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私が音喜多駿氏を「三枚舌」と断じる理由

プレジデントオンライン / 2017年12月26日 15時15分

東京都議の音喜多氏(時事通信フォト=写真)

「都民ファーストの会」の公認候補として当選するも、小池百合子都知事への批判を強める音喜多駿・東京都議。文筆家の古谷経衡氏は、音喜多都議を「最も嫌いな政治家」と断じ、「三枚舌」と名指しする。その理由とは――。

■離党は衆院選挙の公示日直前だった

これほどまでにテレビメディアに露出する地方議員も珍しい。東京都議の音喜多である。音喜多は当選2回。1度目は北区選出のみんなの党公認として。2度目は同区から都民ファーストの会公認候補として。そして現在では都民ファーストから遁走した「脱藩者」として小池百合子批判の急先鋒とみなされている。

1983年生まれの音喜多は、私と同世代。20代後半で都議会議員になるのはやや早熟だが、地方議会で30代前半での2選は決して珍しい部類ではない。よって都民ファーストと小池がいなければ、テレビに露出する現在の音喜多はいない。

音喜多の都民ファーストからの離党は先の衆院選挙の公示日直前。わざわざこの時期を選んだのは、単にテレビに出たいからではないかという私の邪推に、AbemaTVの番組で同席した彼は、満足な回答を用意できなかった。

音喜多は「当初想定していた小池と都民ファーストの会が違う方向に行ったから」と抗弁したが、歯切れはあまりにも悪い。都議選からわずか4カ月とたたず上田令子都議(江戸川区)と共に離党。話題に飢えていた公示日直前のテレビは、その時期に離党した音喜多に殺到した。BPOや「政治的公平性」を慮って公示中の報道合戦を控えがちなテレビメディアの近年の特性を計算した、見事な離党のタイミングだ。

■「自身のライバル」は小泉進次郎衆院議員

音喜多と前述の番組で同席した際、自身のライバルとして真っ先に小泉進次郎を挙げたことに私は閉口してしまった。腐っても元総理の息子で国会議員の進次郎と当選2回にすぎない都議の自分を同列にとらえるのは、自意識過剰、舞い上がりすぎだ。この一件からしても、音喜多の心中の願望にも似た露出欲、承認欲求を感じる。

■4カ月弱での離党は重大な裏切り行為

そもそも、先の都議会議員選挙でコバンザメのように小池にくっ付いて地元北区でトップ当選(約5万6000票)した音喜多への有権者の信託は、「都民ファーストの会」の音喜多への支持であって、音喜多と上田が都民ファーストの会を離党した直後に急造した「かがやけTokyo」の音喜多への支持ではない。

あれだけ小池を絶賛し、小池の虎の威を借りてトップ当選した音喜多が、その舌の根も乾かぬうちに同党を離党し小池と都民ファーストの会批判の急先鋒に回っている。なんでも小池批判の色が濃い保守系論壇誌にまで登場して「小池は二枚舌ならぬ三枚舌」と糾弾の度を強めているが、ちゃんちゃらおかしい。三枚舌は自身のことではないのか。小池のおかげでトップ当選したが、内部統制が激しく思うようメディア露出が果たせなくなったのが不服で、再度テレビでの承認を求めて離党したにすぎないだろう。

5万6000人からの信託の半分は「小池と都民ファーストの会」に向けられたものであり、当選から4カ月弱での離党は有権者への重大な裏切り行為だ。音喜多は「確かにそういった批判を承知している」と非を認めるが「確かに」ではなく「確実に」小池のお陰で当選した音喜多の態度急変は公約違反だ。党内野党の事例はいくらでもあるが、それでは地味すぎて露出欲を満たせず、離党を選択したのだろう。

■「ゆくゆくは総理を目指したい」

許されざる三枚舌は、音喜多が昨今のテレビ露出を奇貨として国政進出を視野に入れた野心を公言してはばからないことだ。前出の番組で私は音喜多を追及した。「都議会の2期目の任期はきちんと満了するのか」。音喜多は「(任期期間中に)国政で解散などがあればその限りではない」と任期まっとうすら明言を避けた。不誠実極まりない。

音喜多は「ゆくゆくは総理を目指したい」と世迷い事をいう。先の都議選中、音喜多は「任期途中でやめるかもしれませんが1票お願いします」といっただろうか。都議も小池も都民ファーストも、自身の野望への踏み台にすぎないのではないか。

音喜多の個人的野望などどうでもよい。5万人以上の北区民は「4年間東京のために働いてくれ」という条件で音喜多と「契約」したのであり、音喜多の立身出世のために1票を投じたのではない。それがわからないのなら議員辞職するべきだ。(文中敬称略)

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古谷経衡
文筆家
1982年、札幌市生まれ。特定非営利活動法人江東映像文化振興事業団理事長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部卒。
 

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(文筆家 古谷 経衡 写真=時事通信フォト)

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