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"成功確率1%"の仕事を"99%"にする方法

プレジデントオンライン / 2018年7月15日 11時15分

「確率」の応用編として、今回はビジネスシーンで確率のことを考えてみたい。

たとえば、あなたに命じられた仕事が成功確率1%だとしよう。とても無理だと最初からあきらめモードになるかもしれない。実際、道のりは険しいだろう。しかし、発想を転換してみれば、前向きな気持ちになれるかもしれない。

サイコロの目の出る確率は、どの目が出るのも確率は6分の1だが、6回振れば必ず狙った目が出るわけではない。20回振ってようやく約97%の確率で狙った目が出る。

同じことを野球のバッターを例に考えてみよう(図参照)。打率3割のバッターが1回の打席でヒットを打つ確率は30%だが、3回打席に入れば必ずヒットが出るわけではない。1試合4回の打席ですべて凡退することもある。ただし、打席の数が増えればヒットが出る確率も上がる。これもヒットが出ない確率から計算すればよい。

3割バッターが最初の打席でヒットを打てない確率は「1-10分の3=10分の7(70%)」だ。すると2打席目までヒットを打てない確率は「(10分の7)の2乗=0.49(49%)」。3打席目までヒットが出ない確率は「(10分の7)の3乗=0.343(約34%)」。つまり、3打席目までに少なくとも1本ヒットが出る確率は「1-0.343=0.657」で約66%だ。意外と高く感じはしないか。

そして、4打席目までにヒットが出ない確率は、「(10分の7)の4乗=0.2401」。つまり、4回打席に立てば少なくとも1本ヒットが出る確率は、「1-0.2401=0.7599」で約76%となる。さらに、5打席目まで回ってきたら「(10分の7)の5乗=0.16807」で、少なくとも1本ヒットの出る確率は「1-(10分の7)の5乗=0.83193」で約83%だ。打席に入る回数が増えれば増えるほど、ヒットが出る確率も上がるのだ。

当たり前といえば当たり前の話だが、これを成功確率1%の仕事に置き換えて考えてみる。1回の挑戦で成功しない確率は、「1-100分の1=100分の99(99%)」。絶望的な数字である。

ところが、同様に計算していくと、100回、200回と挑戦を続ければ、400回ではなんと成功確率が98.20%になるのだ。まさに、「継続は成功への近道」ということが確率から証明できたといえるのではないか。

ミドリムシで注目されるベンチャー企業のユーグレナは、創業3年目の2008年に倒産の危機に陥ったそうだ。そこで出雲充社長は出資者や提携先を探して企業訪問するも相手にしてもらえず、ようやく出資と提携にたどりついた伊藤忠商事は、実に501社目だったという。先ほどの成功確率1%の仕事の例でいうと、500回足を運べば少なくても1回成功する確率は99.34%で、出雲社長はまさに成功確率1%の仕事を成し遂げたといえよう。

パナソニックの創業者である松下幸之助氏は「成功とは成功するまでやり続けることで、失敗とは成功するまでやり続けないこと」という言葉を残しているが、もしかすると幸之助氏も、この確率を頭の中で計算していたのかもしれない。

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野口哲典
ライター
1958年、愛知県生まれ。東海大学卒業。市場調査会社を経て、ライターとして独立。『数字のウソを見抜く』など数学に関する著書多数。講演も精力的に行っている。

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(ライター 野口 哲典 構成=田之上 信)

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