なぜ売れている営業ほど危機感が強いのか
プレジデントオンライン / 2018年4月2日 9時15分
※本稿は、『プルデンシャル流 心を磨く営業』(プレジデント社)の第2章「自己鍛錬」の一部を再編集したものです。
■失敗を検証して成功パターンを再現
名古屋北支社の石橋誠志の営業スタイルは、常に正攻法であること。セールスプロセスの基本に忠実であるとともに、常に自己検証を続けている。
「うまくいった商談とうまくいかなかった商談を、常に自分の頭の中で再現して検証しています。うまくいかなかった場合は、その流れを思い出してみて、もしやり直せるとしたら、どうすればよかったのか、何を言えばよかったのか、何を言わなければよかったのかをじっくりと考えます。とにかく、やりっぱなしにしないということですね」
石橋は新人や後輩に自身のロールプレイを披露する際には、要所要所で進行を止めて受講者に「なぜそれを言ったのか」「なぜそのフレーズなのか」「そこで何を伝えたいのか」と質問し、彼らにまず答えさせた上で、解説を加えるのだそうだ。
「各フレーズの意味をきちんと理解しているかを確認しています。全く同じスクリプトでも売れる人と売れない人がいるということは、単なるフレーズの問題ではないのです。どれだけ自分で理解して、腹落ちして話しているかが大切なのです。
そして、きちんと逆算して何を話すかを考えることですね。○○ということを聞き出すために△△と質問する、△△を考えていただくために××と質問する──という流れです」
石橋は自身の経験を踏まえ、失敗には限られた数のパターンしかないと言う。
「失敗を検証し、その理由やどうすればよかったのかをきちんと理解すれば、成功するパターンの再現性を高めることができます」
石橋は入社以来、人よりもずっと売り上げを上げているのに、周囲に対して「行くところがない」と言うのが口癖だったのだそうだ。
石橋は、うまくいっている営業パーソンは総じて危機感が強いと語る。
「誰でも危機感はあると思うんですが、売れている人は『危ない』という非常ベルが鳴るのが他の人より早いと思います。どん底の一歩前でようやくベルが鳴る人がいれば、かなり早い段階でベルが鳴る人もいる。この違いが結果の差を生む気がしています。
ただ、不安だということを決してマイナスに捉えずに、1日でも早く不安とうまくつきあえるようになれればいいと思います。私は、入社して5年くらいはうまくつきあえず、不安で苦しかったのを覚えています」
不安を解消する手段として、まずは会社が提示したマイルストーンを追いかけることにしたと石橋は言う。
「どうすればうまくいくのか、成功するのかわからない。だから社内コンテストの入賞など、会社が提示するマイルストーンに乗ってみることにしました。それをはずしたら、自分がどこまで落ちていくかわからない。だから頑張ってしがみついていました。自分の不安感が少し落ち着いたのは、入社して6、7年たってからでしょうか」
■モチベーションで仕事をしない
今は、危機意識を心の奥底に抱えつつも、モチベーションに振り回されないことも大事だと石橋は語る。
「モチベーションが常にビジネスパーソンの話題になるということは、結局、誰にとっても課題なんですよね。であれば、それに左右されない、振り回されないようにしようと考えるようになったんです」
石橋のスタンスは「モチベーションでは仕事はしない」
「以前、日本シリーズで巨人軍の原監督(当時)が、『一喜一憂しない』と言っていたのを聞いて、『これだな』と思いました。うまくいってもおごらず、うまくいかなくても落ち込みすぎない。今もヘコむことは多いですが、『十何年間とやってきたんだし、明日になればもっとよくなるかな』と気持ちを切り替えるようにしています」
石橋は、自分に寄せられる期待やプレッシャーを、自分の伸びしろを伸ばす力に変えていったという。
「中学生時代はサッカーで県1位、東海地区2位にまで勝ち進んだのですが、そこから得た教訓は、努力は一人ではできないということです。自分一人では、あれだけ厳しい練習は続けられません。監督やコーチにサポートしてもらったからできたんです。
ジムでトレーナーを付けるのも同じですよね。自分の限界まで筋トレをしたところで、トレーナーに『あと3回やってみましょう!』と言われると、自分の限界を超えて頑張れる。ですから、積極的に、自分以外の力を借りる、自分に寄せられる期待やチャレンジや負荷は、拒まず受け止めて乗っかる。それによって、自分の伸びしろを伸ばしていきたいと考えています」
■お客さまが増える=友人・先輩・家族が増える、ということ
石橋が入社して数年目、新しくできた支社に移る際に、「後輩に背中を見せよう。先輩が頑張っている姿を見せなくては」と思い、率先して目標達成に取り組んだ。その後も石橋は、全社規模の社内研修会の運営など、手弁当で同僚に貢献する仕事でも、期待に応えることを自分の成長の機会としてきた。
石橋は現在四日市在住で、お客さまの9割以上は四日市の方々である。地域と密な関係を築き上げているのも、石橋の営業スタイルの特長だ。「このお客さまにはご無沙汰してしまった」と感じたら、とりあえず訪問するのだそうだ。
石橋の担当営業所長は次のように語る。
「年を重ねるごとにお客さまとの信頼関係を深めて、お客さまの輪を広げています。地方都市における営業スタイルの理想的なモデルといえるでしょうね」
今後について石橋はこう語る。
「お客さまが増えるということは、自分の友人や先輩や家族が増えていくことだと考えています。この仕事を辞めたり、信頼をなくしたりするようなことがあれば、周りにいる人をすべて失うことになってしまいます。
自分の力で切り開き、手に入れていける、すべては自分次第というライフプランナーの仕事は、仕事というよりも人生そのものです。これからも、四日市のお客さまのご信頼をいただき、全国の仲間とつながりながら、自分に対して限界を設けずにやっていきたいと思います」
●自分の失敗をしっかりと自分で再検証。成功パターンの再現性を高める
●モチベーションに振り回されない
●他からの期待やプレッシャーを、自分を伸ばす力に変える
(プルデンシャル生命保険フェイスブック(日出ずる国の営業)運営事務局)
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