天才少年が小5の夏に考案"分数ものさし"

プレジデントオンライン / 2018年4月30日 11時15分

山本賢一朗さん

■2月の発売以前からネット予約注文が殺到

プレジデント誌の連載「著者インタビュー」史上、おそらく最年少の“著者”の登場である。

静岡県浜松市に住む山本賢一朗さんは現在中学1年生。小学5年のとき、ある着想から独自の“理論”を体系化。その結晶が「分数ものさし」だ。

「本」の中には後述する独特な目盛り付きの定規と、理論を子供にもわかりやすく解説した文章、さらにドリルがついている。2月の発売以前からネット予約注文が殺到し、教育関係者を中心に「算数の壁をクリアできる魔法の教材だ」と話題となっている。

「作るきっかけは、友達でした。1個のリンゴを2つに分けると“2分の1個”。この分数の意味がわからない子がいて、何とかわかってもらえるツールを作れないかと思ったんです」(賢一朗さん)

小学4年生以降に学ぶ、分数。ここでつまずく子は多い。

「2分の1」の理解ならまだしも、異分母の計算に手こずるケースは少なくない。2分の1+3分の1は、通分して6分の3+6分の2=6分の5。わかる子はすぐわかるが、2分の1=6分の3、が腹落ちしない子は多い。

そんなややこしい概念を、長さ15センチのこの分数ものさしは視覚化することができる。

「分数を“整数”に置き換えれば直感的にわかるんじゃないかと思って。そうすれば、比・割合などその後の勉強もわかる」(同)

実際、その友達の成績は向上し、分数を習っていない未就学児や小学校低学年でも、この分数ものさしを使ってスイスイと分数の加減乗除をこなす子もいるという。

■現在は「35キロの津波」の体験キットを作成中

開発のヒントとなったのが、京都大学の生協で販売していた「素数ものさし」。目盛りは2、3、5、7、11、13のみ。これに触発されてコンセプトがひらめいた。学習塾を営む父親や静岡大学の教授の協力も得て、アイデアを形にすることに成功した。

小さい頃からパソコンやゲームに親しむ「デジタルネーティブ世代」。小学校低学年の頃から、ゲーム攻略法の動画を作成していたユーチューバーでもある。そんなデジタル脳が行きついた先は、ものさしというアナログだった。

昨年は津波体験キットを作成し、現在特許出願中。足下におもりやエキスパンダーの負荷をかけることで、平均時速35キロメートルの津波の衝撃を体験できるという。

「津波の怖さを実感できます」(同)――“教育開発”の天才出現、といったところか。

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山本賢一朗(やまもと・けんいちろう)
2005年、静岡県生まれ。小学5年の夏休みの自由研究で考案した「分数ものさし」を使った足し算・引き算の計算法が浜松市小・中学校発明くふう展で優秀賞受賞。静岡大学教育学部・塩田真吾准教授の協力で、掛け算・割り算の方法も完成。

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(フリーランス編集者/ライター 大塚 常好 撮影=堀 隆弘)

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