求める 

嘘の情報で相手をパニック状態に陥れるのはほとんど犯罪行為で、断じて許されることではない。詐欺・便乗商法をする輩はいわば「知能犯」だが、その“スキル”はもともとまっとうなビジネスで使われていたものなのだ。

ここで頭を震災エリアにおける詐欺・便乗商法といった観点からいったい離し、ビジネスに切り替えてみよう。パニック状態に陥っている相手へ必要なアドバイスをする行為を顧客対策として正しく使うことは、接客や商談などあらゆるビジネスの場面で見られる。

写真はイメージです。

先日、私はチラシを見て、大手家電量販店へ電気釜を買いに行った。

だが、電気釜とひとことでいってもあまりにもたくさんの商品があり、どれにしようか本当に迷った。多機能で選ぶべきか、おいしく炊けることを重視すべきか、価格で選ぶべきか、日本のメーカーのものを選ぶべきか……。困り顔の私のもとにひとりの店員がやってきた。

とても親切な口調で、私の家族構成などを尋ねて、どの大きさの釜がベストかを指南してくれた。さらに、今は米を炊くだけでなく、パンや他の料理を簡単につくれる機能があるものもあるが、それを使うかどうかも尋ねてきた。

ひと通り、私の必要性を聞き出すと、いくつかのメーカーの品を指差してくれた。選択肢が少なくなると、商品を選びやすくなるものだ。私はその中から、自分に合った一品を選ぶことができた。私たちはものを選ぶとき、あまりに悩み、ちょっとしたパニック状態になることがある。そんな状況に陥ると、それを整理してくれるアドバイスがほしくなる。

ビジネスでも煩わしい事態に遭遇することもある。

取引先とのトラブルから裁判などのやっかいな事態になれば、弁護士に依頼して、解決をはかってもらう。経理に関することであれば、会計士や税理士にお任せする。役所へ煩雑な書類の提出があれば、行政書士に頼むといった具合だ。面倒なこと、悩んだ状態が起こった時には、誰かに頼んで解決するのが一番なのである。

特に今は情報化社会で、何かほしい、知りたいと思い、ネットで調べればすぐにたくさんの情報が手に入るようになっている。そのことでかえって情報過多な状態に置かれやすくなり、どこから手をつけていいかわからず、悩む状況に陥る人も多い。情報の交通整理をしてあげて、アドバイスをすることは重要である。ビジネス上でこれができる人こそ、相手から一目置かれる存在になりうるのだ。

ただ、残念ながら震災など混乱に乗じて、そうしたテクニックを悪の道に使って、困った人をさらに困った状態にする輩がこの世からいなくなることはない。注意を怠れば、泣きっ面に蜂の憂き目にあってしまうのが現代なのかもしれない。

(ルポライター 多田 文明)

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