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三井住友トラストクラブ社長「富裕層向けカードビジネスはさらに拡大するか」

プレジデントオンライン / 2016年5月15日 16時15分

三井住友トラストクラブ社長 野原幸二氏

昨年12月、国内最大の信託銀行である三井住友信託銀行は、米シティグループからクレジットカード「ダイナースクラブ」の日本における独占発行権を取得した。同カードを運営する三井住友トラストクラブの野原幸二社長に、富裕層向けカードビジネス市場の現状について聞いた。

■入会基準の厳しいハイクラスカードが増加

──ダイナースクラブ買収の目的は?

【野原】シナジー効果の高さだ。三井住友信託銀行とダイナースクラブ、どちらのお客様も富裕層であり親和性は高いが、じつは顧客はあまり重なっていない。

三井住友信託銀行は、預貯金やローンに加えて資産運用や相続、事業継承といった業務を行う。そのため複数の不動産を保有する資産家や、大手企業の役員の方などが多く、年齢は50代以上が多くなっている。

一方、ダイナースカードを発行する三井住友トラストクラブの会員は、中小企業のオーナー、医師、弁護士といった富裕層が多く、年齢は30代から50代が中心。国内で74万人の会員がいる。

信託銀行とダイナースクラブがお互いの顧客に対し、付加価値の高いサービスを提供することで、新規の顧客を取り込むことが可能だと考えた。2020年を目処に、会員を100万人に増やす目標だ。

──富裕層向けの市場をどのように見ているか。

【野原】日本の富裕層向けクレジットカード市場は今、じわじわと伸びている。日本では団塊の世代が引退しはじめ、お金に余裕のあるシニア層が増えていることが、ハイクラスカードの市場が拡大する要因になっている。

また現役世代の高額所得者が増えていることも、要因に挙げられるだろう。

クレジットカードも二極化の傾向がある。楽天カードのように年会費無料で入りやすいカードが会員数を伸ばしている一方、入会基準が厳しいハイクラスカードも増えている。

以前はダイナースとアメックス(アメリカン・エキスプレスカード)がハイクラスカードの代表格だったが、この十数年で、VISA、JCB、DCなど各社がプラチナなどのハイクラスカードを発行してきた。ハイエンドクラスではアメックスのセンチュリオンカード(年会費35万円)と、ダイナースクラブのプレミアムカード(年会費13万円)がある。ハイクラスカードの競争が激しくなっているのは確かだ。

──どう差別化していくのか。

【野原】会員に対し、いかにプレミアムサービスや付加価値を提供できるかにかかっている。ダイナースクラブはその名の通り、食事を楽しむ人のために1950年にアメリカで設立されたクラブだ。決済をしてもらうことを主たる目的としたクレジットカードとは、理念が違う。今もその理念は変わらず、会員限定の特別なイベントを定期的に開催している。例えば、フランス大使館、英国大使館など一般公開されていない場所で催されるパーティや、月に一度、会員のために小野二郎さんが握ってくれる「すきやばし次郎のお寿司を楽しむ会」なども開催している。

日本は1人あたりの利用額が世界でトップクラスだ。複数のカードを持っていても、日本人は、銀座での買い物やゴルフをするときなど、高い金額の支払いに特定のカードを使う傾向にあるからだ。ダイナースクラブカードはカードの利用状況に基づき限度額を設定しているため、数百万の買い物もできる。これからいかに特別な食事や旅、買い物を楽しんでもらえるかに、今後の顧客獲得の成否がかかっていると考えている。

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三井住友トラストクラブ社長 野原幸二
1955年、山口県生まれ。78年京都大学法学部卒業後、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)入社。2012年常務執行役員、14年三井住友信託銀行専務執行役員を経て、15年4月より三井住友トラスト・カード社長。同年12月より現職。

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(三井住友トラストクラブ社長 野原 幸二 嶺 竜一=構成 市来朋久=撮影)

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