借り手なしでも大家が家賃を下げないワケ

プレジデントオンライン / 2018年5月7日 9時15分

写真=iStock.com/bernie_photo

■入居後の家賃「1~2カ月タダ」のフリーレントの「罠」

少子化により、日本が人口減少時代に突入していることはご存じのとおり。今後、人口が劇的に増加することは考えにくいでしょう。

一方で、住宅は日々供給され続けています。古くなった家が取り壊されたりもしていますが、新しい家が供給されるうえ、人口も減少傾向のため、都心の一部のエリアを除き、今は「家余り」が目につきます。

家が余ると困るのは、賃貸物件の大家さんです。物件に人が入らなければ赤字になるので、彼らが居住者確保のための苦肉の策として行っているのが、敷金・礼金ゼロの「ゼロゼロ物件」の提供や、「フリーレント」です。

フリーレントとは、入居後の家賃を1~2カ月程度無料にする契約形態のこと。最近では、フリーレント付きのゼロゼロ物件も徐々に増えており、引っ越しの初期費用を数十万円単位で節約できることも珍しくなくなりました。

ただ、そんなフリーレント付きの物件を借りる前に、注意点がいくつかあります。

まず、フリーレント付き物件の多くは、最低入居期間が設定されており、それより前に退去すると違約金を課せられます。最低入居期間は半年~2年など、物件によってマチマチですが、短期で引っ越す可能性が少しでもある人は、注意したほうがいいでしょう。

なお、違約金の設定は「フリーレント月数×家賃」としている物件が多いので、短期で転居すると、フリーレントで節約できた分を全額失う羽目に陥ります。

■フリーレントに3年以上住むと大損のケース

また、フリーレント付き物件の中には、周辺の同等の物件より若干家賃が高く設定されているものもあります。たとえば、周辺の同等の物件(フリーレントなし)が7万円ほどで借りられるのに、フリーレント付きの物件は7万3000円に設定されている、といった具合です。

このケースでは、フリーレント期間が1カ月だったとすると、7万3000円が浮きます。2年目の終わりまでは、周辺のフリーレントなし・7万円の物件に住むよりもお得ですが、3年目にはむしろ損をします。

貸し手の側も、自分たちが極力損をしないように家賃を設定するので、お得に見せかけてそうでもないことは多いもの。長期的に住むなら、フリーレントという言葉に惑わされず、相場に見合った家賃の物件を探すべきでしょう。

ところで、「フリーレントにするくらいなら、貸し手は家賃を下げてもいいのでは」と思われるかもしれません。しかし、簡単に家賃を下げると、同じ物件の別の部屋の居住者から「うちの家賃も同じように下げてほしい」などと要求される恐れがあるため、家賃の値下げよりフリーレントのほうがマシと考える大家さんもいるのです。

これから引っ越しシーズンがピークを迎えますが、賃貸物件探しでは家賃だけでなく、物件自体のよしあしや周辺環境などを総合的に判断することが大切です。そもそも、フリーレントが付いているということは、そうでもしないと借り手がつきづらい物件ということ。お得さに目を奪われて入居したものの、肝心の住み心地が悪い……では困ります。フリーレントはあくまでオマケであり、付いていたらラッキーという程度に考えておくのが無難かもしれません。

なお、フリーレント期間であっても大抵は管理費や共益費が発生し、まったく無料で住める例は少ないのでご注意を。

(ファイナンシャルプランナー 風呂内 亜矢 構成=元山夏香 写真=iStock.com)

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