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会社員妻との生涯収入差は1億3500万円でも「働きたくない病」の妻たち6タイプ

プレジデントオンライン / 2017年1月5日 9時15分

■子供ができたら仕事をやめる、は正しいのか?

内閣府が発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」によると、女性が仕事を持つことに対して「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」と答えた人が初めて半数を超えた(男女計/54.2%)。女性は専業主婦として育児専念するのではなく、ワーキングマザーが当たり前の時代になりつつあるのだろうか。

年齢別に見てみると、さらに興味深い結果となっている。

「子供ができても、ずっと職業(仕事)を続ける方がよい」と答えた人の割合(男女計、以下同)は40~50歳代が他世代より高くなっている一方、若い18~29歳では「子供ができたら職業をやめ、子供が大きくなったら再び職業を持つ方がよい」と答えた人の割合が他世代より高くなっている。

子供がまだいない、あるいは子供がまだ小さい世代は、「子供が小さいうちは、働きたくない」と考える人が多く、現在の40~50歳代は、自分たちは子供ができても継続して働いていたかどうかは不明であるものの、働き続けた方がよいと多くの人が考えているのだ。

現在40歳後半となる筆者自身も、「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」との意見だ。

筆者はフリーランスということもあって、妊娠、出産、育児の間、仕事はほぼ休んでいない。とくに大きな山場であった、出産時も、山のような原稿を締切り前倒しで出しまくり、入院中もパソコンを持ち込んで仕事をしていた(自慢ではなく、当時は必死だったのだ)。

出産直後は、さすがに外出しなければいけない案件は控えていたが、ある程度、子供が成長すると、ベビーカーを押して打ち合わせに行った記憶がある(クライアントに確認して許可が出たら同伴していた)。授乳やおむつ替えは訪問先の和室を借りてやらせてもらった。

子どもが小学校に上がるタイミングで、出張を解禁するなど、様子を見ながら、徐々に仕事の範囲を広げ、ようやく最近、ピーク時の6~7割程度のボリュームで仕事ができるようになってきた。

■働くことは生活の糧であり、人生の糧である

我が家は、夫が会社経営者で、家事も育児も一切、非協力的。私が仕事をすることに関しては「別にあなたが働かなくてもおカネに困らないでしょ」というタイプ。頼りになる祖父母なども近所に住んでおらず、夫から「子どもが3歳になるまで保育園は禁止」と念押しされていたので、子どもが小さい頃は本当に大変だった、ような気がする。

その後、子供が5歳のときに乳がんに罹患した。

それでも仕事を辞めるという選択肢は一切なかった。私にとって、働くということは「生活の糧」であるとともに、「人生の糧」でもあるからだ。

今を思えば、細々でも、仕事を辞めなくて本当に良かった。経済的にも精神的にも、キャリア的にもさまざまな面において……。女性は、男性に比べて、現場(会社など)から離れている時間が長くなるほど、社会復帰が難しくなることを痛感するからである。

3人の子供を持つA子さんは34歳の専業主婦。23歳で結婚し、その後、妊娠・出産。会社員の夫の収入は安定しているが、住宅ローン返済や子供の教育費などを考えると、末っ子が小学校にあがるタイミングで再就職しようと考えている。

でも、子育て期間中の10年間、A子さんはまったく外で仕事をしていない。「社会に出るのが怖いんです」とA子さんは言う。

「働くのは別にイヤではありません。でも、ずっと子育てしかしていないし、結婚前に働いていたときは、パソコンなどもなくて。これまで触ったことがありません」

ただ、A子さんのように現在、働いていないママさん主婦でも、一定の条件を満たせば、補助を受けながら、おトクに資格取得やスキルアップできる「教育訓練給付制度」がある。

これは、「雇用の安定と再就職の促進を図る」という目的でつくられた雇用保険の制度。条件を満たす雇用保険加入者(在職者)や離職者が、情報処理や簿記、語学など、指定の教育訓練を修了した場合、支払った費用の一定割合(上限あり)について、ハローワークから支給を受けられる制度である。

スキルに自信がない人は、これら就職支援制度等を積極的に活用すればいいだろう。

■働けるのに「働きたくない病」の妻たち6タイプ

A子さんのように働く意思があっても、ブランクに恐れ慄く人がいる反面、とにかくまったく働きたくないという人もいる。

筆者のもとにマネー相談でやってくる方の中にも少なからずそうした女性がいるが、その際「なぜ、働きなくないのですか?」と質問している。その回答を分類すると、いわゆる「働きたくない病」の妻たちは、ざっくり次の6つのカテゴリーに分けられる。

1:「やりたいことが特にないor希望する仕事がない」タイプ
仕事も趣味もとくにやりたいことや熱中することがない。あるいは逆に、やりたいことはあるのに、希望する仕事が見つからない、それにつけないであきらめている人など。

2:「見栄っ張り」タイプ
「働いている妻=経済的余裕がない家庭の妻」というイメージが強く、自分がそう見られたくないと考える人。妻がそうでなくても、夫が世間体や対面を気にする場合もある。

3: 「カラダが弱い」タイプ
病気がちで、心身が弱く、継続的に働くのが厳しい人。入院や通院等で、物理的に働けない人もいるが、とくに通院等はしていなくても、「働くのはちょっと……」という人もいる。

4:「経済的に恵まれている」タイプ
夫の収入が良いあるいは実家が資産を保有しているなど、経済的に恵まれており、多少の収入のためにあくせく働く必要はないと考えている。

5:「専業主婦願望が強い」タイプ
「憧れはママみたいな専業主婦」と公言してはばからない。前述の(2)と重複する部分もあるが、働きたくないから、結婚して専業主婦を選んだという人もいる。

6:「人間関係・他人とコミュニケーションを取るのが苦手」タイプ
会社を辞める原因は人間関係によるものが多い。給料が安く、待遇が良くなくても、人間関係が円滑であれば、結構、働き続けられるものである。

■働かないことの経済的損失は、1億3500万円!

上記それぞれのカテゴリーに対して、働きたくなる効果的な手法やアドバイスについては、キャリアカウンセラーなどのキャリアの専門家にお任せしたい。ここでFPという立場からお話しているのは、働かないことに対する経済的損失についてである。

以下の図表は、女性の3つ働き方とそれぞれの生涯収入の試算である(【図表1】参照)。
まったく働いたことがない「専業主婦妻」と、大学卒業後60歳まで正社員で働いた「会社員妻」の公的年金も含めた85歳までの生涯収入の差は、なんと10倍以上ある(1560万円と1億6000万円)。

結婚するまで正社員で働き、子育て期間の後、再就職してパートで働いた「パート妻」と比較しても約5倍にもなる(1560万円と8100万円)。

働きたくないという妻には、まず働くことが大切な財産であることを知っていただきたい。自分の付加価値を高め、それで高い収入(リターン)を得るのは一種の投資でもある。

前述のカテゴリー4の場合、経済的な側面とは無関係に思うかもしれないが、何らかのアクシデントが生じて、一気に家計破たんへと転落してしまうのは、実はこのようなタイプの人だ。経済的に恵まれていて、今さらあくせく働きたくないと“サボって”いると取り返しのつかないことになるケースもあるのだ。

たとえば、高収入だった夫が突然事故にあった、病気になった、亡くなった、リストラされたなどで収入が激減。収入に応じて組んだ住宅ローン返済や私立に通学する子供たちの教育費、膨らんだ生活費などが見直ししきれず、たちまち困窮してしまうといったパターンである。それほど、夫の収入に依存度が高い専業主婦という立場は、高リスクということを自覚しよう。

■妻に働きに出てもらいたい夫が今すぐすべきことは?

そして、妻に働きに出てもらいたいなら、夫の方にも一言。

育児や家事、介護などを妻が一手に担っているのであれば、それに仕事が加わった場合、その分の負担を軽減するために、夫や子どもなど家族の協力や理解は欠かせない。

妻に対してのみ「子供や家のことはちゃんとして欲しいし、稼いでも欲しい」というのは虫が良すぎるというものだ。

パートナーエージェントが20~59歳の共働きの既婚者2200人に行った「夫婦の就労実態」に関するアンケート調査によると、共働き世帯の場合、夫と妻の年収差が少ない家庭ほど、家庭での家事・育児の分担は平等であると回答している。

年収差が「301~400万円」もある世帯の場合、妻の方に家事・育児の負担がかかっている世帯が93%超(「どちらかと言えば妻が担当」29.5%+「ほとんど妻が担当」54.5%、「妻が担当」9.1%)と大多数を占める。一方、年収の「差はない」世帯の場合、60.0%が家事分担は「平等」と回答している。

なお、話はそれるが、年収差がない共働き夫婦やファミリーが平等に家事などをこなしている様子はなんとなくわかるが、さらに、年収差が大きく、いずれかの年収が高い場合、「ほとんど夫が担当」あるいは「どちらかと言えば夫が担当」の割合が増えている点も面白い。

今や、できるだけ妻はソトに出て働き、夫はウチに入って家事・育児をする時代なのかもしれない。いずれにせよ、少子化・高齢社会の影響で、働かない妻への社会的優遇措置は、今後も減少傾向にある。

働き方も多様化し、在宅ワークやテレワーク、趣味や特技を活かして起業する方法などさまざまだ。そして、働くということは、豊かな老後を送るための3大要素「いきがい」「健康」「お金」にもつながっていくことを忘れてはならない。

(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

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