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なぜ不安を解決してもすぐ不安になるのか

プレジデントオンライン / 2018年7月1日 11時15分

写真=iStock.com/bee32

私のクリニックにも、不安から解放されたい、という悩みを相談に来る方がたくさんいますが、実はその多くの人が「仕事がデキる人」なのです。

なぜいつも不安になるかといえば、常に完璧を求めるからです。完璧主義だからこそ、ビジネスでも結果を出せる人が多い半面、些細なことでも、いつも「うまくいかなかったら」と不安にとらわれてしまうのです。

■「不安はそのままにして、なすべきことをなそう」

不安の背景には「うまくやりたい」という願望があります。その願望は、向上心の表れです。つまり、不安がちな人は、向上心の高い人でもある。向上心には連続性があります。常に「もっと先に進みたい」と思っているわけですから。しかし、「先に進もう」と思うほど、その先への不安も強くなるということで、「不安にも連続性がある」といえます。

言い換えれば、不安を持つことは願望を持っているというポジティブな一面の証明。心理学では不安を悪いこととは考えません。

神経症のための精神療法である森田療法では、「あるがまま」を大事にします。「不安はそのままにして、なすべきことをなしましょう」と考えるのです。「あるがまま」とは、不安をあるがままにするのと同時に、「不安の背景にある願望」もあるがままにする、ということ。不安に従うのではなく、願望に沿って行動しましょうという考えなのです。

目の前の「気分」に左右されて不安にとらわれるのではなく、願望つまり「目的」のためと切り替える。気分本位から、目的本位に変えることが大事なのです。不安を取り除くには、目の前にある願望がまずは達成できればいい。ビジネスの不安も、抱えている案件が成功すれば、一旦は解消されます。このとき、願望である「プロジェクトの成功」に没頭しきれば、その間は頭に不安はなくなります。脳は2つのことを同時にやるのが苦手ですから、不安を考えるのではなく、目的に沿って考えることができればいい。

■「どうにもならない現実」が見えているか

不安がちな人は、完璧主義だということはすでに述べました。まわりに評価されても、自分のできていないところに目が行ってしまう。80点が合格点でも、常に100点を目指して、85点の自分を許せない。

その生き方は、非常に精神的な労力がかかります。そのような考え方のままでは、うつや神経症につながっていってしまいます。

ではどうすればいいのか。「受け入れる」ことです。完璧主義者は、「どうにもならない現実」があることを見ることができない。いうなれば「完璧というありもしない夢」を追う理想主義者なのです。自らの理想という「気分」に支配され、「目的本位」になれていない。

現実的に見れば、不安に思っていることは、必ずしも起こるとは限らない。願望は、完全にうまくいくかもしれないし、うまくいかないかもしれない。ならば、不安よりも、願望に従ったほうがいい――。そんな「部分否定」の気持ちで「受け入れる」ほうが、精神面は好転します。まずは完璧ではない自分を許すところから始めましょう。

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勝 久寿
精神科医
人形町メンタルクリニック院長。著書に『「いつもの不安」を解消するためのお守りノート』がある。

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(精神科医 勝 久寿 構成=伊藤達也 写真=iStock.com)

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