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敏腕FPがメッタ切り"オフレコ家計簿診断"

プレジデントオンライン / 2017年6月23日 9時15分

プレジデント誌のお金特集ではおなじみの「家計簿診断」。今をときめく敏腕FPが登場してきめ細かにアドバイスするという人気企画だが、今回は少々趣を変えてみた。覆面を条件に、辛口として定評がある3人が終結。言いたい放題、4つの家計簿をメッタ切り!

「家計の医者」ともいわれるファイナンシャルプランナー(以下、FP)。家計改善の方法をアドバイスしてくれる心強い存在だ。しかし、お金の使い方には個々の家族特有の事情が絡んでいるため、相談者に面と向かって言いにくいことが少なくないという。実はその「言いにくいこと」の中に「秘薬」があるのではないか。そこで今回は、3人の敏腕FPに集まってもらい、日頃クライアントの前では言えないことを大いに語ってもらった。用意したのは、問題を抱える4家族の家計簿。容赦なく切り込む彼らの、愛に溢れたダメ出しを、とくとご覧いただこう。

──(プレジデント編集部)本日は、忌憚のないご意見をお願いします。まずはAさんの家計簿です。夫と妻、長男の3人家族。小遣いが高い印象です。

【戸田】夫の趣味がフィギュア集めか。しょっぱなから厄介なケースがきちゃったな(笑)。この月収で月8万弱は、使いすぎでしょ。

【加藤】本当に。趣味代に関しては、コメントしづらいんですよね。

【戸田】「唯一の楽しみなんです」って言われたらそれまでだから……。

【加藤】ここを削れば相当楽になるのに、なぜ気づかないのか(笑)。

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▼戸田倫太郎(仮名)
有名私立大学卒業後、大手メガバンクに就職。証券会社を経て8年前にFPとして独立。趣味に費やすコストまで徹底的に聞き取り調査し、無駄遣いの原因を探り当てるプロ。そのねちっこさは業界でも有名。41歳。
 
▼野田清子(仮名)
元保険外交員で保険のプロ。よくクライアントには保険料金の見直しを持ちかけるが、保険会社との癒着はしない主義。3人の子どもがいるママFPでもある。子育て出費に対しても現実的なアドバイスを送る。45歳。
 
▼加藤綾菜(仮名)
都内私立女子大卒業後、税理士事務所に勤務。自営業者のクライアントを多く持つ。会社経営の10歳年上の夫と2年前に離婚したバツイチFP。自身の経験を生かした、DINKSへのアドバイスに定評がある。38歳。
 

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■趣味と家族の将来、どっちが大事?

【野田】そういえば以前「趣味が気球」っていうクライアントがいました。多い月は15万円も使っちゃってて。「もう少し減らせませんか」って何度も言ったんですが、結局ダメでしたね。

【加藤】特に中年男性に多いですが、心のよりどころ的な趣味は、他人がどうこう言っても聞く耳を持ってもらえない。ほんと、つらいですよ。

【野田】私が見てきたクライアントの傾向では、幼少期に親から厳しく言われて勉強ばかりしてきた人は、大人になってからコレクション系の趣味にハマりがちなんですよね。

【戸田】わかるわかる! 抑圧から解放されて好きなことに走る。

【加藤】通信費もけっこう高いですね。むむ、これも夫のスマホゲーム代か。

【野田】スマホのゲームは気づかないうちに課金されて、カードで引き落とされるパターンが大半。お金を使っているという感覚が薄れちゃうんですよね。

【加藤】奥さんは節約がんばっているみたいなのに。

【野田】これじゃ、台なしですね。

【加藤】夫が金食い虫。

【戸田】車を売ってカーシェアリングを利用しているのは正解だと思いますが。

【野田】それで安心してしまったのかな。趣味をやめろとまでは言いませんが、収入に見合った範囲内に抑えないと。趣味と家族の将来、どっちが大事かよく考えてほしい。

──それでは、Bさんの家計簿に移ります。共働きのDINKSで、収入は多いのにマイナス収支です。

【加藤】典型的な「DINKSの落とし穴」にハマっていますね。とりあえず、使いすぎ(笑)。

【戸田】そうですね。食費が15万円か。いくら仕事が忙しくて収入があるからといって、ウイークデーはほぼ外食、週末はデパ地下のお惣菜って……。

【野田】外食を続けると健康にもよくないですよ。数年後には、医療費もかかる家計になる恐れがありますね。すでに、コレステロール値なんかはやばいんじゃないでしょうか。

【加藤】ほかの費目も、全体的に膨張していますね。生活レベルって、1回上げてしまうと下げるのは至難の業。いまは両方働いているから、マイナス収支でも「苦しい」という実感はないかもしれませんが、もしどちらかがリストラなどで失業したりしたら、相当大変な思いをしますよ!

【戸田】そのとおり。DINKS家庭は教育費がかからないから「お金を貯めなきゃ」という意識が薄れがちですね。

【加藤】でも、老後は自分で自分たちの面倒を見なきゃいけないんですよ!

■夫婦別財布にしていいことなし!

【野田】もうひとつ気になるのが、夫婦がお互いの小遣いを何に使っているかまったく把握していないことです。

【戸田】最近増えてきましたよね、この「夫婦別財布」。

【加藤】夫婦で相談に来て、そこで初めてお互いの無駄遣いを知って、けんかが始まったり(笑)。

【戸田】あるある。特に共働きだと、「自分で稼いだ金は、何に使おうと勝手でしょ」と言う人が多いから。

【加藤】逐一報告し合うのは窮屈でしょうが、ある程度は知っておきたい。

【戸田】奥さんは最近投資信託を始めたみたいですが、貯金のうちいくら資産運用にまわすかも、2人できちんと話し合っておかないと。

【野田】投資信託ならまだ安全ですが、株とかFXとか、大きな損失を出す場合もありますからね。

【加藤】はい。相手が借金を抱えているのを知らなかった、というケースは案外と多いんです。

──引き続き、Cさんの家計簿です。夫は商社勤務で部長職。妻は専業主婦で、2人の子どもがいます。

【戸田】やけに妻の浪費が目立ちますね。美容代や銀座ランチ……。

【加藤】この家は、奥さんがかなり家計を握っているようですね。

【戸田】夫の月収がそれなりにあるから、節約する気はないみたいで……。

【野田】夫は妻を野放し状態(笑)。

【加藤】妻は10歳年下かあ~。若い妻にきれいでいてほしいのはわかるけど、甘やかしすぎなんじゃないですかね。

【野田】奥さんにキツく言わないと。このままだと、老後破産しますよ。

【戸田】こういうダメな旦那さん、いるんですよね。

■家計も妻もほったらかしはNG

【野田】会社では部下に恐れられている冷酷な上司なのに、家に帰ったら妻の尻に敷かれている。この方がそうなのかはわかりませんが。

【加藤】でも結局貯蓄がなくて将来困るのは、奥さんと子どもですからね。

【戸田】ほんとに。あと、家具や日用品、自分の洋服に至るまで、買い物は妻に任せっきりですね。忙しいのはわかりますが、旦那さん、もうちょっと奥さんや家のことに関心を持ったほうが。

【加藤】女性は、ほうっておかれるのは嫌ですから。

【野田】ほかの男にいっちゃったり、なんてことも。

【加藤】美容代が、ほかの男性を喜ばせる資金になってしまった、なんて(笑)。

【戸田】奥さんの浪費の話に戻りますが(笑)、そんなに使いたいんだったら、自分で稼いでもらうのも手ですよね。下の子が小学校に入ったら、何か仕事するように促すとか。

【野田】私のクライアントに、妻を説得して、看護師の免許を取ってもらったという方がいました。40代過ぎて。どこも看護師不足ですから、資格を取ってしまえば就職に困ることはなくて、大きな助けになったと言っていました。

【戸田】賢い! 家計改善というと出費を削ることに頭がいきがちですが、収入を増やすほうも検討したいですね。

──最後に、金融企業勤務のDさんの家計簿です。小学2年生の子どもに、4つの習い事をさせています。

【野田】子どもへの出費って、めちゃくちゃ指摘しづらいところなんですよ。将来の投資って言われちゃうと、やめろとは言えない。

【加藤】「もしかして才能があるかも」って、親は真剣なんです。

【戸田】この家庭は、小2でピアノ、水泳、英会話、空手……。ハッキリ言って、そんなにたくさん習い事させるのは無駄です。

【加藤】言い切りますね(笑)。

【戸田】いやいや、ほんとに。お金に相当余裕があるならいいんですがね。まあ、お金があっても、子どものために果たしていいことなのかは疑問ですが。

【野田】毎日習い事を入れられて、遊ぶ時間がない子どももいますモンね。

【戸田】期待する気持ちはわかりますが、冷静になって考えてほしい。そもそも、子どもに複数の選択肢を与えようとするのは、日本特有のことみたいです。例えばドイツでは、幼少期に親が、「あなたは頭が良くないからスポーツをやりなさい」とか「運動神経がないからあきらめて」とはっきり言うとか。

【加藤】それはそれで、酷ですね。

【野田】もうひとつ、生命保険は見直さないといけません。6万5000円は払いすぎ。

【戸田】いるんですよね。子どもが生まれたときに入ったまま見直さない人。

【加藤】医療保険は特約をいっぱいつけているみたいだけど、実際にどんな保障内容かちゃんと把握してるのかな。

【戸田】保険はシンプルが一番だから。

【野田】終身保険は、やめちゃうのはもったいないから「払い済み」にするとかね。補償額は減りますが、毎月こんなに払わなくて済みますよね。

──まだまだ話し足りないと思いますが、今日はこの辺で終了したいと思います。最後に、感想をお願いします。

【戸田】強烈でしたね。

【野田】典型的な、ダメ家計簿でしたね。

【戸田】問題点は明らか。あとは、本人たちがどれだけ自覚して行動に移すか。

■親のお金は遠慮せず使うべし

【野田】それにしても、よく思うのが、みなさん、なんであんなに親にお金をもらったり借りたりするのを嫌がるんでしょうね。あるものは利用してほしいんですが。

【加藤】そうそう。見栄とか恥とか、この際一切捨てて。

【戸田】こんなクライアントがいました。郊外に土地を買って、念願の一軒家を建てたい。でも、どうしてもお金が足りない。いろいろ話を聞いていくうち、親は結構老後資金を貯め込んでいて、余裕があることがわかって。

【野田】それは加勢してもらうしかない。

【戸田】でも、親に面と向かってお金のことを言うのは嫌だと躊躇するので、「まずは、家の間取りや造りなどを親に相談して、一緒に決めてほしいと持ちかけましょう」とアドバイスしました。そうすれば、親にとって息子夫婦の家を建てることが「自分のこと」になるので、お金を出してもらいやすい。見事、家を建てることができました。

【加藤】結局、ダメな家計の家はジジババからお金を引き出せというオチですか(笑)。でもそれって、あながち間違いではないかもしれませんよね。

(編集者・ライター 鈴木 俊之 家計簿提供=ファイナンシャル・マネジメント 山本俊成)

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