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「誰からガスを買うか」選べる時代が到来

プレジデントオンライン / 2017年5月21日 11時15分

今年4月1日から「ガス自由化」がスタート。消費者は従来、発電から送電、小売りまでを手掛ける、決まったガス会社としか契約を結ぶことができなかった。しかし、今回の自由化によって、新規事業者もガスを小売りできるように。消費者は「誰からガスを買うか」を選べる時代になったのだ。

ガス自由化に先んじて、2016年4月からは「電力自由化」も始まっている。以前は決まった電力会社としか契約できなかったが、自由化で電力小売りへの参入企業が急増。価格競争が起こり、契約相手次第で電気代を安くできる状況になっている。ちなみに、17年2月までに成立した電力会社の切り替え件数は、約311万200件(※電力広域的運営推進機関調べ)。全国の家庭の約5%が切り替えたことになる。

電力小売りに新規参入した企業は、ガス会社や通信会社など多種多様。誤解されがちだが、自由化後も基本的に発電や送電は既存の電力会社が手掛ける。小売業者は電力の販売窓口になるだけなので、発電所などを保有していない企業でも参入が可能だ。

このような構造だからこそ、契約する電力小売会社を変えても、停電しやすくなるような恐れはない。大掛かりな工事も高いコストも必要なく、申し込みは簡単だ。

これらの点は、ガス自由化についても同様のことがいえる。まず、依然としてガスを供給するのは既存ガス会社なので、契約相手(ガスの小売業者)を切り替えても、ガス導管を新たに敷くことはなく、ガスの品質も変わらない。切り替えコストもかさまない。それでいて、価格競争が起こればガス料金は下がる。

すでに、一部地域でガスの価格競争は始まっている。大阪ガスが管轄する近畿圏では、関西電力がガス小売りに参入し、値下げ競争が勃発。

例えば、1カ月33立方メートルのガスを利用する場合、大阪ガスだと月額利用料は5279円だが、関電ガスに切り替えると、17年4月時点で最もお得な「なっトクプランeo割(早期契約割引)」(※18年1月末まで申し込み可。割引される期間は19年4月分までの予定)を利用することで、4562円まで引き下げられる。この例だと月々数百円単位の割引だが、長い目で見れば大幅な固定費削減になることはたしかだ。

その他エリアの動向を見ると、中部3県は従来東邦ガスの管轄だが、今後は中部電力が競合相手に。関東でも東京電力が参入予定で、値下げ競争も予想されるが、本格始動が今年7月にずれ込んだことから、先行きは不透明だ。

このように、ガス小売りの新規事業者は電力会社が主体。まだ電力会社のほうも切り替えていない人の中には、ガス自由化を待って、電力・ガスのセットプランでそれぞれの料金を引き下げることを検討している人もいるだろう。

その場合、電力会社とガス会社、どちらのセットプランが安くなるか比較検討を。各社の電気・ガス代を比較できるサイト「エネチェンジ」(https://enechange.jp)が便利だ。

なお、ガス自由化後に何もしなければ、既存のガス会社との契約が続いていくだけなので、急に供給が止まることは絶対にない。電力自由化の際には「すべての方が4月までに契約先を変更する必要がある」という虚偽の情報で勧誘されるケースも頻発したようなので、家族で情報共有し、注意しておきたい。

(社会保険労務士 井戸 美枝 構成=元山夏香)

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