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「うっかりミス」を繰り返さないノート術

プレジデントオンライン / 2017年10月16日 9時15分

■「うっかりミス」は事前に手を打てる

大型連休や年末年始などの帰省シーズンになると予約しにくくなる新幹線の切符。1カ月前から発売されることはわかっていても、まだいいだろうと思っているうちに指定席は満杯。結局、グリーン料金を支払う無駄が生じたり、長い距離を時間をかけて各駅停車の新幹線で移動する羽目に陥ったり――。

プライベートであれ、仕事であれ、そんな“些細な失敗”や“うっかりミス”を繰り返すたび、「事前に何か手を打てたはず」「やっておくべきだった」と後悔の念が募ります。

そうした残念な思いをできるだけなくすための有効な対策が、やっておくべきことをしっかりノートに記して、それを行動につなげる方法です。

やり方はいたって簡単。用意するのは、携帯しやすいサイズのノート。そこに日付を書き、やるべきことをピックアップしてリスト化するだけです。

仕事が立て込んでいないときは、週に1回、たとえば月曜日の朝の仕事前などにまとめてリスト化し、その後、逐次書き加えていけばいいでしょう。やるべきことが多くなると、リスト化することが毎朝の日課となります。

「たったそれだけのことか」と思うかもしれません。しかし、この作業を行うことによって、頭の中が整理されますし、確実にうっかりミスを減らすことができるのです。個人ベースで行える最良のリスク管理といえるでしょう。

実行し終えたものは、赤系のペンで線を引いて消していきます。このときの達成感はなんともいえぬほど、気持ちのいいものです。やり残したものは、次にリストを作る際、改めて記入します。やり残し漏れを防ぐためです。

じつは私は、かつてノートやメモ帳を持たないタイプでした。字が汚いので二度と見たくないという感覚があり、役目をなさなかったからです。そこで好きな色で書けば、自分の汚い字でも「見てもいい」というモチベーションになると思い、万年筆のインクの色だけはこだわっています。

文字を書くのはターコイズブルー、タスク終了の印として線を引くのはマンダリンオレンジ。ちなみに、ブルーは結婚10周年の記念に購入した万年筆に入れており、オレンジは父からもらった万年筆に入れています。その万年筆を入れて持ち歩くペンケースは、旅先で娘が選んでくれたもの。ここまで愛しい文具に囲まれていれば、さすがにノート嫌いの私でも、文字を書くのが楽しくなります。

■成功への最短距離を着実に歩む道

個人ベースではなく、グループやプロジェクト単位でミスや失敗を防ぐには、リスク回避のための情報整理が必要です。ただし、そのためにはリスク管理の必要性をみんなで共有することが何より大事。「リスク管理なんて知ってるよ」という人が多い組織ほど、全く対応ができていないものです。

まず、リスクやトラブルを考えるときには「課題」と「懸案事項」に振り分けます。課題は、すでに発生しているトラブル。対処方法としては、とにかく解決に全力を尽くすのみです。

一方、懸案事項は、まだ問題化はしていないけど「気になる」事象のこと。つまり、トラブルを未然に防ぐには、これをどのように整理し、対処するかが大きなポイントになるわけです。

たとえば「国会が解散するかもしれない」という情報が入ったとします。そうなると「役所の申請が滞る」ことが予想されます。しかし単に、そのことをメモしておいても意味がありません。ならば「先回りして申請しておく」というアクションを決め、実行してはじめてリスクを回避できるわけです。

巷間、散見されるのは、顕在化してしまった「課題」管理に追われ、それをリスク管理と混同してしまっているケースです。あくまで未然に防ぐのだという意識が重要です。

■可能性とインパクトのマトリックスで考える

やり方としては、「気になる」事象が発生したときに、会議で対処法を振り分け、誰が、何を、いつまでにすべきかを決めます。また、対処法の振り分けについては、「軽減」「転嫁」「回避」「放置」の4つに分類します。

たとえば会議で、「取引先からの納品が遅れそうだ」という報告があったらどうするでしょうか。

まずは、「気になる」度合いについて、可能性とインパクトのマトリックスで考えます。可能性が高くて、インパクトも大きいと判断されるものは、当然喫緊に対応しなければならない、最優先事項となります。

もし納品が数日遅れても問題が少ないなら、取引先にその範囲内で納品できるかどうかを確認し、それ以上は遅れないよう依頼する判断を下すかもしれません。これが「軽減」です。あらかじめ手を打って、リスクを減らすわけです。納期を絶対に動かしたくなければ、ほかの業者に一部を依頼してピンチを切り抜ける方法もあります。これが「転嫁」。だれかに手助けしてもらえば解決する案件です。

また、これから取引が始まるかもしれないという相手が不祥事に見舞われたら、契約せずに「回避」することができます。さらに、気にはなるけどトラブルが起こる可能性やインパクトはきわめて低いと判断できるものは、様子見をするため「放置」します。

こうしたリスク管理や「うっかりミス」の防止は、成功への最短距離を着実に歩む方法だと考えています。

(日本IBM部長、 Eight Arrows代表取締役 河野 英太郎 構成=小澤啓司 撮影=谷本 夏)

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