「家がタダ」で「子育て支援702万円」のスゴイ町

プレジデントオンライン / 2017年4月15日 11時15分

募集した物件。

■土地付き住宅を無償で譲与

都心から離れたとしても広い庭付きの家に引っ越したいと思っている人たちが多いはず。そんな家族に向けて東京都奥多摩町が、15年間以上住み続ければ、土地付き住宅を無償で譲与する「若者定住応援住宅」の取り組みを進めている。

東京の奥座敷とも呼ばれ、水と緑に恵まれた同町だが、過疎化の進展は深刻だ。現在の人口は約5300人で、1960年代から右肩下がりが続いている。人口減少率は都内で最も高く、高齢化比率が48%を超え、約2人に1人が65歳以上なのだ。

「現行の長期総合計画に奥多摩創造プロジェクト事業を盛り込み、最優先課題として若い世代の定住化の促進と少子化の歯止めを積極的に推進してきました。持ち主からの寄付を受けて町が所有する空き家を提供していく若者定住応援住宅もその一環として位置付けられています」

こう話すのは若者定住化対策室の新島和貴室長。2016年4月の新部署発足を機に、この問題に正面から向き合っている。

町ではJR青梅線の終点である奥多摩から白丸、鳩ノ巣、古里、川井までの5駅の周辺を「若者定住促進ゾーン」に指定。都内などから移住しても、都心まで片道2時間強での通勤が可能になるように配慮した。

応募できるのは、40歳以下の夫婦または50歳以下で中学生以下の子どもがいる世帯など。申込者のなかから、年齢や家族構成を審査したうえ、面談も交えて選考する。いうまでもなく、未就学児が複数いる若い夫婦は有利だ。

使用料は15年間の土地と建物の固定資産税評価相当額の2分の1を月割りしたもので、毎月1万円程度になる。ただし、改修費用として最大200万円が助成され、15年たつと定住祝い金50万円の支給とともに土地と建物を譲与される。その結果、実質的に無償で住むことができる。

第1号は例外的に、15年12月に町が町制施行60周年事業として実施した「出会いの場」をきっかけに結婚したカップルに、古里駅近くの民家が贈呈された。16年度は10月5日から11月15日までの受付期間を設定し、小丹波と梅沢にある2棟で募集した。

「37家族から仮申し込みがあり、現地での説明会を経て、19組が本申し込みをされました。都内と近県、遠くは沖縄県の人もいました」と新島室長はいい、このうち10人家族と4人家族への譲与が12月5日に決定した。

無償という魅力もさることながら、申込者が一様に評価するのが、新島室長が「日本一」を自負する、同町独自の子育て支援の充実度なのだ。保育園は待機児童ゼロで、1子目から保育料、医療費は全額助成。4歳の子を筆頭に2歳間隔で3人の子どもがいて、町単独の支援策すべてを活用すると、支援金額は合計で702万9600円にもなる。

「事業が根付いていけば、地域の活性化につながる。また、現在は2つの小学校と1つの中学校で児童生徒数は200人強ですが、転校生が入ることで、いい意味での刺激になればと考えています」と新島室長は語る。

現在、奥多摩町内には450軒もの空き家がある。当面は、このうち2割を若者定住応援住宅などで活用していく。これからも掘り出しモノの物件が出てくる可能性が高く、関心のある人はウオッチしてほしい。

(岡村繁雄=文)

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