舛添都知事後任、小池百合子が最有力も森元首相は「大ッ嫌い」
プレジデントオンライン / 2016年6月17日 10時15分
■次期都知事選の候補者選定開幕
東京都の舛添要一都知事の政治資金などをめぐる問題は、いまだ収まる気配を見せていない。政治資金での美術品の購入やリゾートホテル利用、高額な海外出張費などに批判が殺到し、舛添氏が選任した弁護士による調査は一部が「不適切」と認定された。各種世論調査では辞任を求める声が圧倒的多数を占めるが、違法性がないと判断した舛添氏は辞任を否定した。ただ、7月10日に参院選が迫る中、都知事を支えてきた自民、公明両党には危機感が募る。水面下では次期都知事選の候補者選定作業を始めており、辞任に追い込むタイミングをみているのが実情だ。はたして、2020年東京五輪・パラリンピックを首都で迎える「顔」となるのは誰か。
「批判に値するような極めて恥ずかしい行動をしてきた」。6月6日、弁護士による調査結果を発表した記者会見で、不適切な支出が「認定」された舛添氏はいつになく険しい表情をみせた。かつては「トップが二流のビジネスホテルに泊まるか」などとスイートルームやファーストクラス利用の理由を堂々と語っていた自信家の姿はもはや見当たらない。問題発覚後、世論の批判が高まると一転して今後は利用しないと表明し、高額な海外出張費は「事務方に任せていた」などと責任を回避する姿勢も火に油を注いだ。
舛添氏を都知事選に擁立し、当選させた都議会の自民、公明両党は当初、問題を静観する姿勢をみせていた。だが、世論の逆風を受けて厳しく追及する姿勢に転じ、次期都知事選の候補者選定作業に入っている。名前があがるのは橋下徹前大阪市長、東国原英夫元宮崎県知事、民進党の蓮舫代表代行、キャスターの安藤優子氏らだ。知名度は高く、当選圏に入りそうな面々だが、舞台裏はどうなっているのか。
ある自民党幹部は「次の都知事はまさに『五輪の顔』。豊富な経験と安定力は不可欠だが、世界に発信していける人物が必要だ」と条件をあげる。党都連関係者が最有力候補にあげるのは小池百合子元防衛相だ。小池氏は環境相、防衛相などの閣僚経験があり、党三役の総務会長も務めた重量級。舛添氏が当選した前回の都知事選でも石原慎太郎元都知事らが擁立を打診し、自民党が模索した経緯がある。
党都連幹部は「キャリアと発信力は申し分ない。あとは本人がその気になってくれれば」と語る。ただ、別の都連関係者が気にするのは森喜朗元首相の存在だ。五輪組織委員会トップを務める森氏は「小池氏のことが大嫌い」(党幹部)で有名。小池氏の閣僚就任や党総裁選出馬でことごとく対立した経緯があり、「陰に陽に小池氏擁立にも難色を示すのは間違いない」(党幹部)とみられている。
森氏は、舛添氏の問題でも「(舛添氏は)都をよくまとめていて、仕事がしやすい」といち早く援護射撃し、SNS上には「小池氏を出馬させない妨害」「森氏が反対なら逆に応援したくなる」などと書き込まれた。女性の活躍推進を掲げる安倍晋三首相は、森氏の意向をいかに受け取るのかが注目されている。
大阪府知事、大阪市長の首長経験があり、改革派として知られる橋下氏も名があがる。安倍首相や菅義偉官房長官との太いパイプから自民党が擁立を模索するとの見方もあるが、首相側近の1人は可能性を否定する。その最大の理由は来年の都議選だ。自民、公明両党が橋下氏を支援して当選させた場合、都議選での対応がネックとなる。橋下氏が法律政策顧問を務める「おおさか維新の会」と自公の候補者は都議選で戦うが、自公の候補は都知事の「応援」をのぞめない。現職都議の1人は「橋下氏擁立は絶対ダメだ」と断言する。
11年の都知事選に出馬し、知名度がある東国原氏は「(私は)叩けばほこりが出る」などと出馬を固辞する考えを示唆。安藤氏も立候補に否定的なコメントをしており、民進党が担ぐとみられている蓮舫氏の対抗馬は定まっていない。続投に執念を燃やす舛添氏の一方で、国民の関心は「ポスト舛添」に向いており、辞任を求める声はやみそうにない。
(時事通信フォト=写真)
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