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安倍総裁3選を阻止するただひとつの方法

プレジデントオンライン / 2018年7月16日 11時15分

2018年5月24日、衆議院本会議場で言葉を交わす菅義偉官房長官(右)と自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長(中央)。左から麻生太郎副総理兼財務相、茂木敏充経済再生担当相(写真=時事通信)

すでに「消化試合」というレッテルが貼られている。9月下旬に行われる自民党総裁選のことである。安倍晋三首相(党総裁)の3選が確実視されている。先が見えているだけにメディアもほとんど無視を決めこんでいる。確かに安倍氏が優位に立っているのは確かだが、この状況をひっくり返す方法が1つある。それは小泉旋風が起きた2001年の総裁選の構図に持ち込むことだ――。

■今のままなら安倍氏勝利は「鉄板」

今回の総裁選は9月20日ごろ投開票となる方向だ。今のところ3選を目指す安倍氏の他、石破茂元自民党幹事長の出馬が確実視される。野田聖子総務相も、連日出馬への意欲を示し続けているが、出馬に必要な推薦人20人を集めるめどがたっていない。岸田文雄党政調会長も注目されるが、今回は出馬を見送り「次の次」狙いに切り替えるとの見方が強くなっている。

安倍氏は、今年前半「森友」「加計」問題などで批判が高まっている時は3選に黄信号が灯っていたが、今は内閣支持率も戻った。党内では細田派、二階派、麻生派の「主流3派」の支持を取り付けた。3派で国会議員数の約半分を占める。「現段階では白紙」としている竹下派も、幹事長ポストなどを条件に安倍氏に乗るとの見方が広がっている。無派閥の議員も安倍氏に雪崩打ちそうな気配だ。「安倍票」は国会議員票の過半数を軽く上回る。

■6年前の総裁選では1度目の投票で1位になった

総裁選は、国会議員票と党員による地方票の比率を1対1にして行われる。過半数を獲得する候補がいなければ上位2人の決選投票となるが、今回は国会議員の票に、都道府県1票ずつの47票を加えて行われる。安倍氏が議員票の過半数を既に固めていることは、非常に有利であることは明らかだ。

「鉄板レース」の流れを変えることができるとすれば石破氏しかいない。総裁選立候補に必要な20人の確保のめどは立っているし、知名度もある。自ら閣僚や党首脳から退いて「党内野党」の立場を貫いており、安倍氏への対立軸を示しやすい。しかも6年前の総裁選では1度目の投票で1位になり、安倍氏との決選投票で競り負けたという「実績」がある。

ただ、残念ながら6年前のように安倍氏を追い詰めるのは難しいと評価されている。6年前、石破氏は「野党の論客」としてテレビに引っ張りだこだったが、今はマスコミへの露出は激減。印象は薄い。

■キーワードは「2001年の再現」

石破氏に勝ち目はないのか。そうではない。キーワードは「2001年の再現」。17年前の4月に行われた総裁選と同じ構図になれば、まだ大逆転の可能性は十分ある。

森喜朗氏の辞任に伴って行われた同年の総裁選は、当初、橋本龍太郎氏の当選が確実視されていた。ところが、結果は小泉純一郎氏が勝った。

最大の理由は党内人気ナンバーワンが小泉氏側についたからだ。当時の人気ナンバーワンは、歯に衣着せぬ語りぶりで注目された田中真紀子氏。総裁選を前にした3月27日、小泉氏は田中氏と会談し「小泉-真紀子連合」で意気投合した。

それまで小泉氏は「総裁選に出るかどうかは五分五分だ。このままで戦ったら負ける」と言っていたが、日を置かずに出馬を決断。田中氏は小泉氏の推薦人に名を連ね、2人はツーショットで全国遊説した。死去した小渕恵三元首相を「おだぶつ」と言ってひんしゅくを買ったこともあったが、それも含めて真紀子ブームを起こし小泉氏に勝利をもたらした。

■今の石破氏のほうが政治経験も知名度も上

この時の構図を、今に当てはめてみよう。当時の小泉氏の役回りをするのは石破氏。「石破氏と小泉氏では器が違う」と思う人もいるかもしれないが、01年の総裁選前の小泉氏はまだ「出ると負け」と言われた泡沫候補扱いだった。今の石破氏のほうが政治経験も知名度も上だ。

田中氏の役割を果たす適任者がいる。小泉進次郎党筆頭副幹事長だ。進次郎氏の人気が政界随一であることに異論をはさむ人はいないだろう。マスコミ各社の世論調査では「次の首相候補」で安倍、石破の両氏をしのいで1位になることもある。テレビカメラの前に立ち短い言葉で鋭く切り込む姿は、父親・純一郎氏のDNAを引き継いでいる。彼が石破氏支援に回って総裁選を戦えば、17年前の「小泉・真紀子」に勝るとも劣らないタッグとなる。

■「ほかにいい人がいない」という消極的な支持

進次郎氏が石破氏を推す可能性は十分ある。進次郎氏は12年の総裁選の時も石破氏を支援している。その後も気脈は通じ合っている。

ただし6年前は、石破氏支援を明言せず、ひそかに応援していた。それでは安倍氏の優位をひっくり返すインパクトにはならない。進次郎氏が国民の前で石破氏支援を明言し、連日一緒に遊説することで初めて「タッグ効果」が機能する。

石破氏も、進次郎氏が自分の支持を明言してくれることの重要性を理解している。7月9日に都内で行った講演では、進次郎氏が提唱している国会改革について「必要なことだ。同感だ」とエールを送った。進次郎氏との共闘を期待しての発言だったことは言うまでもない。

17年前を知るベテランの自民党関係者の間では「当時の橋本氏と今の安倍氏が似ている」というささやきが漏れる。橋本氏は、永田町内の「数の力」では圧倒的優位に立っていたが、熱狂的な支持はなかった。今の安倍氏も「ほかにいい人がいない」という消極的な支持に支えられている。別に魅力的な選択肢が出れば形勢が一気に変わるかもしれないのだ。

(プレジデントオンライン編集部 写真=時事通信フォト)

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