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在宅勤務でコミュニケーションに支障は?

プレジデントオンライン / 2017年6月9日 9時15分

2016年9月16日、政府は「働き方改革実現会議」を設置した。最大の焦点のひとつが「長時間労働の是正」であり、そのカギのひとつが在宅勤務の推進だ。制度導入で私たちの仕事は、暮らしは、どう変わるのか?

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Q. 在宅勤務だと職場でのコミュニケーションに支障はない?

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■「むしろ会話が増えた」

「正直、いてほしいときというのはあるんです」

そう話すのは三菱東京UFJ銀行人事部企画グループ次長の佐伯哲哉氏。

「在宅勤務をしている行員は電話を取らないから集中できますが、その行員宛ての電話は別の行員が取っているのです。突発的な事態が発生した際には、周囲のサポートが必要。そのためには事前にお互いの業務を理解し、何かあったときに適切な対応ができなければいけません」

そのため、「上司は部下の仕事に、より食い込むようになった」(佐伯氏)。もちろん、これまでも職場にコミュニケーションがなかったわけではない。しかし、特にトラブルもなく、安定しているときほど、常に目を配ろうとする意識はおろそかになりがちだ。佐伯氏は「在宅勤務制度を導入したことで、むしろ、これまでの自分たちのコミュニケーションは不足していたのではないか、ということに気がつきました」と話す。

リクルートホールディングス働き方変革推進室室長の林宏昌氏は、従来のコミュニケーションに異を唱える。

「これまでは大部屋に一堂に会して、ワイガヤで話し合うことがよしとされてきました。そこで何かが決められることも多かった。でも、むしろ会話を聞き逃した人にとっては、不公平なんじゃないか」

コミュニケーションを円滑にするためには、「オフィスにいてもいなくても、必要な情報には平等にアクセスできなければいけません」と林氏は続ける。そのために進めているのが、情報のデジタル化だ。同社では社内連絡の際、会話やメールではなく、みなで見ることができるチャットツールを使うことが増えている。

「向かいに座っていても、これはみんなでシェアしたほうがいいなと思ったら、あえてチャット上で会話します。世の中の情報はおよそグーグルで検索できますが、社内の情報も、個人のPCに入っているものも含め、みなが検索できるようにしておくことが大事です」

自身も積極的に制度を活用する林氏の目下の課題は、一部の決裁にまだ紙の書類を使ったワークフローが残っていること。

「たまにですが、ハンコを押すためだけに出社することがあるんです」と苦笑する。

■「やり取りを見直すきっかけに」

日産自動車のグローバルマーケティングイニシアティブ部で課長を務める曽山純平氏も、「在宅勤務はコミュニケーションを見直すきっかけになる」という。

グローバルマーケティングイニシアティブ部課長曽山純平氏ダ(左)とイバーシティディベロップメントオフィス室長小林千恵氏(右)。

同社では、在宅勤務を行う際、前日までに当日のスケジュールを上司に報告する。例えば、そこで上司が作業時間を30分と見積もったタスクを部下に任せたとしよう。一方、部下はそのタスクを1時間かかると見積もった。しかし、結果的に、部下はそのタスクに2時間かかってしまった、とする。このような場合、上司は部下の業務遂行能力を再評価することができる。

「部下も、なぜこんなに時間がかかったか、上司と一緒に客観的に分析することができる。業務改善にも繋がります」(日産自動車 ダイバーシティディベロップメントオフィス室長 小林千恵氏)

導入開始は06年。利用者は4000人!
――日産自動車

「ダイバーシティディベロップメントオフィス」という、一般には聞き慣れない部署が同社に発足したのは2004年。直訳すれば「(従業員の)多様性の発展」。つまり、同社は働き方改革に10年以上前から取り組んでいることになる。

在宅勤務制度を導入したのは06年。当初は育児、介護目的に限定していたが、10年には生産工程以外の全社員が目的を問わず申請できるようになり、14年には月5回40時間までの在宅勤務が可能になった。現行の制度では、上司と部下で前日までにスケジュールと当日の成果物の確認をし、当日の業務終了時に成果物をチームに共有する。16年3月時点で、在宅勤務制度の利用者は約4000人。この中にはワーキングマザー800人ほどが含まれる。

同社グローバルマーケティングイニシアティブ部課長の曽山純平氏も、在宅勤務制度を活用する一人。夫婦共働きで3人の子どもを持つ曽山氏は、週に1~2回の在宅勤務をすることで、その日は妻が残業することができるという。「子どもと一緒に過ごしたい」という希望から在宅勤務を活用する曽山氏だが、「1日中スーツを着ていると疲れますよね。在宅ではラフな格好でいられるので、仕事がはかどります」と思わぬ効果を語る。

(朽木 誠一郎 撮影=花村謙太朗、大崎えりや)

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