"性格の不一致で離婚"を招く人生の慶事5

プレジデントオンライン / 2018年7月8日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/chipstudio)

離婚理由で最も多いのは昔も今も「性格の不一致」である。相思相愛で結婚した2人がなぜ別れてしまうのか。エッセイストの鳥居りんこさんは「『好事魔多し』で、出産やマイホーム購入といった慶事をきっかけに離婚するケースが少なくない」と話す。「性格の不一致」はどのように生まれるのか――。

■離婚理由「性格の不一致」が発生するメカニズムとは?

離婚理由で最も多いものが「性格の不一致」である。

国の司法統計のうち「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」(2015年度)をみると、男女共に離婚理由の1位は「性格の不一致」となっている。

夫の離婚理由 上位5項目(複数回答)
1.性格が合わない 61.3%
2.その他 21.2%
3.精神的に虐待する 18.7%
4.家族・親族との折り合いがつかない 14.9%
5.異性関係 14.8%
妻の離婚理由 上位5項目(複数回答)
1.性格が合わない 40.5%
2.生活費を渡さない 28.3%
3.精神的に虐待する 25.6%
4.暴力を振るう 22.7%
5.異性関係 18.0%
▼人生の「慶事」直後があぶないワケ

通常、夫婦は暮らしを共にする。その日々のささいなやり取りの中に、お互いの価値観の差が出てくることがある。最初はその相違点をスルーできていても、徐々にそれらが積もり、「別れの予感」が高まり、やがて臨界点を突破したときに「離婚の決意」が固まるのだと思う。

「自分の人生にコイツは要らない!」。そう決断するまでに至った理由を一言で表現するには「性格の不一致」というしかない。

これは、お互いがこれからの人生を前向きに生きていく上で、相手を必要以上に傷つけずにすむため、大変有効かつ合理的な言葉である。

筆者は受験(小学校から大学まで)をする家庭の子育ての悩みや、夫婦関係のトラブルについても相談を受けている。その経験では、夫婦間にトラブルが起きる場合、皮肉にも「人生の慶事」とも言うべき幸福な瞬間の直後に、「性格の不一致」を理由とした離婚がしばしば勃発するように感じる。人生はつくづく分からないものである。まさに「好事魔多し」なのだ。

以下、「離婚」における「好事魔多し」を5つに分類してみる。

■結婚、出産、家購入で伴侶の「本質」が丸見えに

【1:結婚したと思ったら即離婚】

かつて「成田離婚」という言葉が流行った。本来ならば、幸せ絶頂のはずのハネムーン帰りの成田空港で「別れ」を選択する夫婦という意味だ。旅行中に配偶者への総合評価が急降下することが原因と言われているが、これはお互いの結婚に対する「夢」と「現実」のギャップによるものだろう。

尊敬できると信じて結婚したのに「シャワーのお湯が出ない」といった海外でのトラブルに対応できない夫に愛想を尽かすとか、買い物中毒のようにブランド品を買いあさる妻の消費行動に幻滅したとか、理由を聞けばそういうことだ。

夫婦関係に固定概念を抱いている人は意外に多い。例えば、「夫たる者、常に頼りがいのある人物でいなければならない」「妻たる者、やりくり上手でなければならない」といったものだ。それがクリアされないことで生じる「この相手とこれから先、やっていけるのか?」という不安を打破できないことが「性格の不一致」の端緒となる。

結婚するまで大抵のカップルは、仕事をしながら結婚準備を進めるため、かなり忙しくなり、ときには疲労困憊となる。そうした心の余裕のない生活の中で、大事なセレモニーである結婚披露宴の「引き出物」になにを選び、どんな色・形・文章の「招待状」にするのか。夫婦で価値観の相違が出ることがあるのだ。

加えて、籍を入れるまでは、衣食住のための資金調達、準備の段取り、環境の変化などで、「この人で本当に良いのか」という不安に陥りやすくなる。このためストレス耐性に弱いカップルは、すぐに「別れ」を選択することがあるのだろう。

【2:出産したのに即離婚】

「出産」はすばらしい慶事だが、実はここでも“魔”が潜んでいることがある。

最近、筆者は産婦人科の医師に「立ち合い出産で失神した夫に嫌気を起こし、妻が里帰り先から戻らず、そのまま離婚した」という話を聞いた。また「夫の『もう、出産後の妻を女として見られなくなった』という理由で離婚に至った」という話も聞いたことがある。

さらに筆者の知人の男性は「授乳中の妻は乳牛にしか見えない」と言い放ち、浮気。数年後に離婚したという事例があった。命がけで出産している女性からすれば、たまったものではない。これは男性の「父になる」という覚悟がうまく機能しなかったことが原因だと推測できる。

【3:マイホーム購入で即離婚】

「一国一城の主」という憧れは、今でも根強いものがある。マイホームは幸福の象徴ということだろう。ところが、「35年ローン」で購入したわが家であっても、すぐに肝心な“わが家”がなくなる、つまり家庭崩壊してしまうという悲劇が珍しくない。

新居を購入する前に、あれほど夫婦二人で夢を描き、貯金を頑張り、「どんな家にする?」と密接なコミュニケーションを図ってきたのに、現実にわが家を手にした途端に「別れ」が顔をのぞかせることがあるのだ。なぜ、そんな皮肉な目にあうのか。

理由はいくつかある。

「食後、夫が書斎に直行、子供は子供部屋に直行、妻がひとりリビングに取り残される」

「ローンの返済の負担が重すぎて鬱気味になる」

「(夫婦)どちらかが『汚すな! 傷をつけるな!』と新築物件での丁寧な暮らしぶりを主張し、相方がそのあまりの神経質ぶりについていけなくなる」

「実は相手に押し切られる形で決めた間取りや立地の物件で、住んだらやはり気に入らなかったと実感した」

憧れのマイホームというのは夫婦のエゴを引き出すには十分なもので、性格の不一致を生み出す「装置」と言えなくもない。家に限らず、自動車など何か大きな買い物をした後もこうした「歪み」が生じやすいといえるかもしれない。

■「夫・妻の出世」「子の合格」で関係がギクシャク

【4:出世・栄転なのになぜか離婚】

本来なら家族で喜べるはずの「出世」「栄転」が、夫婦の不仲を招くケースが以前よりも増えているように思えてならない。

例えば、夫が責任ある地位についたが、より多忙になり、家で一緒に過ごす時間が極端に減ってしまった。出世して肩書が大きくなったが、果たす責任も大きく、そのプレッシャーで夫が不機嫌がちになり、妻に当たり散らす。

最近では共働きの家庭が増えたことで、すれ違いが大きくなって離婚というパターンも目立つ。妻が仕事を続けるために夫の転勤に帯同しない、というだけでなく、妻の海外勤務に夫が帯同しない、といったケースも珍しくない。

共働きの場合、転居をともなう「栄転」では、それに帯同すれば配偶者はキャリアダウンになりかねない。配偶者のキャリアまで保証する会社はまれだ。どちらかが「自分に合わせることが愛情の証し」という意識でパートナーにその“印”を求めたならば、共働きが主流の現代では、「愛」は徐々にその印影をぼやかしていくだろう。

【5:わが子が受験合格でまさかの離婚】

意外に思われるかもしれないが、「受験が大成功」という場合でも、その先に「別れ」が忍び寄ることがある。

例えば、受験に対して非協力的だった夫が、わが子が難関校に合格した途端に豹変。“手柄”を横取りする言動を繰り返し、妻の冷ややかな対応を招く。または、一家を挙げての一大イベントと化した「受験」が成功した途端、家庭が“祭りの後”となって、空中分解する――。なぜ、こんな理不尽が起こるのか。おそらくこういうことではないだろうか。

子供を“かすがい”に、合格という共通目標を持って受験に挑んだ夫婦は、子供が無事合格して親離れを始めると、“かすがい”を失ってしまう。夫婦2人の新たな目標が分からなくなる。人間というものは何かが完了した時、心の中に隙間風が吹きやすいのかもしれない。

以上、夫婦の慶事にこそ、離婚の危機はあるという事例を5つ挙げてみた。

人生100年時代と言われる現代。結婚し、年月を重ねるごとに悲喜こもごものいろいろな出来事が生じる。それはどの夫婦も同じだ。だが、一生添い遂げる夫婦と、そうではない夫婦に分かれる。環境の変化が、夫婦の幸せに転ぶか、苦しみに転ぶか。それはお互いの小さな心がけ次第なのだろう。

(エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー 鳥居 りんこ 写真=iStock.com)

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