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悩めるあなたを救う"グッド&ニュー"思考

プレジデントオンライン / 2017年10月18日 9時15分

『発達障がいの「子どもの気持ち」に寄り添う育て方』(西脇俊二著・日本実業出版社刊)

「育児疲れ」の状態にある母親は少なくありません。しかし、がんばりすぎると、心も体も疲れてしまいます。どうすればいいのか。発達障がいの専門家で、精神科医の西脇俊二氏は「ポジティブな言葉を使うことを心がけてほしい」といいます。西脇氏はその具体例として「グッド&ニュー」というゲームを提案しています。そのやり方をご紹介しましょう――。

※以下は、西脇俊二『発達障がいの「子どもの気持ち」に寄り添う育て方』(日本実業出版社)より一部を再編集したものです。

■ポジティブな思考は言葉から

毎日、お母さんは子育てに家事、仕事、人間関係など、家族のことを思って忙しく働いています。とはいえ、がんばりすぎていると心も体も疲れてくるので、ネガティブな思考が生まれやすくなります。

「子育ても家事も仕事も、しっかりこなして充実した毎日を過ごしたい」と思っていても、「なんだか気持ちがもやもやして、うまく切り替えられない」ということはありませんか?

もやもやした気持ちの中では、客観的な判断を下すことができなくなり、必要以上に自分を責め、「どうせ、私なんか……」とネガティブな言葉を自分にかけがちです。毎日のようにネガティブな言葉を自分にかけつづければ、自分が発した言葉に縛られて、モチベーションが低下するのは当然です。

結果、子どもや家族に対してもイライラが募り、思いもしない言葉をかけてしまうこともあるのではないでしょうか。

子どもは思っている以上に、お母さんの気持ちを感じています。お母さんがイライラしたり、元気がないと、子どもも安心して過ごすことができません。そのような状態だと、子どもは緊張から普段できることもできなくなり、余計にお母さんの気持ちをかき乱します。

視野が狭くなると、誰でも自分で自分を責めて、日常のいいことにも気づかずに、ネガティブな思考のループにはまりやすいです。

だからこそ、気持ちの切り替えは非常に大事です。言い換えれば、気持ちの切り替え次第でモチベーションは上がり、いかようにでも自分を幸せにすることはできます。

そのためには、まず普段何気なく使っている「言葉」から変えていきましょう。

■グッド&ニューをしてみよう

毎日をポジティブな思考で過ごすために、私がおすすめしたい方法は「グッド&ニュー」です。グッド&ニューとは、「よかったこと(グッド)」と「新しい出来事(ニュー)」を、周りと共有するゲームです。

ゲームの方法は簡単です。お母さん同士の集まりなどで、一人1分間、前日の朝起きてから夜寝るまでの間に起きた「よかったこと」や「新しい出来事」を発表するだけです。内容は日常の些細な出来事で構いません。

たとえば、次のようなことです。

「今日は子どもの忘れ物がなかった」
「買い物へ行ったら、お店の人がおまけしてくれた」
「子どもの友達が遊びに来た」

発表者の発言が終わったら、発表者は「うれしい」という気持ちを込めて、参加者は「おめでとう」という気持ちを込めて、拍手をします。

このゲームを、たとえば夕食後などと時間を決めて、家族の習慣にすると、ポジティブなコミュニケーションが取れるようになるので、楽しい気持ちを共有することができます。

しかも、習慣化するとモチベーションが上がるので、日常の中でよかったことや新しい出来事を、自然と探すようになります。また、うれしいことに出会うたび、「幸せは案外、身近に転がっているものなんだな」とも気づけるようになります。

実際、私が勤務していた秩父学園でも、自閉症の子どもをもつお母さん方と週1回、グッド&ニューを行っていました。出会った当初のお母さん方は、子どもに関する悩みごとで頭がいっぱいで、いつも暗い顔をしていました。

それがグッド&ニューの回数を重ねるごとに、「お釣りが777円だった!」「宝くじで1万円当たった!」などと、お母さん方からラッキーな話題を多く聞くようになりました。結果、グッド&ニューでお母さん方の顔には笑顔が戻り、雰囲気や会話も明るくなりました。

「言葉が変わると、行動も変わる」

この言葉通り、グッド&ニューで、ものごとの見え方が変わると、モチベーションは上がり、よりうれしいことが増えていきます。

是非、家族でグッド&ニューを試して、ポジティブな言葉の力を感じてみてください。

■自分でできるリラックス方法

「子育てや家事、仕事に追われて、夜にちゃんと寝ていても、翌朝、疲れがまったく取れない」そういって、疲れた表情をしていると、子どもは「お母さん、怒っているのかな?」と緊張して思わぬミスを起こすことがあります。

思い当たる方は、日ごろから「笑顔」を忘れないようにしてください。笑顔は、自律神経の副交感神経を優位にして免疫力を上げ、リラックスした状態を作ります。

つまり笑顔が絶えない人は、脳から「幸せっ!」という信号が送られているので、ポジティブな思考でものごとに取り組みやすいです。

そこで、疲れが取れにくい方のために、就寝時の簡単なリラクゼーション方法を、次にご紹介します。

(1)就寝時、ベッドの中で口角を上げる
(2)「ニコッ」と笑ってから眠りにつく

この2つの手順を踏むだけで、脳はリラックスして、翌朝、スッキリと目覚めることができます。お金も時間もかからない簡単な方法なので、是非、試してみてください。

ストレスが溜まると、体に力が入りやすく、呼吸も浅くなりがちです。このような状態のとき、体中の筋肉は緊張しているので、血行が滞り、疲れが溜まりやすくなります。そこで、心身の疲れを取るためにも、「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」で、体を緩めて心をリラックスしていきましょう。

漸進的筋弛緩法の簡易的なやり方は、次の通りです。

(1)疲れている体の一部分の筋肉を、20秒間、ぎゅっと力を入れて緊張させる
(2)20秒後、力を入れた筋肉を緩める

たとえば、肩がこっていると感じたときは、両肩を引き上げて20秒間ぎゅっと力を入れます。そして、20秒後、両肩の力を抜いて肩を落とし、筋肉を緩めます。漸進的筋弛緩法は、場所を選ばずに、どこでもできるので、急に疲れや不安、緊張を感じたときに行ってください。

『発達障がいの「子どもの気持ち」に寄り添う育て方』162ページより

簡単なリラクゼーション法ではありますが、数秒で疲れが取れて、心身もリラックスできるので、おすすめの方法です。

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西脇俊二(にしわき・しゅんじ)
精神科医。ハタイクリニック院長。精神保健指定医。金沢大学薬学部非常勤講師。弘前大学医学部卒業。国立国際医療センター精神科勤務、国立秩父学園医務課医長などを経て、2009年から東京都目黒区のハタイクリニック院長に就任。テレビドラマの医事監修を担当。専門分野は、精神医学、発達障がい全般のほか、がん、代替医療。著書に『アスペルガー症候群の「そうだったんだ!」が分かる本』『アスペルガー症候群 家族の上手な暮らし方入門』(宝島社)などがある。

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(ハタイクリニック院長 西脇 俊二)

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