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なぜメラニアはトランプと離婚しないのか

プレジデントオンライン / 2017年12月11日 9時15分

現在の「ファーストレディ」であるトランプ・メラニア氏。2017年9月、キャンプデービッドにて。(写真=AP/アフロ)

世界最高の権力者である米国大統領。その夫人は絶大な権力をもつ「王妃」です。重責がともなう立場ですが、トランプ大統領の夫人・メラニア氏が「ファーストレディなんかには絶対なりたくなかった」と考えていると報じられ、話題を集めています。それでは、なぜメラニア氏は離婚しないのか。在米ジャーナリストの高濱賛氏が考察します――。

■「ファーストレディ」はいわば「王妃」の称号

日本でイバンカ・トランプさんが大もてだったのは、その容姿もさることながら「ファッション・ブランドをデザインする女性起業家」で、しかも「ファーストレディ」のように振る舞ったからでしょう。「ファーストレディ」は言ってみれば、「王妃」の称号なんですから。

「ファーストレディ」に正式な定義や役割といったものはありません。言ってみれば、大統領の補佐役として外国公賓接待や大統領の外遊に同行して友好親善促進役を務める「私人」です。ところが近年、社会福祉、女性地位向上といった活動を率先して行う「ファーストレディ」が増えています。

古くはエレノア・ルーズベルト夫人のように「世界人権宣言」の起草者と知られる「賢人」もいます。またジョン・F・ケネディ大統領夫人のジャクリンさんのように、流行の最先端をいくファッションを身にまとって注目された社交界の花もいました。

■ヌードをさらけ出した史上初の「裸の王妃」

そして今、新しいファーストレディのメラニア夫人(47)は、外国生まれ、外国育ちにモデル出身ということもあって異色です。

大統領選中には若かりし頃(20代)のヌード写真が暴露され、米国民はあぜんとしました。大統領候補夫人の肢体がさらされたのはメラニアさんが初めてです。

ところが、次々と醜聞を撃破してきたドナルド・トランプ氏は少しも悪びれるところはなし。あれよ、あれよというまに大統領になってしまいました。そしてメラニアさんもファーストレディに。

■億万長者に見初められた「シンデレラ・ストーリー」

そのメラニア夫人について「Vanity Fair」という月刊誌(日本でいうと「文藝春秋」のような雑誌です)が取り上げました。

「Vanity Fair」のオンライン版での見出し。

これまでにもメラニアさんについての記事はかなり出ています。しかし英語が母国語ではないこともあってか、メラニアさんの「肉声」といってもどこか、奥歯にものが挟まったような感じで、いったいどんな女性なのか、何を考えているのか、はっきりしませんでした。

スロベニア(旧ユーゴスラビアの一部)の寒村で生まれ、16歳までそこで過ごしました。18歳のときにモデルになろうと、イタリア・ミラノに行き、その後パリ、ニューヨークの活動の場を求めました。トランプ氏に出会ったのは28歳の時でした。年の差は24歳。義理の娘イバンカさんとは11歳違い。母子というよりも姉妹のようなものです。

ですから、熱愛の末、妻子あるトランプ氏を「略奪」し、「結婚」したなどとは思えません。万一のことがあれば、遺産の半分はメラニアさんに転がり込んできます。これから10年後、20年後にメラニア未亡人は何をしているのでしょう。別にファーストレディなんかにならなくてもよかったわけです。

遺産はほしいが、ファーストレディにはなりたくなかった、というのであれば、さっさと離婚するという選択肢もあるんじゃないか。なぜ愛のない結婚生活を続けているのでしょうか。

理由のひとつは一粒種のバロン君(11)への愛情でしょう。周りを「敵」に囲まれている中で唯一血のつながった息子です。将来、他の兄弟姉妹に伍(ご)して「トランプ帝国」の総帥になるかもしれません。そのためにも正妻の座は守りたいのかもしれません。

いずれにせよ、「外国人」のメラニアさんの深層心理は誰にもわかりません。彼女が何を考えているのか。いつの日か出るかもしれない回顧録を待つほかありません。

■「私は大統領夫人には似つかわしくない」

それだけにメラニアさんの深層心理をえぐり出したような「Vanity Fair」の記事は注目されました。夫人の知人の何人かから得た情報を基にメラニアさんの本心を暴いたからです。

記事の趣旨は、一言でいうと、こうです。

‘She didn’t want this’: ‘Unsuited, unprepared’ Melania Trump still ambivalent about being first lady.(彼女はそれを望んでいなかった。似つかわしくないし、準備もできていないし。メラニア・トランプは今でもファーストレディであることに相反する感情を抱いている)

取材に応じた知人の一人、パロロ・ザムポリというモデル斡旋代理人(実はメラニア夫人をトランプ氏に紹介した人物です)などはこう述べています。

「彼女は大統領夫人なんかには絶対なりたくないと思っていた。夫が大統領候補になったことでプライベートなことが暴露されるのも嫌がった」

■政権発足100日目にやっとホワイトハウスへ

メラニアさんが「ファーストレディ」にはなりたくなかったことを示す「傍証」はこれまでにもありました。

当初は、夫が移り住んだホワイトハウスには住まず、マンハッタンのトランプタワーで別居生活を続けました。ニューヨーク小学校に通う息子のバロン君に転校させたくないからだ、というのが理由とされていました。

ホワイトハウスに引っ越したのはトランプ政権発足から100日目。それまでは「ファーストレディ」としての仕事は、義理の娘の「ファーストドーター」のイバンカさんにまかせっきりでした。「仮面夫婦」説から「インサイド・ベルトウェイ(※)恐怖症」説までささやかれました。

※首都ワシントンの環状線内の政官界やマスメディアが織りなすワシントン社交界や文化を指す。

その点では、「Vanity Fair」の記事は、こうした臆測をずばり「立証」したものでした。

■イバンカの実母が「本当のファーストレディは私」と発言

これにかみついたのがドナルド・トランプ氏の最初の奥さん、イバナ・トランプさん(68)です。テレビ・インタビューでこう爆弾発言をしたんです。

「そりゃそうよね。本当のファーストレディは私なんですから。私はドナルドの最初の妻。3人の子供を立派に育てのも私。メラニアは『アメリカのファーストレディ』だけど、『トランプのファーストレディ』は私なんですから」「それとメラニアもいろいろ問題を抱えているようだけど、それを乗り越えていかなくちゃ。弱音を吐いてはダメよ」

イバナさんは、今を時めく大統領の長女、イバンカさん、それにロシアゲート疑惑の捜査対象になっている長男のドナルド・ジュニア、次男エリックの実母です。

イバナ・トランプの著書『Raising Trump』。発売は2017年10月10日。

イバナさんとメラニアさんとが、ことあるごとに角突き合っているわけではないのですが、それでも確執は続いているようです。イバナさんにとってはメラニアさんは21歳も若いチャーミングな美熟女。メラニアさんにとっては、イバナさんは競争心を燃やす若い才女イバンカさんの実母です。

実はイバナさんは10月に本を出しました。タイトルは「Raising Trump」(トランプ家の子育て)。イバンカさんはじめ2人の息子を立派に育て上げた母親の日誌です。行間には、トランプ大統領を支える息子や娘は自分の子供であり、ここまで育てたのは私だという自負心がにじみ出ています。

超側近だったマイケル・フリン氏(前国家安全保障担当補佐官)が司法省との司法取引に応じて「完落ち」。ハリウッド大物プロデューサーに対するセクハラ告発に端を発したセクハラ告発の波は、大統領自身にも押し寄せて再燃しそうな成り行きになっています。そこにもってきて家庭内での新旧妻同士のさや当てが急浮上。トランプ大統領は慌ただしい師走を迎えています。

(在米ジャーナリスト 高濱 賛 写真=AP/アフロ)

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