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我が子を「ロボットに負ける人間」にしてしまう親の特徴5

プレジデントオンライン / 2016年7月3日 10時15分

■「人工知能=ウサイン・ボルト」にいかに勝つか?

AI(人工知能)の時代――。かつて単純作業しかできないといわれていたロボットが、将棋や囲碁などの世界チャンピオンを破るというような事態が起きています。最近では、米マイクロソフトが開発した「Tay」が、その学習能力の高さゆえに差別的発言をしたことも話題になりました。

これからますます高度な知能を要する分野にITが進出してくることが予想されます。

そしてここ10年ほどで、米国では現存の職業の半分がなくなる可能性があるといいます。日本でも同様です。このロボット大躍進時代に、子どもをロボットに負けない人間にするために、親はどのようなことをすればいいのでしょうか。

突然ですが、問題です。

あなたがウサイン・ボルトに100m走で勝つ方法は何でしょうか?

答えは……あなたが車やバイクに乗って走ることです。明らかに反則です。しかし、これは冗談ではありません。ロボットと人間が競うというのは、そういうことです。パワーやスピードという点において、どんなに優秀な人間でも機械には絶対に勝てません。科学的トレーニングとか心理学とか根性とかの分野ではありません。物理的・空間的な法則であり、摂理です。

つまり、私が言いたいのは、ロボットの得意分野で対抗してはいけないということです。計算の速さでロボットと勝負しても無駄です。

例えば、スーパーコンピューター「京」の計算速度は、その名の通り1秒間に1京回。これは、「地球上の全人口70億人が電卓を持って集まり、全員が24時間不眠不休で1秒間に1回のペースで計算を続け、約17日間かけてようやく終わる勘定」だそうです。

競争相手としては、強敵すぎます。勝負どうこう以前の問題です。単純作業や長時間労働の能力でロボットに対抗しても無駄です。ロボットは24時間365日、ものすごい能率で働けます。

■ロボットに勝つ子どもはどんな子か?

子どもが学校のテストでどんなに良い点がとれても、それは決まった解のあるものです。決まった手順に従って適切な解を導き出した。そのこと自体は、素晴らしい。ただ、それは、ロボットの超得意分野です。

近い将来、AI時代を生きる子どもたちがつけるべき力は、テストで良い点をとる能力だけでは不足だということです。

将来ロボットに負けない人間に育てるためには、「ロボットの不得意分野、かつ人間独自の得意分野」を見極めて伸ばす必要があります。

では、そんな将来を見据えて、学校では子供にどんな教育をしていけばいいのか。そのキーワードが「アクティブ・ラーニング」です。学校現場にいる人間にとっては、もはや耳にタコができるというぐらい言われている超重要キーワードです。

文部科学省では、次のようにこの言葉を定義しています。

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、生徒が能動的に学ぶことによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習などのほか、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークなども有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

何やら、難しいですね。簡単に言うと、「自分で考えて行動し、周りの人と協力していける人間を育てよ」ということです。アクティブ・ラーニングとは、「能動」かつ「協働」できる人を育てることに他なりません。

これが、学校教育にとどまらず、広く社会に求められていることです。つまり、アクティブ・ラーニングをご家庭の子育てにも導入すればいいわけです。

そしてこのアクティブ・ラーニングは、ロボットには獲得が難しい分野でもあります。ロボットが自分で考えるといっても、それは人工のプログラムによるものです。今話題の「ディープ・ラーニング」にせよ、人間の脳の構造が完全に明らかになってない以上、人間の知能にはまだ及びません。またロボットには、他人と感情の交流をしながらコミュニケーションをすることはできません(パターンを読んで反応することはできますが、感情の交流とは違います)。感情プログラムを導入しても、限界があります。

結局のところ、能動や協働といった人間独自の分野の力を伸ばしていければ、将来ロボットに職を奪われるリスクはかなり減るのではないでしょうか。

■こんな親が子どもを「ロボット以下」にする!

ところで、能動的に動く人間の反対は、受動的な人間です。そこで、あえて受動的でコミュニケーションをしない「ロボット人間」を育てる方法を考えてみましょう。

プログラム通りに動き、他人と協力するのが苦手で、すべて命令によって動く人間です。これを考えることで「反面教師」にすることができそうです。

【人のいいなりのロボット人間の育て方】

(1)子どもに選ばせず、親が正しいと言ったものに決めさせる
(2)いつもうまくいく方法を教え、失敗させない
(3)できないことや失敗しそうなことは、先回りしてやってあげる
(4)子どもの言動に反応しない・無視する
(5)子どもを大人の劣った存在とみなし、馬鹿にする

どうでしょうか。

これらの親の育て方をひと言で言うと「自尊感情を失わせる」ということです。子供に自分はダメだと思わせて自信をなくさせれば、能動的には動けなくなります。自尊感情の低い人間は、強い他者の決定に従い、言いなりになります。一部の独裁者が人々を支配する時に使う手法です。

この場合、独裁者というのは、ロボットやロボットを操作する側の人間になります。次回は、愛する我が子をロボットに負けないようにするための育て方を解説していきます。

(国立大学附属学校 小学校教諭 松尾 英明)

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