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「自分の人生を生きていないとき」人は病気になる

プレジデントオンライン / 2016年7月2日 16時15分

梯谷幸司・トランスフォームマネジメント代表、メンタルトレーナー

「病は気から」と言われますが、実は奥はもっと深く、意識と言葉の関係によって病気のコントロールが可能だとメンタルトレーナーの梯谷幸司さんは言います。自己実現のツールとしても使われるNLP(神経言語プログラミング)などを駆使し、経営コンサルタントやビジネスコーチとしてだけでなく、医療の場でも「言葉を使って病気を消す」といった取り組みを積極的に行っています――。

■人は言葉で表現できないとき、体で表現を始める

ビジネスコーチという職業柄、これまでのべ3万人以上のクライアントの対応をしてきました。中には、経営者や業界トップクラスの方も多く、彼らは自分の体調について隠さなければならないこともしばしばでした。コーチングの傍ら、そうした人たちの健康相談を受けることもあり、その過程で、病気になる人に共通した傾向があることに気づいたのです。

初めに病気と言葉の関係に気づいたのは、自分自身の体験からでした。まだコーチングの勉強を始めた新人の頃、忙しさのあまり、過労からマイコプラズマ肺炎になって入院しました。当時の上司がお見舞いに来てくれたときの言葉は忘れられません。開口一番、「君は何を言っていないんだい」と聞かれました。突然で面食らいましたが、「休みをください」と返しました。すると、上司は「人は、口で言えばいいことを、体で表現する。次回からは体でなく口でそれを言いなさい」とだけ言って帰っていきました。その後、私のマイコプラズマ肺炎は医師の予測よりずっと早く治りました。この体験がきっかけで、私は病気と言葉の関係に注目するようになったのです。

さらに、数年前から、家族や親しい友人が次々と病に倒れ、その際に私が言葉を使って暗示にかけ、病気が改善したということがありました。以来、医療分野でのサポートを考えるようになり、今年から都内でクリニックを経営する首藤紳介医師と組んで、「言葉で病気を消す」といったメンタルカウンセリングを行っています。

これまでに、乳がん、子宮がん、大腸がん、認知症、パーキンソン病、不妊症、学習障害など、さまざまな悩みを抱える人々に会ってきましたが、彼らに共通していることがあることに気づきました。「誰かに何か言っていないことがある」「許せない人がいる」「受け身的な解釈をする」「原因を外に求める」などです。

こうした価値観や思いを持って生きていると、人は徐々に本当の自分の気持ちを抑制して生きていくようになります。そして、どんどん「本来自分が望んでいた人生」からズレていくのです。どんなに社会で成功をしている人でも、どんなに財を成している人でも、この点は共通しているようです。

■自分の人生を生きることは、今すぐにでもできる

「自分の人生を生きる」ということは、誰かと競ったり、自慢するためだったり、または誰かのために生きることではありません。自分が心から喜びを感じることをやっているかどうかに尽きます。家族のために仕事をし、我慢をしながら一生懸命に頑張ることが当たり前で、必死にやっているというのが世間の大半でしょう。「本当にやりたいことだけできる人生なんて幻想だ」という人もいることでしょう。しかし、視点を変えて、今やっていることに新しい意味づけをすることは可能です。今していることをすぐにやめて、やりたいことだけをやるという必要はありません。

同じ「仕事をする」でも、生活の糧のために仕事をするのか、何か大切な役割のための仕事なのかで動機が全く違ってきます。もし、今の仕事に満足していなければ、その仕事を「人生」というもっと大きな流れの中で、自分にとってどのような意味があるのかを俯瞰して見てみるのです。これまでとは違ったものが見えてくるはずです。

病気も同じことです。成し遂げたいことがあるから病気を治したいのか、ただ病気を治したいから治療をするのかで、回復の程度もスピードも異なります。

病気は、「自分が本来あるべき人生からズレているんだよ」と知らせてくれるサインであって、敵や怖いものだと感じる必要はありません。病気からヒントを得て、考え方をシフトしてみることで、体調だけでなく、人生にも変化が起きるかもしれません。これまで、実際にそういう人をたくさん見てきました。

一般的に、病気、特に慢性的な疾患についてはその原因を生活習慣などに求めますが、私は、その人の潜在意識を探ります。病気を発生させている隠れた原因というものが、誰にでも潜んでいるからです。目標達成や自己実現のツールとして欧米で使われているNLPやLABプロファイル(行動特性から思考パターンを分析し体系化したもの)、禅などを応用したカウンセリングのテクニックを駆使して、潜在意識を探り出す方法を紹介しましょう。

■病気は必ず人間関係に問題を抱えている

●「隠されたコミュニケーション」を暴く

最初に私が見るのは、「隠されたコミュニケーション」です。病気の裏側には必ず、誰かに何か言いたいことが言えていないなど、周囲の人間関係の問題があります。まずそれを探し出します。

認知症の患者さんは家族間での問題が多いようです。私は患者さんに対して、繰り返しこう言います。「私の前では認知症は通用しませんよ。一体何のために認知症になっているのですか?」と。しばらくすると、「子どもに遺産を渡したくないから」だとか、「夫の面倒をみたくないんだ」など、何らかの返事が返ってきます。逃げ出したいことがあると認知症になって逃げ込むのがありがちな特徴のようです。

がんになる人も、「上司に不満がある」「夫が浮気をしている」「姑とうまくいっていない」など、必ず何らかの理由が返ってきます。しかし、なかなかそれが口に出せなかったために、病気という形で体が表現をしているようです。

こうした不満や口にしてこられなかったことを、カウンセリングの最中に引き出します。

●病気に対して、主体的か受け身であるかを確認する

次にその人の意識の中の「フィルター」を確認します。私たちは、物事をさまざまなフィルターをかけて見たり判断する癖があります。「男は○○だ」「日本人は○○だ」などの固定観念もフィルターのひとつです。「○○でなければならない」「○○しなければならない」という思い込みもそうです。また、原因を他人に見出すか、自分に見出すかもフィルターのひとつです。仕事でミスがあった場合、自分で防げなかったことを反省して、次回はミスをしないように前向きになる人もいれば、誰かのせいにして延々と恨む人もいるでしょう。何かの事柄が起こったとき、自ら考えて行動を起こすのか、周囲がそうするから自分もそうするのかなど、原因をどこに置くかで結果が変わってきます。

■自分で「病気をやめること」ができる

●意識レベルを確認する

意識のレベル(感情レベル)の確認も大切です(図表参照)。アメリカの精神科医、デヴィッド・R・ホーキンズ博士は、意識には悦び、愛、勇気、怒り、恐怖など、17段階のレベルがあり、意識のレベルによって発するエネルギー値が変わるといいます。がんになる人は「罪悪感」があり、自殺をする人は「恥じ」の意識を持っていることが多いようです。私は、罪悪感、無気力など低い意識のレベルにいる人に対して、カウンセリング中に恐怖を感じさせたり、怒らせたりすることがあります。これはエネルギー値を上げるためにわざと行うテクニックのひとつです。意識のレベルを一気に上げるのは難しいので、少しずつ上に上げて、9の勇気以上の達成可能なレベルにもっていくのです。

意識のレベル(デヴィット・R・ホーキンズ博士の研究より)
●不完了な感情を解決する

そして、これが最も重要です。不完了な感情がないかどうかの確認です。不完了な感情というのは、未消化の感情とでもいいましょうか。患者さんの多くに「絶対に許せない」という感情が見られます。この「絶対に許せない」を「許す」に変える決意をすることが非常に重要な一歩となります。許せないことが習慣になっていますし、中には許さないことが生きるよるべになっている場合もあります。しかし、病気と決別したいのであれば、ここで「許す」と決心できるかどうかが、ひとつの鍵となります。

●「前進している」感覚を持たせる

その後は、生きる目的を明確にさせ、それに向かって「前に進んでいる」という感覚を芽生えさせます。仕事や家庭での自分の生きる目的や目標を見つけ出したら、その目標を達成するために必要な最初のステップ、プロセス、スケジュール、課題や問題を洗い出します。こうした過程を経ることにより、考え方が主体的になり、「自ら前に進んでいる」という感覚を得ることができるようになります。実はこの感覚こそが、実際に目標が実現するかどうかよりも重要なのです。

ある日、私のクライアントが「私、この病気でいることをやめることにしました」と言ってきました。彼女は病気は自分で作るもので、自分でやめることもできるのだということに気づいたようです。進行がんの患者だったのですが、それから3カ月ほどでがんが縮小して、最終的にがんが消え、主治医も驚いていたそうです。

別に彼女が特別というわけではありません。自分の人生は自分がコントロールしているという感覚を持って、自分で病気をやめようと決心することは、誰もができることなのです。

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梯谷幸司(はしがい・こうじ)
トランスフォームマネジメント代表。心理技術アドバイザー、ドランスフォーメーショナル・コーチ、経営コンサルタント、NLPトレーナー。人間心理、言語学心理、NLP(神経言語プログラミング)、LABプロファイルなどの分野で世界的な専門家に師事し、20年以上、科学的手法に基づいた理論を実践している。経営者、アスリートなどクライアントの抱える先入観や思い込みを素早く特定し、潜在意識をフル活用させ、精神的、肉体的苦痛を伴わずにセルフイメージを変革してきた。企業コンサルティングや研修事業、表参道首藤クリニックでカウンセリングを行っているほか、一般向けワークショップも定期的に行っている。

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(トランスフォームマネジメント代表、メンタルトレーナー 梯谷 幸司 取材・構成=田中響子)

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