新入社員に"サボり方"を教える社長の思い
プレジデントオンライン / 2018年5月1日 9時15分
※本稿は「プレジデント」(2018年1月29日号)の特集「24時間の使い方」の掲載記事を再編集したものです。
■ハンドルは小刻みに動かし続けよ
私は仕事中のサボりを奨励しています。仕事中にサボるなんて、とんでもないと思う人が多いのではないでしょうか。社内では「サボり方研修」も行っています。サボりこそがクリエーティブな発想を生む源泉であり、一流のサボり方を身につけてほしいと考えるからです。
ただサボるより、サボりながら何か作業をしたほうがいい。実際の研究結果でも、ただ休憩するより、休憩中にどうでもいい作業をするほうが、クリエーティビティが発揮されることがわかっています。
私もただボケッとすることはあまりありません。サボるときは、いつも何かしら動くようにしています。
高校時代に自動車部に所属し、運転の正確さを競う「フィギュア」という競技を行っていました。それを通じて、まっすぐ走るためにはハンドルを固定するのではなく、小刻みに動かすほうがいいという知見を得ました。仕事にも通じるところがあります。面白いものを追求するには、貧乏ゆすりでも何でもいいので、動き続けたほうがいいのです。
気持ちよくサボるために、ストレスを生むようなルールはなくし、アイデアが生まれるような仕組みづくりも心がけています。
自動車を指定した場所にピタリと止めろと言われるとプレッシャーがかかりますが、この辺に止めればいいと言われれば気持ちが楽になり、かえってよい結果が得られます。それと同様に、毎朝9時半までに出社するのはストレスになりますが、9時半ごろに出社すればいいとなれば気持ちが和らぎます。
■ウソのESで書類選考を行う「エイプリルフール採用」
また、「面白法人」というコンセプトが社内に浸透するように、給料日前に全社員がサイコロを振り、「基本給×(サイコロの出目)%」が、給与に足される「サイコロ給」や、ウソをつくのも才能の1つと考え、4月1日限定でウソのエントリーシートで本当に書類選考を行う「エイプリルフール採用」など、他社にはない制度も数多くつくってきました。
このような制度がその目的を達成できないこともあります。その意味ではムダなことかもしれません。しかし、たとえ失敗しても他社が行わないことを行ったという事実は残り、それによって面白法人としての価値が蓄積されていくのです。
私たちは「面白法人」と名乗っている通り、カヤックは面白い職場をつくることに重点を置いてビジネスを行っています。昨今、多くの企業で取り組みが進む「働き方改革」についても、カヤックでは生産性の向上よりも、どうすれば仕事が面白くなるかということに注力しています。生産性を追求しすぎると、面白い発想ができなくなってしまいます。表面上は“ムダ”と思われることに費やす時間が重要な意味を持ちます。
■面白法人というブランド価値を上げる
カヤックが積極的にブレインストーミングを行っている理由もそこにあります。ブレストでたくさんのアイデアを出すことを奨励しています。しかし、出てきたアイデアのうち、実際に使えるものは2つか3つぐらいしかないことがほとんどです。そういう意味では、ブレストはムダな時間といえるでしょう。
とはいえ、ブレストは仕事を面白がる体質になるための必須トレーニングだと考えています。
ブレストを行うことで仲間のアイデアに乗っかり、仲間のアイデアを褒めあうことでチームワークがよくなります。また、数多くのアイデアを出すトレーニングが仕事を面白がることにつながるというメリットも見逃せません。会社に課題があったときにただ批判するだけではなく、どうすれば課題を解決することができるのかを自然と考えられるようになるからです。
社員が自分の所属する部署以外のブレストに参加できる時間も用意しています。ブレストによって生み出された施策やサービス、コンテンツの中には失敗したものも少なくありません。しかし、それも面白法人というブランド価値を上げることに貢献するため、採算を度外視して面白いことに挑戦するための予算を組んでいます。それが結果的に社員が面白く働くことやカヤックは面白い会社だと発信することにつながっているのです。
■ゴールは効率ではなく、面白がること
カヤックがITシステムなどを導入する際、長期契約を結ぶことはほとんどありません。多少、金額が高くてもなるべく短期契約を結んでいます。客観的に見ればそれもムダのひとつといえるでしょう。
短期契約にこだわるのには理由があります。社員が物事を考えるきっかけになるからです。長期契約で導入すると、それがそのまま利用され続けてしまい、そのITシステムを導入した目的などが忘れ去られていく可能性が高くなります。「先輩社員が決めたことを続けていけばいい」という風潮になってしまうのです。それを避けるために短期契約を結び、契約更新のたびに見直しを行うようにしているのです。
社内のルールについても同じことがいえます。前から決まっていることだからといって自ら考えることもなく従ってしまうのです。
そういったことを避ける意味も込めて、カヤックでは毎年、経営面の見直しを行っています。毎回、ジャッジを下していくのです。コンテンツやサービスだけでなく、常に新しいものを生み出し、活力を持ち続けなければ会社も“オワコン”、つまり終わったコンテンツのようになってしまいますから。
カヤックのゴールは効率ではなく、面白がることです。ストレスなく健康に働くことが最も面白いアイデアを生み出せることにつながるのです。
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カヤックCEO
1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。98年、学生時代の友人とともに面白法人カヤックを設立。著書に『面白法人カヤック会社案内』『アイデアは考えるな。』など。
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(面白法人カヤック代表取締役CEO 柳澤 大輔 構成=百瀬 崇 撮影=的野弘路)
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