1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

アイデアは「制限」がなければ出てこない

プレジデントオンライン / 2018年5月28日 9時15分

写真=iStock.com/DigtialStorm

仕事にかけられる時間には限りがあります。「もっと時間があったら、もっと良いアイデアを考えられたのに……」というのは言い訳でしかありません。パナソニックシステムソリューションズジャパン部長の木部智之氏は、「時間がないなら、効率的なやり方に変えるべきだ」と言います。限られた時間で最高のアイデアを生み出す方法を紹介しましょう――。

※本稿は、木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■「制限」のある中で、アイデアを発想するメリット

仕事をしていく中で、時間に追われながらアイデアをひねり出さなくてはいけない局面は頻繁にあるでしょう。

このようなとき、いきなり真っ白なキャンバスにアイデアを出そうとするよりも、「制限」の中で発想していくほうが、実は、効率的であり、結果的にも良いアイデアが出てくる可能性があります。

その「制限」というのが、タテ軸とヨコ軸、2本の線を引いてできた「枠」を利用することです(タテヨコ2軸を使って考える思考法を、私は「2軸思考」と呼んでいます)。

「斬新なアイデアを考えたいから、真っ白な気持ちで考えたいんだ」という人もいるでしょう。

ですが、思考する範囲を限定する(枠をつくる)と、その範囲に「集中」することができるようになるので、対象について、より「深く」考えることが可能になります。

私の経験上でも、2軸がヒントになるため、アイデア出し自体が活発化し、その途上で面白いアイデアが出てくることが多いような気がします。

■「ひらめき」よりも「ロジカル」にアイデアを出すのが効率的

「アイデアを出す」という場合、よく「デザインシンキング」と「ロジカルシンキング」の優位性が比較されます。ですが、これはどちらが良いかという問題ではありません。アプローチの目的が違うからです。

デザインシンキングは、まったく新しい革新的なアイデアを出す、つまりイノベーションを起こすことが目的です。

しかし、私たちが日常的な仕事で直面している問題においては、イノベーションが必要なことはほとんどありません。ミラクルを狙っているのではなく、現在の60点のものをどうやって70点にするか、そしてどうやって80点、90点、100点にするかが仕事の大半で問われていることです。

つまり、私たちの普段の仕事でアイデアを出すときは、「ロジカル」に2軸思考でアイデアを出すほうが効果的なのです。

■ディスカッションも、「枠」を提示し、議論を活発化する

例えば、「ある本が売れた理由」についてチームでミーティングすることになったとしましょう。

このとき、「カバーの色が良かったんじゃない?」とか「著者が宣伝に積極的だったのが良かったよね」などと、各自がフリーにアイデアを出すよりも、「テーマ」「タイトル」「本文デザイン」「タイミング」……などと、「検討する要素」を決めてから意見を募るほうが、より多くの意見が出てくるはずです。考える対象が明確であれば、人は、自動的に考えようとするからです。

枠がない場合は、話がゼロからスタートするので、あらゆる方向に広がってしまいがちです。そして、ある1点だけに偏って考えたり、逆に、まったく手つかずの部分が出てきたりします。

場合によっては、自由な多角的なモノの見方が必要なこともありますが、時間のない中で成果を出さなくてはいけない場合には、範囲を決めて考える方法のほうが適しているのです。

■実例:「20分のプレゼンテーションの内容」を決める場合

次に、実際に私が、どのように2軸の枠を「アイデア出し」で使っているのか、具体的に見てみましょう。

〔案件概要〕
会社の新卒採用イベントで、就職活動中の大学生に対してスピーチをすることになった。これは、いくつもの企業が参加しているオープンな新卒採用イベントである。社員代表として行う「20分のプレゼンテーション」の内容を決める。

私がプレゼンテーションをするときに使っているのが、「伝えたいこと・聞きたいこと」を書き出した「枠」です。

この枠は、プレゼンテーションだけでなく、上司や会議での報告など、誰かに話をしなくてはいけない場面でも使えますので、ぜひ使ってみてください。

何かを伝えるという行為は、聞き手があってこそ成立するものです。

にもかかわらず、自分が話したいことばかりを詰め込み、聞き手が聞きたかったのは実は違う話だった……という残念なプレゼンを、私自身、よく見てきました。

それを避けるために、話し手として「伝えたいこと」を考えるのと同時に、聞き手の立場を想像して「聞きたいこと」も考えます。そうすることで、できるだけ聞き手が望むプレゼンに近づけることができるのです。

ただし、「聞きたいこと」は、自分が聞き手になったつもりで考えているため、あくまでも「想像の世界」です。もし、可能な場合は、聞き手もしくは聞き手に近い人に意見を聞くとよいでしょう。

私が新卒採用関連でプレゼンをするときには、さすがに自分で想像するには年次的なギャップがありすぎるので、1~2年目の若手社員に「自分が就職活動をしていたとき、どんな話を聞きたかった?」とヒアリングをして、就職活動中の学生が聞きたいであろう情報を収集しています。

みなさんも経験がおありだと思いますが、「ゼロからのアイデア出し」は、エンジンがかかるまでに時間がかかりがちです。「何から手をつけようかな……」と考えているうちに、あっという間に15分くらい経っていることもあります。アイドリングタイム(エンジンをかけて、何もしていない時間)を減らすためにも、まず、パパッと2軸の枠を決めてしまうことが、仕事のスピード化につながります。

ぜひ、2軸を使ったアイデア発想法をお試しください。

----------

木部 智之(きべ・ともゆき)
パナソニックシステムソリューションズジャパン部長。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。エグゼクティブ・プロジェクト・マネジャーを務め、2018年より現職。著書に『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(以上、KADOKAWA)がある。

----------

(元日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー 木部 智之 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください