秒殺された「野田聖子、小池百合子新党」
プレジデントオンライン / 2017年9月21日 9時15分
■ドラマチックな再編構想
安倍政権を追撃する態勢を整えるはずだった民進党は前原誠司氏が新代表に収まったまではよかったが、幹事長に内定した山尾志桜里氏の不倫疑惑で、国民に信頼を得る最後のチャンスを失ってしまったかのようだ。これで安倍政権は再び安定感を取り戻し、9月中に衆院解散、10月に総選挙へ打って出るという見方が強まっている。
だが、ことしの春から夏にかけて非自民サイドでドラマチックな再編構想があったことは、あまり知られていない。小池百合子都知事と野田聖子氏がタッグを組んで新党を結成するという構想。その絵を描いたのが細川護熙元首相だ。この構想は残念ながら頓挫してしまったが、「安倍1強」に違和感を持ち始めた国民にとって、「小池、野田新党」は相応の支持を集めたのではないだろうか。
■1人の殿と2人の姫
8月13日、長野県・軽井沢のレストランに、不思議な顔触れがそろった。細川氏。野田氏の妹の島桜子氏。民進党の木内孝胤衆院議員(この5日後に離党届提出)、そして田中角栄元首相の孫、真紀子元外相の長男である雄一郎氏。
彼らの関連性を見いだすのは難しいが、関係者の話を総合すると、この会合は細川氏が野党再編に向けてセットしたものだった。
細川氏と小池氏は日本新党の発足時からの師弟関係だ。師弟関係というよりは、90年代前半には「殿」と「姫」の関係といわれることが多かった。小池氏が自民党に転身したことで、やや疎遠になったが、今も連携は取り合う。特に昨年、小池氏が都知事になって以来、さかんにアドバイスを送る。細川氏は2014年、細川氏は老骨にむちを打って東京都知事選に出馬。舛添要一氏に敗れはしたが、東京都への思いは強い。今も「小池新党」にあたっては、国家理念を明らかにするようにと助言している。
細川氏は「小池新党」に期待するが、小池氏は2020年の東京五輪までは都知事を務めると見通している。小池氏は新党の対応は若狭勝衆院議員に委ねているが、細川氏は「党の顔が若狭氏では弱い」と考えている。で、ひそかに白羽の矢を立てたのが野田氏だった。
■細川氏と野田聖子氏の共通項
細川氏と野田聖子氏の共通項を分かる人は少ないと思うが2人は政治経験者では少数勢力である上智大OB、OG。同窓会活動などで親交がある。「小池新党」に野田氏を招き入れ「東京の小池」「国会の野田」という2人の「姫」を顔にしようとした。いかにも殿らしい発想だ。
小池氏と野田氏の関係について触れておきたい。小池氏は92年の参院選で日本新党から出馬して当選、翌93年に衆院選にくら替えして当選。野田氏は、同年の衆院選で初当選する。政治歴はほぼ同じ。どちらも、当時は珍しい若く美形の政治家だった。
小池氏が自民党に移り同じ政党となった後も、比較的良好な関係だった。15年の自民党総裁選で野田氏が出馬を目指した時も、小池氏は応援する考えを伝えていた。当時は衆院本会議の席が前後で、議事そっちのけで「女子トーク」している姿が目撃されている。小池氏は自民党史上初の女性総務会長、野田氏は2人目だ。
■野田氏の入閣でゲームオーバー
「国政の野田、都政の小池」のツートップが実現していたらインパクトは大きかっただろう。「大きかった」と過去形で書いたのは、この構想は残念ながら現実味を帯びる前に消えてしまった。8月3日、野田氏は安倍首相の求めに応じて総務相に就任。安倍内閣の一員となったところで、野田氏が自民党を離党して新党に加わるというシナリオはゲームオーバーになった。先ほど紹介した8月13日の会合も、野田氏が入閣した後だったので、新党を目指して布石を打つ会合だったはずが、細川氏にとっては「残念会」になってしまった。
政治に「たら、れば」は禁物だが、もし「小池・野田新党」ができていたら、民進党も合流するなど、ダイナミックな野党再編につながる可能性もあった。軽井沢会合に出席した「角栄の孫」らも加わるようなことにもなったかもしれない。
安倍首相が、細川氏の「策謀」をどこまで知っていたのかは分からない。ただ、危険の芽を摘んでおくために閣内に野田氏を取り込んだ初期消火対応は、見事というほかない。この結果、政治情勢は「安倍1強」の秋を迎えた。
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