一流ホテルマンが人の"膝の裏"を見るワケ

プレジデントオンライン / 2018年2月15日 9時15分

写真=iStock.com/kazoka30

相手の態度は、ちょっとしたテクニックひとつで変わる。シンプルなのに効果満点な「心変わりの方程式」を6つの場面別に識者へアドバイスを求めた。第1回は「初対面の挨拶」について。ザ・リッツカールトン・ホテル元日本支社長の高野登氏に聞いた――。

■リッツ・カールトンの社員は「母親の朝食を褒める」

いつもお1人でホテルにいらっしゃるお客様が、今日はお子さんを連れている。そんなとき、「今日は大事な記念日ですか?」と声をかけることで「子どもが誕生日でね」「親戚の集まりがあったのよ」とコミュニケーションが広がっていきます。

「誰とでも心を通わせる挨拶」を習得するための近道はありません。大事なのは日々の「習慣」です。まずは身近なところで練習をしましょう。

リッツ・カールトンの若手社員研修では「母親の朝食を褒める」課題を出していました。一番身近な家族を元気にできない人が、見ず知らずの人に喜んでもらえるはずがありません。最初は「おいしいね」「新鮮だね」の一言でいい。2、3カ月続けると、成果が出てきます。

毎朝声をかけるためには、朝食への「関心力」が必要です。次に、変化に気がつく「洞察力」。喜ばせる言葉を考えると「表現力」が高まり、実際に声をかけると「行動力」も向上します。こうなると立派な挨拶上手です。

■初対面で人と心を通わせられる「観察眼」

はじめに鍛えるべきは「関心力」です。関心がないと人に声はかけられません。毎日乗っているバスや電車は関心力を鍛えるチャンス。荷物や服装、指先などを見てどんな職業なのか推察するゲームをしてみましょう。

サラリーマンの場合、私が見るのは靴と膝の裏。まさに「足元を見る」。二流のサラリーマンの靴は汚く、ズボンの膝の裏はシワシワ。エグゼクティブほど、靴は磨き上げられ、ズボンはきれいにプレスされています。

裏を返せば、意外と他人はあなたの身なりをチェックしているということ。高いものを買う必要はありませんが、身の回りのものを大事に手入れする習慣があると、相手の服装にも関心が持てるようになります。

ここまでが基礎編です。さらに上級者を目指すなら、相手にとって当然のことを褒めるのではなく、相手のこだわりを褒めてみましょう。料理人の包丁さばきを褒めるのではなく、包丁に目を向ける。「弟子にはどういう包丁を勧めるのですか?」と聞いてみることで、相手の心をくすぐることができます。

上級編のテクニックをもうひとつ。挨拶上手で有名なのは、米国の元大統領のビル・クリントンです。初めて会った人でも、必ず去り際に握手をして、名残惜しそうに目を見たそうです。これでみんなキュンとなってしまう。最初の挨拶は誰でも立派ですが、最後に気をぬいてしまう人が多いのです。握手まではできなくても、去り際に目を合わせてみましょう。きっと心が通じ合えるはず。もちろんこれらは上級編。まずは基礎の「習慣」こそが大切です。

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▼相手の「こだわり」を見つけて褒めよう

POINT:持ち物
例:書きやすそうなペンですね。どこのペンなのですか?

POINT:会話によく出てくるキーワード
例:沖縄にはどのくらい行かれるのですか?

NG POINT!:相手の仕事に関すること
例:見事な計算力ですね
相手にとってできて当たり前のことを褒めるとバカにされていると感じる可能性がある

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高野 登
ザ・リッツ・カールトン・ホテル元日本支社長
21歳でニューヨークに渡り、名門ホテルを経て、94年ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長。97年に大阪、2007年に東京の開業をサポートした。
 

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(ザ・リッツ・カールトン・ホテル元日本支社長 高野 登 構成=山本ぽてと 写真=iStock.com)

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