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コツコツと貯める人は将来の貧困層である

プレジデントオンライン / 2018年6月22日 9時15分

写真=iStock.com/monsitj

今年2~3月の株価急落を受け、将来にネガティブな見通しをもつ投資家が目立つ。しかし、経済評論家の菅下清廣氏は、「このような暴落は後から振り返れば絶好のチャンスだったことが多い。2030年まで上昇の大波は続くとみられ、これから不遇の時代を迎えるサラリーマンこそ、このマネーバブルに乗るべきだ」という。菅下氏が説く「お金の教養」の中身とは――。

※本稿は、菅下清廣『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■上昇トレンド途上の急落こそ好機!

2018年3月23日、週末の金曜日、日経平均株価は一時1000円超の下げ、結局974円安の2万617円で引けました。マイナス4.51%。その日のNYダウも続落。424ドル安の2万3533ドルと、日米の株価が大幅安を記録しました。米国トランプ大統領による対中国への高関税発令が、世界貿易戦争の始まりと受け取られて、世界同時株安を引き起こしたのです。

こんなときに、株高時代に知っておくべき「お金の教養」があるといえば、「もう遅いのでは? これからは株高どころか、株価下落の時代が始まっているのでは?」と思う方も多いかもしれません。

たしかに、このまま米中が互いに相手国製品に関税をかけるということになると、当面株価は下落。世界景気の後退につながり、日本の輸出にも大きなマイナスとなるなど、株価の弱気材料がいろいろと想定されます。だから、今は多くの投資家が弱気になって、株を売っているのです。

しかし、冷静に世の中を見渡してみてください。米国景気は利上げしなければいけないほど絶好調。日本の企業も好業績が予想されています。米国トランプ大統領も日本の安倍首相も、経済政策のカジ取りは間違っていない。

日本経済は20年に及ぶデフレ不況を乗り越えて、今、出口に向かっています。雇用も増え、株価も上がっています。この日米の上昇トレンドには、いささかの変化もないのです。

2018年の今、私たちが目にしているのは、2008年のリーマンショックのような世界的な規模の災難ではありません。いずれ米中関係も落ち着きを取り戻すでしょう。

今回のような暴落は「後から振り返ると絶好の投資チャンスだった」というのが、私の有力な経験法則です。それに、目先の株の乱高下にかかわらず、これからの日本では、“お金の教養”なくしては安心して眠れません。豊かで楽しい老後生活も期待できません。また、若い世代の人々にとっても、投資で資産を築くことが明るい未来を描く最良の手段であると、私は確信をもっていうことができます。

目先の株価の乱高下を過度に恐れることなく、この動乱の時代を、「株について勉強し、お金の教養や投資頭脳を磨くきっかけ」にしてほしいのです。

■2030年まで上昇の大波は続く

2018年5月現在、日経平均株価は2万2000円超。これはかつての低迷を思えば、見事な復活といえます。バブル崩壊以降の「失われた20年」の間には、7054円という歴史的な安値を記録したこともありました。

それが、ここまで復調したのはなぜか。ひと言でいえば、アベノミクスの効果です。2013年4月から「異次元の金融緩和」が始まり、2015年6月、日経平均株価は2万円を突破。では、この後はどうなるか。

さらなる好況の波が押し寄せると、私は見ています。

2018年9月には自民党の総裁選が行われます。おそらくは安倍首相が3選し、デフレ脱却政策が進められていくでしょう。そうなれば市場は活気づき、株も上がるのは必定です。投資家は「政治(政局)」を大いに重視します。政権が安定すると見れば、積極的に投資します。

私が考える「次のピーク」は、おそらく2019年の半ばころ。東京オリンピック開催に向けて、株価は2万7000円すら狙える、と予測しているのです。

「好景気の実感なんて、全然ないけれど……」と思った方もいらっしゃるでしょう。たしかに、好景気の影響はまだ世の隅々まで行きわたってはいません。しかし、その「今」こそがチャンスなのです。投資は、本格的に市場が熱して高値がつく「前に」行わなくてはならないからです。

マネーバブルの波は株式市場にも押し寄せています。長い低迷期を終えて回復の道をたどっている株価。この上昇、いつまで続くと思いますか?

「2万7000円にもなりえるという、2019年半ばがピーク?」
「東京オリンピックが開催される2020年がピーク?」
「その前に、2019年の消費税増税で上昇は打ち止めになるのでは?」

─―と思われるでしょうか。

たしかに、そのあたりでいったん落ち着きは見せるでしょう。しかし、その後、再び不景気に陥ると考えるのは間違いです。アナリストや経済学者のなかには「オリンピックが終わったら好景気も終わり」という悲観論を述べる人もいますが、私の見方は違います。

好景気の大きな波は2030年ごろまで続く、と読んでいるのです。

その根拠は拙著『株高時代の「お金の教養」』に譲りますが、ここでみなさんにお伝えしたいのは、「悲観論に振り回される人は、景気が良くてもお金持ちになれない」ということです。

「オリンピックが終われば訪日外国人も減るだろうし……」

そんな悲観論は、きっぱり捨ててしまいましょう。オリンピック後も、訪日観光客は増えます。オリンピックをきっかけとして来た人々が、リピーターになるからです。

とりわけ、安くて美味しくて豊富な食事に感動しますし、先進国にしてここまで安全をを誇る国もそうそうありません。このように、外国人が日本のどんなところに感動するかという点も、株式投資先を考える際のヒントになります。

■サラリーマン不遇の時代がやって来る!

金融緩和によって世界各国でお金がだぶつき、そんな状況が局地発生的に集中する現象が起きていること、それがときにはバブル的様相を呈していることは、明白な事実です。

しかし、この波にうまく乗ってお金持ちになるには「お金の教養」が必須。「お金の教養」の差が、富める者と貧しき者の差を生むのです。

日本でも、間違いなく「格差」は広がっています。さらにシビアな現実は、中流階級から富裕層に移動する人の数よりも、貧困層に行く人の数のほうがはるかに多いということ。

そして、その「貧困層に移る人たち」のほとんどは、給料をコツコツ貯めているサラリーマンです。サラリーマン不遇の時代が、やってこようとしています。

ITによるオートメーション化、AIやロボット技術の発達、人生100年時代……ほとんどの働き手にとって、今のポジションが安泰とは程遠いのは、逃れようのない事実です。会社勤めで月々の収入を得ていれば大丈夫、などと悠長なことを考えていたら、あわや貧困層に滑り落ちてしまいかねません。

「投資はリスクがあるから怖い」という人がいますが、この時代に「働いてお金を得る」という発想だけで生きることのほうが、よほどリスクであろうと私は思います。格差の拡大に対抗する、攻めの姿勢が不可欠です。

株式投資はそれを予防しうる、もっとも有効な手立てです。月々の収入に加えて、少しずつでも投資でお金を得る。これが、これからの時代に欠かせない自衛策です。最終的な目標は、年収と同額の金融資産。年収500万なら500万円ぶんの株をもつことを目指しましょう。

動乱の時代には、機敏に動ける投資をするべき。その点、株は最適です。危ないと判断すれば、いつでも売れます。少額で始められて、徐々に慣れていくことができるという点で、初心者向きともいえます。5万~10万円程度からスタートし、様子がつかめたら徐々に増やしていく、という入り方をおすすめします。

■最初に投資すべきは「お世話になってます株」

それではいよいよ、今、何に投資すればいいのかをお話ししましょう。カギは、個人消費にあります。

菅下清廣『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』(KADOKAWA)

世界単位で見るとなかなか熱してこない個人消費ですが、日本はこれから、オリンピックに向けた上げ潮に乗る流れ。デフレマインドに浸かった人々の財布の紐も緩み始めます。そのとき、お金がまずどこに使われるでしょうか。

答えはほかでもない、「身近な生活関連商品」です。

景気が上昇し始めると、食材を一段良質なものにしたくなる。ファミレスで済ませていた外食をフレンチのビストロにしたくなる。習慣的に買っていたプチプラコスメを、資生堂など大手メーカーのものに替えたくなる……。その証拠に、安さが売りのコンビニでも、以前よりちょっぴり高価でグレードの高いお総菜やお菓子が人気になっています。

景気上昇期には、こうした生活密着型のモノやサービスを取り扱う企業の株から上がり始めるのです。

醤油や豆腐、歯磨き粉や歯ブラシ、洗顔料や洗剤。昼どきのテレビ番組の合間にCMが流れるような企業は、すべて狙い目です。ただし、毎日使うモノだからといっても、車や冷蔵庫等の耐久消費財を扱う企業はおすすめしません。景気の上がり始めは単価の安いものから売れ始めるからです。耐久消費財メーカーに投資するなら、日本の隅々まで好景気が浸透するころまで待つべきでしょう。

単価の安い、しかし少しだけ贅沢な生活用品。そう考えるとファッション関連も狙い目ですね。男性なら、ゴルフ道具やスポーツジムなど、娯楽や「自分磨き」の分野も上がりそうです。

身近なモノやサービスを提供する会社は、まだまだあるはず。生活のなかで、あなたが毎日使うものや、繰り返し買って使っているお気に入りの商品はありませんか? そんな商品を扱う会社の株こそが、ねらい目です。私はこうした株を「お世話になってます株」と名付けました。

「お世話になってます株」を買うメリットは、第一に「あなた自身がその価値をわかっている」点にあります。たとえば自分が利用していないSNS企業より、自分が魅力を理解している商品を製造販売する会社の株を買うほうが、株式投資の勉強になるのはもちろん、株が上がったときの喜びもひとしおです。

第二に、歯磨き粉やオーソドックスな調味料などの日用品というのは、ある日突然「誰も買わなくなる」ことがないため、多少乱高下があっても大きな心配がいらないのです。

あなた自身の「お世話になってます株」に注目し、できれば少しでも株を買い、今後の豊かな人生への第一歩としていただければと思います。

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菅下清廣(すがした・きよひろ)
経済評論家。スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。学校法人立命館顧問。
メリルリンチをはじめとする数々の名門金融機関で活躍後、独立して現職。変化の激しい時代に次々予想を的中させることから「経済の千里眼」の異名をもち、政財界にも多くの信奉者をもつ。『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方〔2018年上半期版〕』(実務教育出版)など著書多数。

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(経済評論家 スガシタパートナーズ株式会社代表取締役 学校法人立命館顧問 菅下 清廣 写真=iStock.com)

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